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女はみんなシローが好き
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「あ、えっちゃん!? 休憩中ごめん! シローが外に脱走した!」
『えっ!? 外って店の中ですか!?』
「いや、外! キリのいいところで戻ってきてもらえる!? オレ探してくるから!」
『わかりました! すぐ行きます!』
その頃、ペットショップの店内ではイヌ達が騒がしく吠えていた。
「おい! みんな聞いたか!? シローが出て行ったってよ!」
シローのオリに1番近いショーケースに入れられている俺は入り口から遠い仲間達にも、シローの脱走を伝えた。
「聞いた! ずりぃよシローだけ! アム見てた!?」
「いや、俺もえっちゃんと店長の話でしか知らんけど」
「シロー絶対確信犯だろ! アイツ頭いいからなー!」
「ちょっとそんなことどうでもいいでしょ!? シロー君が事故にでも遭ったら……!」
まるでシローの恋人であるかのようにシローの身の安全を気にしているのは、コーギーのペンちゃん。メス。
コーギーなのにどうしてペンちゃんかというと、コーギーの正式名称が『ウェルシュ・コーギー・ペンブローク』だからだ。
……なんだよ、女はみんなシローが好きなのかよ!
「お前達うるさいぞ! 静かにしろ!」
店長が残されたみんなに向かって怒鳴った。
「店長っ!」
その気まずい空気をかき混ぜるように、えっちゃんが休憩から戻ってきた。
「ごめんな、休憩中に」
「いえ! シローは……」
「外出てっちゃってさ。俺探してくるわ」
「わかりました。何かあったら連絡ください」
店長はシロー捜索の旅に出たようだ。
──クゥーン。
「えっちゃん、元気ないね」
「ん? どしたの、アム? シローが出てっちゃって淋しい?」
「それはえっちゃんでしょ」
「事故に遭ってないといいけど……」
えっちゃんはショーケースを開けて俺の頭を撫でながら言う。
『えっ!? 外って店の中ですか!?』
「いや、外! キリのいいところで戻ってきてもらえる!? オレ探してくるから!」
『わかりました! すぐ行きます!』
その頃、ペットショップの店内ではイヌ達が騒がしく吠えていた。
「おい! みんな聞いたか!? シローが出て行ったってよ!」
シローのオリに1番近いショーケースに入れられている俺は入り口から遠い仲間達にも、シローの脱走を伝えた。
「聞いた! ずりぃよシローだけ! アム見てた!?」
「いや、俺もえっちゃんと店長の話でしか知らんけど」
「シロー絶対確信犯だろ! アイツ頭いいからなー!」
「ちょっとそんなことどうでもいいでしょ!? シロー君が事故にでも遭ったら……!」
まるでシローの恋人であるかのようにシローの身の安全を気にしているのは、コーギーのペンちゃん。メス。
コーギーなのにどうしてペンちゃんかというと、コーギーの正式名称が『ウェルシュ・コーギー・ペンブローク』だからだ。
……なんだよ、女はみんなシローが好きなのかよ!
「お前達うるさいぞ! 静かにしろ!」
店長が残されたみんなに向かって怒鳴った。
「店長っ!」
その気まずい空気をかき混ぜるように、えっちゃんが休憩から戻ってきた。
「ごめんな、休憩中に」
「いえ! シローは……」
「外出てっちゃってさ。俺探してくるわ」
「わかりました。何かあったら連絡ください」
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──クゥーン。
「えっちゃん、元気ないね」
「ん? どしたの、アム? シローが出てっちゃって淋しい?」
「それはえっちゃんでしょ」
「事故に遭ってないといいけど……」
えっちゃんはショーケースを開けて俺の頭を撫でながら言う。
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