Broken Flower

なめめ

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フラワー大藪

フラワー大藪 13-2

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「別に。映画の話してただけ。星野、興味ないだろ」

相変わらず空気を読めない星野だが、今回ばかしは少し安堵した自分がいた。
星野が彼女が話している所を遮ったので全てを聞いたわけではないから断定するのは良くないが、話の流れから映画に誘われる気がしたからだ。
雑誌に監督が載るということは新作が公開されているということでもある。
そのインタビュー内でも今作について、主演である人気俳優との対談をしていた。

映画は必ず一人で観ると決めているわけではない。しかし、決して嫌いなタイプではないが、話しているときから気になっていた女子二人組といい、明らかに向けられている好意にどう応えていいか分からなかった。
友達でもない異性の誘いに乗るということは、いずれそういうことも視野に入れて付き合って行かなきゃならない。今までだったら誘いを断る気まずさを感じるくらいなら、相手に流されるまま付き合っていただろう。

昔の想い人を彷彿とさせる彼女と関わっていくうちにもしかしたら好きになるかもしれない・・・とは思うが、もし自分が彼女を好きになれず、期待をさせてしまった時の代償が大きい。それくらい恋愛に関して突き動かされるような感情を抱けずにいた。

「うん、ねーわ。それより塩谷、ちょっと面貸して」

「なんでよ」

「いーから、なっ?その為に俺はわざわざお前を待ち伏せしてたんだから」

亨と雛森よりも自分の用事の方が重要なのか、急かすように背負っているボディバッグを引っ張られる。

「ごめんね、雛森さん。またあした」

「あ、うん」

目の前で呆然と一連の流れを見ている彼女に、一言挨拶をし手を振ると
星野に引っ張られるままにその場を立ち去る。

元々星野とはそれなりの交友関係を築けていたものの自分の中で、どうせ高校限りの付き合いだとは思っていた。

しかし、一時的ではあるがクラスから浮いていた俺を見捨てなかったのは星野だけだった。

当時は星野にも嫌がらせの矛先が向かないよう、自ら突き放していたが両方の意味でどん底に落ちていた亨にとって、それでも気にかけてくれていた星野の存在は心強かった。

そんなこともあり、なんだかんだで同じ大学へ進学し、今も関係が続いてる。


「相変わらずモテモテだよなー。付き合うの?」

部室前を後にし、門扉まで向かう途中で星野に問われる。


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