Broken Flower

なめめ

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突然の…

突然の····· 12-12

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夏休みが明けた八月下旬。HR前の教室で亨が教室に入るなり、クラス全員の視線が一斉に俺の方へと向いた。騒がしかったはずの教室が静まり返る。
いつもの朝の教室であればあり得なかった状況は亨が休み前にそのままフェードアウトするように謹慎期間へと移りそのまま夏休みになってしまったから騒動後の初登校だったからだ。

女子からは冷ややかな目。
男子からは噂が立っていた時と変わらないニヤニヤと野次馬のように揶揄う視線。

星野から時折連絡を貰っていたため、クラスの間で俺への扱いや見る目が変わったのを聞かされていたから驚きはしなかったが、こうも一斉に注目を浴びるのは気味が悪い。

聞こえているのを知ってるくせにコソコソと「うわ、きたんだぁー·····良く来れるよね·····」と最後列の座席の前後で俺のことを見ながら話している女子二人。鬱陶しくて睨みつけてやると「うわ、こわっ·····」と言って逸らしてきた。

教室後方の黒板を通り、窓際の最後尾の座席に座ろうと椅子を引いたところで
「とおるぅー」と甘く強請るような、しかしそんな可愛いものではない、男特有の低くて掠れた声が前方から聴こえた。

ふと顔を上げると教室前方窓際の電気ストーブ前で屯っている男たちが高笑いをし始めた。そのうちの坊主の男が自分の肩を抱きながら体を揺らして「とおるぅーすきっ、もっと·····もっと·····おくぅー」と明らかに俺の名前を呼び、西田の真似をして嘲ていた。それに反応するように男を囲う奴らから「再現率、やばっ」と嘲笑を買っている。

下品でくだらない。

相手にするだけ無駄。

亨は無視をして座席に座ろうとすると「おい、無視すんなよ。塩谷」
と先ほど輪の中心にいた坊主の男がこちらに向かってくる。

「次はどこの誰?さぞモテモテの塩谷は目星ついてんだろ?
また保健室で盛んだろ?お前御用達の愛の巣だもんなー?」

同じクラスの奴らを全員把握しているわけではないが、日に焼けた小麦色の肌。坊主頭からして野球部なのだろう。離れた目につぶれた大蒜のような鼻立ち。頬にそばかすの不細工な面が俺の顔を覗き込んでくる。
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