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別れ話
別れ話 10-5
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葵と過ごす時間が増えて、好きだと自覚する度に葵の控えめさがもどかしく感じる。自分には未だやるべき事があると分かっていても水と光を浴びてすくすくと育っていく蕾は止められない。
恋ってこんなに心が揺さぶられるものだったんだろうか·····。
葵とのやり取りを名残惜しみながら、自教室のある階へと登り終えて、向かう途中の廊下で「とおる」と呼び止められる。振り返ると西田が眉を釣り上げてこちらを見てきていた。途中で白衣の教員とすれ違った意識はあったが、浮かれ気分で全く眼中に無かった。
西田の背後から駆け足で通り過ぎては吸い込まれるように教室へと入っていく遅刻組の生徒達。自分も早く自教室へ向かわないと折角葵が気遣ってくれた恩が無駄になる。
そもそも一階に保健室があるのに対して今、西田が亨の教室の三階にいることの方が驚きだった。
「西田先生おはようございます。もう授業始まるので俺はこれで·····」
あくまでここは学校。ましてや廊下でいつものような恋人気分で西田と接するわけにはいかない。他の生徒は既に教室へ入りSHRが始まっているだろうけど、どこで他の教員も聴いているかも分からない状況。
亨は建前で西田と教員として接したが、彼女からは優しい先生である姿は消えていた。
「葵くんとのお花いじり楽しかった?」
全て見透かされたような、西田の問いに動揺する。亨が問い掛けに答えられずにいると今までにない低い声音で「保健室きて、今すぐに」と言い残して、階段の方へ背を向け行ってしまった。
多分、これはいつまでも現状から逃げていてはいけない合図なのかもしれない。
西田のことに決着をつけて葵と向き合うチャンスだ·····。
葵に堂々と好きだと言えるようになるためには、いずれは避けては通れない道。西田の保健室へと向かうヒールの音が緊張へを誘うが、亨は屈することなくその後を追った。
恋ってこんなに心が揺さぶられるものだったんだろうか·····。
葵とのやり取りを名残惜しみながら、自教室のある階へと登り終えて、向かう途中の廊下で「とおる」と呼び止められる。振り返ると西田が眉を釣り上げてこちらを見てきていた。途中で白衣の教員とすれ違った意識はあったが、浮かれ気分で全く眼中に無かった。
西田の背後から駆け足で通り過ぎては吸い込まれるように教室へと入っていく遅刻組の生徒達。自分も早く自教室へ向かわないと折角葵が気遣ってくれた恩が無駄になる。
そもそも一階に保健室があるのに対して今、西田が亨の教室の三階にいることの方が驚きだった。
「西田先生おはようございます。もう授業始まるので俺はこれで·····」
あくまでここは学校。ましてや廊下でいつものような恋人気分で西田と接するわけにはいかない。他の生徒は既に教室へ入りSHRが始まっているだろうけど、どこで他の教員も聴いているかも分からない状況。
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「葵くんとのお花いじり楽しかった?」
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多分、これはいつまでも現状から逃げていてはいけない合図なのかもしれない。
西田のことに決着をつけて葵と向き合うチャンスだ·····。
葵に堂々と好きだと言えるようになるためには、いずれは避けては通れない道。西田の保健室へと向かうヒールの音が緊張へを誘うが、亨は屈することなくその後を追った。
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