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◆ 第一章 黒の姫宮
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肌で感じた熱が、体に焼き付いている。途轍もない夜だった。人生最大の衝撃であったと言っても過言ではない。それほどの出来事だったのだ。
冷静になって考えれば、恥ずかしいことをたくさん口走ったし、恥ずかしいことをたくさんしてしまった。思い出すだけで顔が熱くなる。苦しくて、恥ずかしいのに、それでも幸福だった。
「どうかされましたか、宮様」
部屋の寝台の上。そこに腰掛けたまま動かない私に、淡月が声を掛けてくる。朝帰りなどという初体験を私は、淡月の小言と共に受け入れた。もう二度とこのようなことはおやめください、とそう請われたが頷いてやれなかった。
「いや……、何でもない」
「お体の具合でも悪いのでは?」
「大丈夫。体の調子はすこぶる良い。気分も……なんというか、晴れやかだ」
「……それならば、宜しいのですが」
そう言いながらも、淡月は少しも納得していないようだ。これほどまでに私に対して不服を隠さない淡月も珍しい。
私は淡月に何も言わず外泊をしてきた。それを考えれば、淡月の態度にも頷ける。私に何かあれば、その責任は淡月が負うことになる。その点で言えば、私の昨晩の行動はあまりにも短慮だった。短慮と分かりながらも、幸福であった事実は否定出来ない。
黒珠宮まで清玖に送ってもらい、そこで別れた。本当はもっと一緒にいたかった。昨夜の余韻を二人で味わいたかった。けれど、それは許されない。それはあまりに多くを望みすぎだ。
「淡月、心配かけてすまなかった」
思わず、淡月に謝っていた。淡月が心配すると分かっていたのに、外泊し、清玖と睦み合っていた。罪悪感に胸が潰される。心が苦しかった。詫びた私に対して、淡月がすぐに膝を折り、寝台に腰掛ける私の前で跪く。
「宮様がこの淡月に詫びる必要などないのです。宮様はご自由に生き、好きな所へは好きな時にお出かけになって下さい。……無様な姿をお見せしてしまい、申し訳ありませんでした。全てはこの淡月の不出来な心ゆえ」
「……不出来な心とは?」
「それは……。率直に申し上げれば、……寂しかったのです」
「寂しい?」
「はい。……宮様が急に、どこか遠くへ行ってしまったような気がして。取り残されたような心持になってしまいました。それが歯がゆくて、宮様を煩わせるような態度を取ってしまいました。申し訳ありません」
平伏してしまった淡月に驚いて、私は寝台から飛び降り、淡月に寄り添った。伏せられた体。その背中を静かに撫でる。
「淡月。煩わしいなどと、これっぽっちも思ってはいない」
「……しかし」
「話がしにくい。おもてを上げよ」
少し強く言えば、淡月はゆっくりと顔を上げた。戸惑ったような双眸が私を見る。いつだって私のそばにいてくれた、たった一人のひと。それが淡月だ。
淡月が常に私を案じてくれていることは、分かっている。そんな淡月を心配させたのだ。責められるべきは私で、淡月が詫びる必要などどこにもなかった。
「寂しい思いをさせてすまなかった。でも私は淡月を遠ざけたわけではない」
「勿論、それは理解しております。ただ私の烏滸がましい感情が全ての元凶なのです。……私は、驕っていたようです。私が宮様の一番なのだと、頭のどこかでそう思っていた。思い上がりも甚だしく、己の厚顔ぶりに怒りさえ湧くほどです」
「淡月が一番……それは、何も間違っていない。私の人生の中で、淡月以上に同じ時間を過ごした者はいない。血の繋がった家族よりも同じ時間を共にしている。そういう意味で言えば、淡月は私にとって一番近しい存在だ」
私の人生の中で、生母との触れ合いは出産の時のひと時のみだった。私を生んだあと、すぐに母は市井に戻され、私の養育は全て乳母が行った。淡月たちのように、古くから侍従として天瀬王家に仕えている者の出の乳母だった。
その後、私が五歳になる頃に淡月が侍従として私についた。それから十三年共にいる。その間に、淡月が侍従長になった。淡月が侍従長になったことで、共にいる時間の濃度は濃くなった。
「……一番近い存在であるとは、僭越ながら私も感じておりました。私はもう何年も実の家族には会っておらず、実家にも戻っておりません。己で家族を作る意思もなく、このまま宮様にお仕えして生涯を閉じることが出来ればと思っております。……不敬とは存じ上げておりますが宮様を、子のようにも、弟のようにも感じることがあります。けれど、親子であれば親離れがあり、兄弟であれば徐々に疎遠になるものです」
これほどまでに饒舌な淡月を見るのは、初めてかもしれない。いつも静かに微笑んで、私のそばにいてくれるのだ。だが、今の淡月は口を盛んに動かして、多くを語った。そして、悲しげな目で私を見る。
「宮様は今、人生の中で最も生き生きとされています。表情がまるで違うのです。私では、宮様にこのような表情をして差し上げることが出来なかった。……凄いですね、あの清玖という男は」
清玖の名が出て、どきりとする。殆ど何も淡月には語り聞かせていないが、彼には何もかも御見通しなのだろう。恐らく、昨夜私たちが何をしていたのかも承知しているのだ。
「宮様が可愛らしくて、ずっとずっと私がお守りしたくて、ついつい忘れておりました。……宮様ももう成人を迎える立派な殿方なのですね」
「……淡月」
「もうこれからは、煩わしいことも申しません。煩わしい態度も取りません。思うようにお過ごしください。御心お健やかに」
どうして、二つのものを手に入れることは難しいのだろう。淡月が遠くなってしまうのは、私が清玖に近づいたからなのだろうか。変化を望んだのは己なのに、心にはもやもやとした後悔がある。けれど、清玖から離れることはもう出来なかった。
私は進んだのだ。
後戻りは、もう出来ない。
苦しくて、私は淡月にそっと抱き着く。幼い私をいつも抱き上げてくれていたのは、淡月だった。一人で眠れない夜は、いつまでもお伽噺を語ってくれた。勉強が嫌いだった私に、根気強くあらゆることを教えてくれた。淡月は、私の親であり、兄だった。
「……淡月、私は、淡月のことも兄と思って……、慕ってきたんだ」
侍従と王子は、近い関係性になりやすい。そのため、節度を持って接することを侍従は求められていると聞いたことがある。私たちは、それを超えるほどにきっと近くなり過ぎた。幼い頃から一人だった私の孤独を、淡月は禁を破って埋めてくれたのだ。
「……お、……おにいちゃん」
誰にも知られてはいけない、秘密の兄。それが淡月。市井の兄弟のように、淡月を呼んでみた。口に全く慣れていない言葉。王家では許されぬ砕けた呼称。
言葉を覚えた当初から、兄たちのことは、兄上と。父のことは父上、もしくは陛下と呼ぶよう教え込まれた。でも、本当は口にしてみたかった。市井の民のように、お兄ちゃん、と呼んで甘えてみたかった。私は、淡月のことをずっとそう呼んでみたかったのだ。
「ありがとうございます、吉乃様。そのお言葉だけで、私は一生を生きていけます」
抱き着く私を、一瞬だけ抱きしめて淡月は私から離れて行った。そうして、私を支えながら立ち上げる。そこには、いつもの淡月がいた。彼は笑顔で問う。
「さて、宮様。今日はどうなさいますか?」
悲しむのはここまで。そう割り切る笑みだった。いつも通りに過ごそうという淡月の提案を、私も受け入れる。空を見上げた。抜けるような、美しい蒼穹が広がっている。
私には行きたい場所があった。何度も行こうと意気込むのだが、それでも足が向かなかった場所。今日こそは辿りついてみせようと思ったのだ。身支度を全て済ませ、私は部屋を出る。
目的の部屋に辿り着くまでに、幾つかの扉を通過してきた。その扉はすべて厳重に警備され何人もの近衛によって守られていた。私が通るたびに、彼ら近衛は膝を屈し礼を示す。
「……宮様」
最奥。その扉の前で淡月が私に声をかける。淡月の声には若干の戸惑いが見えた。この扉の先に、淡月は入れない。入室を許されるのは、この国の中でもたった数人。ここは、天瀬国王の寝室。黒珠宮の中で最も警備の厳しい場所だった。
「淡月は、ここで待っていて」
淡月は抱拳礼を取って私を見送った。歩を進めた私に合わせて、扉の警護に当たる近衛がそれを開く。厳かな音を立てて扉は開き、私は部屋の中に進んだ。
部屋は光に満ちていた。窓は多く、爽やかな風が入り込む。それなのに、酷く死の気配を感じる。終わりの匂いというのだろうか。どうしようもない破滅の予兆がここには色濃く存在していた。
大きな寝台がひとつ、部屋の中央に置かれている。生活感のない部屋だった。ただ、ひとつの体を安置するだけの物置にすら見える。
寝台のそばに置かれた椅子には、ひとりの女性が腰掛けている。見慣れている訳ではないけれど、見知った女性。紫蘭兄上の御生母。つまり、この国の王妃。
「これはこれは、三の宮」
「ご無沙汰しております、妃殿下」
「黒の御子たる貴方が私に頭を下げる必要などありませんよ」
王妃のそばに寄り、私は膝を屈しこうべを垂れた。この人の存在は独特だ。男児しか生まれぬ天瀬王家において、唯一の女性王族。そして、多くの生母が市井に戻される中で、唯一市井に戻されることなく王家に留め置かれる市井出身のひと。
崙流という名のその女性は、妙齢でありながらも凛として王妃の器を保っていた。東雲色の髪には艶があり、美しく伸ばされている。目元は少し紫蘭兄上に似ているように見えた。
冷静になって考えれば、恥ずかしいことをたくさん口走ったし、恥ずかしいことをたくさんしてしまった。思い出すだけで顔が熱くなる。苦しくて、恥ずかしいのに、それでも幸福だった。
「どうかされましたか、宮様」
部屋の寝台の上。そこに腰掛けたまま動かない私に、淡月が声を掛けてくる。朝帰りなどという初体験を私は、淡月の小言と共に受け入れた。もう二度とこのようなことはおやめください、とそう請われたが頷いてやれなかった。
「いや……、何でもない」
「お体の具合でも悪いのでは?」
「大丈夫。体の調子はすこぶる良い。気分も……なんというか、晴れやかだ」
「……それならば、宜しいのですが」
そう言いながらも、淡月は少しも納得していないようだ。これほどまでに私に対して不服を隠さない淡月も珍しい。
私は淡月に何も言わず外泊をしてきた。それを考えれば、淡月の態度にも頷ける。私に何かあれば、その責任は淡月が負うことになる。その点で言えば、私の昨晩の行動はあまりにも短慮だった。短慮と分かりながらも、幸福であった事実は否定出来ない。
黒珠宮まで清玖に送ってもらい、そこで別れた。本当はもっと一緒にいたかった。昨夜の余韻を二人で味わいたかった。けれど、それは許されない。それはあまりに多くを望みすぎだ。
「淡月、心配かけてすまなかった」
思わず、淡月に謝っていた。淡月が心配すると分かっていたのに、外泊し、清玖と睦み合っていた。罪悪感に胸が潰される。心が苦しかった。詫びた私に対して、淡月がすぐに膝を折り、寝台に腰掛ける私の前で跪く。
「宮様がこの淡月に詫びる必要などないのです。宮様はご自由に生き、好きな所へは好きな時にお出かけになって下さい。……無様な姿をお見せしてしまい、申し訳ありませんでした。全てはこの淡月の不出来な心ゆえ」
「……不出来な心とは?」
「それは……。率直に申し上げれば、……寂しかったのです」
「寂しい?」
「はい。……宮様が急に、どこか遠くへ行ってしまったような気がして。取り残されたような心持になってしまいました。それが歯がゆくて、宮様を煩わせるような態度を取ってしまいました。申し訳ありません」
平伏してしまった淡月に驚いて、私は寝台から飛び降り、淡月に寄り添った。伏せられた体。その背中を静かに撫でる。
「淡月。煩わしいなどと、これっぽっちも思ってはいない」
「……しかし」
「話がしにくい。おもてを上げよ」
少し強く言えば、淡月はゆっくりと顔を上げた。戸惑ったような双眸が私を見る。いつだって私のそばにいてくれた、たった一人のひと。それが淡月だ。
淡月が常に私を案じてくれていることは、分かっている。そんな淡月を心配させたのだ。責められるべきは私で、淡月が詫びる必要などどこにもなかった。
「寂しい思いをさせてすまなかった。でも私は淡月を遠ざけたわけではない」
「勿論、それは理解しております。ただ私の烏滸がましい感情が全ての元凶なのです。……私は、驕っていたようです。私が宮様の一番なのだと、頭のどこかでそう思っていた。思い上がりも甚だしく、己の厚顔ぶりに怒りさえ湧くほどです」
「淡月が一番……それは、何も間違っていない。私の人生の中で、淡月以上に同じ時間を過ごした者はいない。血の繋がった家族よりも同じ時間を共にしている。そういう意味で言えば、淡月は私にとって一番近しい存在だ」
私の人生の中で、生母との触れ合いは出産の時のひと時のみだった。私を生んだあと、すぐに母は市井に戻され、私の養育は全て乳母が行った。淡月たちのように、古くから侍従として天瀬王家に仕えている者の出の乳母だった。
その後、私が五歳になる頃に淡月が侍従として私についた。それから十三年共にいる。その間に、淡月が侍従長になった。淡月が侍従長になったことで、共にいる時間の濃度は濃くなった。
「……一番近い存在であるとは、僭越ながら私も感じておりました。私はもう何年も実の家族には会っておらず、実家にも戻っておりません。己で家族を作る意思もなく、このまま宮様にお仕えして生涯を閉じることが出来ればと思っております。……不敬とは存じ上げておりますが宮様を、子のようにも、弟のようにも感じることがあります。けれど、親子であれば親離れがあり、兄弟であれば徐々に疎遠になるものです」
これほどまでに饒舌な淡月を見るのは、初めてかもしれない。いつも静かに微笑んで、私のそばにいてくれるのだ。だが、今の淡月は口を盛んに動かして、多くを語った。そして、悲しげな目で私を見る。
「宮様は今、人生の中で最も生き生きとされています。表情がまるで違うのです。私では、宮様にこのような表情をして差し上げることが出来なかった。……凄いですね、あの清玖という男は」
清玖の名が出て、どきりとする。殆ど何も淡月には語り聞かせていないが、彼には何もかも御見通しなのだろう。恐らく、昨夜私たちが何をしていたのかも承知しているのだ。
「宮様が可愛らしくて、ずっとずっと私がお守りしたくて、ついつい忘れておりました。……宮様ももう成人を迎える立派な殿方なのですね」
「……淡月」
「もうこれからは、煩わしいことも申しません。煩わしい態度も取りません。思うようにお過ごしください。御心お健やかに」
どうして、二つのものを手に入れることは難しいのだろう。淡月が遠くなってしまうのは、私が清玖に近づいたからなのだろうか。変化を望んだのは己なのに、心にはもやもやとした後悔がある。けれど、清玖から離れることはもう出来なかった。
私は進んだのだ。
後戻りは、もう出来ない。
苦しくて、私は淡月にそっと抱き着く。幼い私をいつも抱き上げてくれていたのは、淡月だった。一人で眠れない夜は、いつまでもお伽噺を語ってくれた。勉強が嫌いだった私に、根気強くあらゆることを教えてくれた。淡月は、私の親であり、兄だった。
「……淡月、私は、淡月のことも兄と思って……、慕ってきたんだ」
侍従と王子は、近い関係性になりやすい。そのため、節度を持って接することを侍従は求められていると聞いたことがある。私たちは、それを超えるほどにきっと近くなり過ぎた。幼い頃から一人だった私の孤独を、淡月は禁を破って埋めてくれたのだ。
「……お、……おにいちゃん」
誰にも知られてはいけない、秘密の兄。それが淡月。市井の兄弟のように、淡月を呼んでみた。口に全く慣れていない言葉。王家では許されぬ砕けた呼称。
言葉を覚えた当初から、兄たちのことは、兄上と。父のことは父上、もしくは陛下と呼ぶよう教え込まれた。でも、本当は口にしてみたかった。市井の民のように、お兄ちゃん、と呼んで甘えてみたかった。私は、淡月のことをずっとそう呼んでみたかったのだ。
「ありがとうございます、吉乃様。そのお言葉だけで、私は一生を生きていけます」
抱き着く私を、一瞬だけ抱きしめて淡月は私から離れて行った。そうして、私を支えながら立ち上げる。そこには、いつもの淡月がいた。彼は笑顔で問う。
「さて、宮様。今日はどうなさいますか?」
悲しむのはここまで。そう割り切る笑みだった。いつも通りに過ごそうという淡月の提案を、私も受け入れる。空を見上げた。抜けるような、美しい蒼穹が広がっている。
私には行きたい場所があった。何度も行こうと意気込むのだが、それでも足が向かなかった場所。今日こそは辿りついてみせようと思ったのだ。身支度を全て済ませ、私は部屋を出る。
目的の部屋に辿り着くまでに、幾つかの扉を通過してきた。その扉はすべて厳重に警備され何人もの近衛によって守られていた。私が通るたびに、彼ら近衛は膝を屈し礼を示す。
「……宮様」
最奥。その扉の前で淡月が私に声をかける。淡月の声には若干の戸惑いが見えた。この扉の先に、淡月は入れない。入室を許されるのは、この国の中でもたった数人。ここは、天瀬国王の寝室。黒珠宮の中で最も警備の厳しい場所だった。
「淡月は、ここで待っていて」
淡月は抱拳礼を取って私を見送った。歩を進めた私に合わせて、扉の警護に当たる近衛がそれを開く。厳かな音を立てて扉は開き、私は部屋の中に進んだ。
部屋は光に満ちていた。窓は多く、爽やかな風が入り込む。それなのに、酷く死の気配を感じる。終わりの匂いというのだろうか。どうしようもない破滅の予兆がここには色濃く存在していた。
大きな寝台がひとつ、部屋の中央に置かれている。生活感のない部屋だった。ただ、ひとつの体を安置するだけの物置にすら見える。
寝台のそばに置かれた椅子には、ひとりの女性が腰掛けている。見慣れている訳ではないけれど、見知った女性。紫蘭兄上の御生母。つまり、この国の王妃。
「これはこれは、三の宮」
「ご無沙汰しております、妃殿下」
「黒の御子たる貴方が私に頭を下げる必要などありませんよ」
王妃のそばに寄り、私は膝を屈しこうべを垂れた。この人の存在は独特だ。男児しか生まれぬ天瀬王家において、唯一の女性王族。そして、多くの生母が市井に戻される中で、唯一市井に戻されることなく王家に留め置かれる市井出身のひと。
崙流という名のその女性は、妙齢でありながらも凛として王妃の器を保っていた。東雲色の髪には艶があり、美しく伸ばされている。目元は少し紫蘭兄上に似ているように見えた。
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