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赤目のゴブリン
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「赤目……まさかっ!?」
「そんなに驚かなくてもいいだろ? そうだよ私がゴブリンの軍勢を指揮していた総大将ってやつさ」
ジェルは、相手の言う事が信じられなかった。
確かに――――
特別怪物《エクストラモンスター》 赤目のゴブリンの捕縛。
それが今回の依頼であり、迷宮で1人見捨てられた原因であるのだが……
「とても、信じられない。だって、君は……どこをどう見たって――――」
「ゴブリンさ。私は、醜い小鬼の怪物さ」
「――――っ!(とても、とても、そうは見えない)」
ジェルがそう思うのも無理はない。
赤目のゴブリン。その顔は、人間だった――――いや、顔だけではない。体も……
それも女性。 美少女と言っても良い。
(人間と乖離しているのは、赤い目くらいだろうか?)
すると彼女は魔法で明かりを灯した。
ジェルが購入した『シャイニング』と同じ魔法だ。
「こうするとわかりやすいだろう? 私が正真正銘のゴブリンだってことが」
魔法の光源に照らされた彼女の姿。それを見たジェルは――――
「……」と無言になる。
(確かに、普通の人間よりも若干、緑色に近い皮膚。 尖がった耳……なにより、赤く光る眼をした人間なんているはずもない。……いるはずもないのだけれど……)
困惑するジェルの様子が面白かったらしい。赤目のゴブリンはクスっと笑う。
「そんなに驚いたり、不思議がることもないだろ? お前だって、体験したはずさ……あの不思議な古代魔道具を」
「つまり、君も?」
「あぁ」と赤目のゴブリンは地図を見せた。
それはジェルも最初に購入した地図だ。 この古代魔道具 自動販売機《ジハンくん》がある他の所在地が記された地図。
「そうか……知識増加を購入したのか? けど、その姿は?」
「ここでは『剣聖ガチャ』が販売されているだろ? 私が購入したのは別の場所であった『魔族ガチャ』だ」
「ま、魔族ガチャ……なんだそれ?」
ジェルは首を捻る。なんせ――――
魔族なんて言葉は初めて聞いたからだ
「さてね? 私も魔族が何か知らないさ。でも、結果はここにある」
赤目のゴブリンは、両手を広げると姿を見せるように、その場でグルグルと回ってみせた。
「それで……俺を殺しに来たのか?」
「う~ん。それはどうして、そう思うかな?」
「どうしてだって? それはお前等が攻撃を――――」
「いや」とジェルは途中で言葉を止めた。
自分たちの方だ。 自分たちがゴブリンの縄張りに入った。そして、その目的は――――
「君たちは私を捕まえに来たんでしょ? ただ、珍しいからってだけで」
「――――そうか。それじゃ言い返せないや。君が正しい……けど」
そう言いながら、ジェルは新しい武器、腰に帯びた二本の刀に手を伸ばした。
「俺が悪いかもしれないが、それで命をくれてやるわけにはいかないだろ?」
「そんなに驚かなくてもいいだろ? そうだよ私がゴブリンの軍勢を指揮していた総大将ってやつさ」
ジェルは、相手の言う事が信じられなかった。
確かに――――
特別怪物《エクストラモンスター》 赤目のゴブリンの捕縛。
それが今回の依頼であり、迷宮で1人見捨てられた原因であるのだが……
「とても、信じられない。だって、君は……どこをどう見たって――――」
「ゴブリンさ。私は、醜い小鬼の怪物さ」
「――――っ!(とても、とても、そうは見えない)」
ジェルがそう思うのも無理はない。
赤目のゴブリン。その顔は、人間だった――――いや、顔だけではない。体も……
それも女性。 美少女と言っても良い。
(人間と乖離しているのは、赤い目くらいだろうか?)
すると彼女は魔法で明かりを灯した。
ジェルが購入した『シャイニング』と同じ魔法だ。
「こうするとわかりやすいだろう? 私が正真正銘のゴブリンだってことが」
魔法の光源に照らされた彼女の姿。それを見たジェルは――――
「……」と無言になる。
(確かに、普通の人間よりも若干、緑色に近い皮膚。 尖がった耳……なにより、赤く光る眼をした人間なんているはずもない。……いるはずもないのだけれど……)
困惑するジェルの様子が面白かったらしい。赤目のゴブリンはクスっと笑う。
「そんなに驚いたり、不思議がることもないだろ? お前だって、体験したはずさ……あの不思議な古代魔道具を」
「つまり、君も?」
「あぁ」と赤目のゴブリンは地図を見せた。
それはジェルも最初に購入した地図だ。 この古代魔道具 自動販売機《ジハンくん》がある他の所在地が記された地図。
「そうか……知識増加を購入したのか? けど、その姿は?」
「ここでは『剣聖ガチャ』が販売されているだろ? 私が購入したのは別の場所であった『魔族ガチャ』だ」
「ま、魔族ガチャ……なんだそれ?」
ジェルは首を捻る。なんせ――――
魔族なんて言葉は初めて聞いたからだ
「さてね? 私も魔族が何か知らないさ。でも、結果はここにある」
赤目のゴブリンは、両手を広げると姿を見せるように、その場でグルグルと回ってみせた。
「それで……俺を殺しに来たのか?」
「う~ん。それはどうして、そう思うかな?」
「どうしてだって? それはお前等が攻撃を――――」
「いや」とジェルは途中で言葉を止めた。
自分たちの方だ。 自分たちがゴブリンの縄張りに入った。そして、その目的は――――
「君たちは私を捕まえに来たんでしょ? ただ、珍しいからってだけで」
「――――そうか。それじゃ言い返せないや。君が正しい……けど」
そう言いながら、ジェルは新しい武器、腰に帯びた二本の刀に手を伸ばした。
「俺が悪いかもしれないが、それで命をくれてやるわけにはいかないだろ?」
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