48 / 101
僕の転機
僕の転機 8-5
しおりを挟む
御礼と称して取付けた約束。亨と初めての食事の後、連絡先を交換することが出来た。
亨が自分のことを名前で呼んでくれること、遊びに誘ってくれたこと、こんな自分でも相手にしてくれることが嬉しい。
今日の放課後のことが夢みたいだった。
亨くんのお勧めのメニューを頼んだものの味なんて緊張で覚えていなかった。だけど、日常で日の目など決して当たらない自分がこうして華やかな亨くんと一緒に食事をしているのが奇跡のようで胸がいっぱいになり、満たされた気持ちになった。
日頃花のことばかり考えている自分でも全く人を拒絶しているわけじゃない。多少なりとも誰かと交わりたいと言う願望はあったのだと気付かされた。
-----------------------------------------
軽い気持ちで連絡すればいい·····。
連絡先を渡されたが自ら連絡する勇気などなくてアドレスと睨めっこをする。
昼休み、葵はスマホを机の下に忍ばせながら亨のトーク画面を開くと文章を打っては送信するか否かでボタンを押しためらっていた。
同じ学校とはいっても学年が違うから毎日会える訳じゃない。
連絡すればいいのだろうが本人はバイトしていると言っていたし忙しいのだろうかと思って自ら送るのに気が引けていた。
押すか否かで迷っていると頭にコツンと何かがあたり、顔を上げる。
「うわぁぁぁぁ」
すると目の前の拳が掌を返しては黒い触覚が伸びた虫のようなものが顔に飛んできて葵は大きく椅子を引くいて仰け反ると、持っていたスマホを落とした。投げつけられたソレは一瞬本物かと見間違える程よく出来た玩具の偽物だった。
「ソレ玩具なんだけど」
葵は膝の上に乗っかったソレを掴んでは黙って机の上に置いた。喫驚した葵を面白がるように正面には江藤。左右には根元と橋下が机を囲うようにして立っている。根元と江藤が面白可笑しく笑う中、橋下においては隣の席に座ってスマホを弄っていた。
教室にいると江藤達がいるので気が抜けない。しかし、保健室毎回行って西田先生に迷惑もかけたくなかった。葵は三人を無視するように立ち上がり、根元の足元に落ちたスマホを拾おうと手を伸ばすと案の定、根元に取られてしまい、それを流すように江藤の手元に渡ってしまった。
亨が自分のことを名前で呼んでくれること、遊びに誘ってくれたこと、こんな自分でも相手にしてくれることが嬉しい。
今日の放課後のことが夢みたいだった。
亨くんのお勧めのメニューを頼んだものの味なんて緊張で覚えていなかった。だけど、日常で日の目など決して当たらない自分がこうして華やかな亨くんと一緒に食事をしているのが奇跡のようで胸がいっぱいになり、満たされた気持ちになった。
日頃花のことばかり考えている自分でも全く人を拒絶しているわけじゃない。多少なりとも誰かと交わりたいと言う願望はあったのだと気付かされた。
-----------------------------------------
軽い気持ちで連絡すればいい·····。
連絡先を渡されたが自ら連絡する勇気などなくてアドレスと睨めっこをする。
昼休み、葵はスマホを机の下に忍ばせながら亨のトーク画面を開くと文章を打っては送信するか否かでボタンを押しためらっていた。
同じ学校とはいっても学年が違うから毎日会える訳じゃない。
連絡すればいいのだろうが本人はバイトしていると言っていたし忙しいのだろうかと思って自ら送るのに気が引けていた。
押すか否かで迷っていると頭にコツンと何かがあたり、顔を上げる。
「うわぁぁぁぁ」
すると目の前の拳が掌を返しては黒い触覚が伸びた虫のようなものが顔に飛んできて葵は大きく椅子を引くいて仰け反ると、持っていたスマホを落とした。投げつけられたソレは一瞬本物かと見間違える程よく出来た玩具の偽物だった。
「ソレ玩具なんだけど」
葵は膝の上に乗っかったソレを掴んでは黙って机の上に置いた。喫驚した葵を面白がるように正面には江藤。左右には根元と橋下が机を囲うようにして立っている。根元と江藤が面白可笑しく笑う中、橋下においては隣の席に座ってスマホを弄っていた。
教室にいると江藤達がいるので気が抜けない。しかし、保健室毎回行って西田先生に迷惑もかけたくなかった。葵は三人を無視するように立ち上がり、根元の足元に落ちたスマホを拾おうと手を伸ばすと案の定、根元に取られてしまい、それを流すように江藤の手元に渡ってしまった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる