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悟る想いと俺の初恋
悟る想いと俺の初恋②
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最初は控えめだった想いも、近くで過ごす度に好きな人が自分に向けられていない情を見ているのは想像以上に辛いことに気づいていく。苦しさから別の温もりに逃げるなんて屑のやることだと分かっていても、自分の心の安定を図るにはこの方法でしか、自分の慰め方を知らなかった。
学校へと到着するなり、スマホを取り出すと兼に連絡をする。
時刻は昼の12時が過ぎた頃なので丁度、昼休みの時間だ。
「今どこにいる?」そんな連絡を彼にすることだけでも、緊張しては、送ったと同時に返事が待ち遠しくて、制服のズボンのポケットに仕舞わず手に持ったまま下駄箱を開ける。
靴を履き替えたところでポコンとメッセージが届いたと告げる通知音が鳴り、すぐさま確認すると
「椿先輩と屋上で待っています」と兼からの返事だった。
兼からのメッセージは絵文字や顔文字一つない、文章からでも生真面目さを感じる。
早く会いたい。兼といると心が浄化されるような気がして、自分の廃れた生活を一時でも忘れさせてくれる。
優作は急ぎ足で階段を駆け上がり、自教室の前を素通りしては屋上へと繋がる階段を目指す。
「まって、優」
階段の一段目を踏んだと同時に聞き慣れた声に呼び止められて振り返る。
焦る気持ちの中、呼び止められて眉を潜めた。
それは、誰なのか分かっていたからだ。
自分のことを優と呼び、頻繁に自分の傍に金魚の糞のように付いてくる吉岡千晃だ。
別に嫌いなわけじゃない。
吉岡とは、つかず離れずな適度な距離感を保ってているし、向こうも空気を読んで必要以上な詮索はしてこない。
他人を簡単に信用することができない優作にとって、そんな関係の吉岡とはやけに居心地が良くて、かれこれ2年程続いていた。
だけど今はお前じゃない。
一刻も早く会いたいのは吉岡じゃない。
露骨に嫌そうな表情をしたことで、直ぐに優作の機嫌を感じ取った吉岡は苦笑いを浮かべていた。
「おはよ·····今から行くの?」
「うん。吉岡、何?」
「いや·····その·····そう、頑張って、じゃあ」
「あぁ」
右手を挙げて、笑顔で激励をされたが普段の吉岡にしては何処かぎこちなさを感じて違和感を覚える。
視線を常に泳いでいて、俺と目を合わせないところとか不自然ではあったが、今の優作にとってはそんなことは気にするに値しない。それよりも屋上への気持ちが先走り、吉岡を背にしてそそくさと屋上へ繋がる階段を駆け登った。
学校へと到着するなり、スマホを取り出すと兼に連絡をする。
時刻は昼の12時が過ぎた頃なので丁度、昼休みの時間だ。
「今どこにいる?」そんな連絡を彼にすることだけでも、緊張しては、送ったと同時に返事が待ち遠しくて、制服のズボンのポケットに仕舞わず手に持ったまま下駄箱を開ける。
靴を履き替えたところでポコンとメッセージが届いたと告げる通知音が鳴り、すぐさま確認すると
「椿先輩と屋上で待っています」と兼からの返事だった。
兼からのメッセージは絵文字や顔文字一つない、文章からでも生真面目さを感じる。
早く会いたい。兼といると心が浄化されるような気がして、自分の廃れた生活を一時でも忘れさせてくれる。
優作は急ぎ足で階段を駆け上がり、自教室の前を素通りしては屋上へと繋がる階段を目指す。
「まって、優」
階段の一段目を踏んだと同時に聞き慣れた声に呼び止められて振り返る。
焦る気持ちの中、呼び止められて眉を潜めた。
それは、誰なのか分かっていたからだ。
自分のことを優と呼び、頻繁に自分の傍に金魚の糞のように付いてくる吉岡千晃だ。
別に嫌いなわけじゃない。
吉岡とは、つかず離れずな適度な距離感を保ってているし、向こうも空気を読んで必要以上な詮索はしてこない。
他人を簡単に信用することができない優作にとって、そんな関係の吉岡とはやけに居心地が良くて、かれこれ2年程続いていた。
だけど今はお前じゃない。
一刻も早く会いたいのは吉岡じゃない。
露骨に嫌そうな表情をしたことで、直ぐに優作の機嫌を感じ取った吉岡は苦笑いを浮かべていた。
「おはよ·····今から行くの?」
「うん。吉岡、何?」
「いや·····その·····そう、頑張って、じゃあ」
「あぁ」
右手を挙げて、笑顔で激励をされたが普段の吉岡にしては何処かぎこちなさを感じて違和感を覚える。
視線を常に泳いでいて、俺と目を合わせないところとか不自然ではあったが、今の優作にとってはそんなことは気にするに値しない。それよりも屋上への気持ちが先走り、吉岡を背にしてそそくさと屋上へ繋がる階段を駆け登った。
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