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永遠の別れ

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「レティシア、じゃあ次は上に乗ってみようか」
「え?」

 私たちは向かい合って座り抱き合っていたけれど、レギアスは私をそのまま支えて仰向けに寝そべった。

「動ける?」

 え?私が?動くの??

「や、無理……」
「残念。じゃあもう少し慣れたら頑張ってね」

 そういうとレギアスは両手で私の腰を掴んで前後に揺らした。

「や、ま、待って!!アあっ!!」

 なにこれ、外の膨らみが押し当たって……それだけでもたまらないのに中は奥に当たって……ここ、感じ過ぎちゃうっ……!

「どうしたの?」

 そう言いながらレギアスはますます強く私を揺らしていく。

「やっお願い、ダメ、あっ!ひぁっ!ヤぁっ!こんなの……ダメぇ!!!」

 私は叫びながら達してしまい、レギアスの胸に置いていた手もガクガクと震えて肘の支えが崩れてしまった。
 レギアスは私の脇腹に手をやって身体を起こしながら支えると、腰を上下に突き動かしてくる。

「あっ!アああっ!」

 感じ過ぎて私の体がビクンビクンと跳ね、意志と関係なく勝手に腰が動いた。

「や、これ、ダメなの、あ゛ぁっ!や……だ、あ゛あ゛あ゛!お、おかしくなるっ!おかしくなっちゃう!!」

 快感で全身がゾクゾクして脳が痺れ、目からは涙がボロボロと零れた。

「ははっ、いいね!おかしくなりなっ!レティシア!ほらっ!ほらっ!」

 ズンっズンっとレギアスの硬くて大きなものが私の奥深くの感じ過ぎるところに突き刺さってくる。

「やっ、レギアス!あっ!気持ちいいっ!きもちいいのぉ!……あ、ダメ、あっ、も……だめぇ!死んじゃう、も、死んじゃうの、あっ、あ、あ!……ア゛ア゛ア゛…………」

 私は声も出なくなり全身をぶるぶる震えさせて固まると、レギアスの上に崩れ落ちた。

「はぁー、たまんねぇ……」

 レギアスは崩れた私の身体の下から抜け出し、ベッドにうつ伏せになった私の腰を引き上げると、後ろから肉棒を思い切り突き刺した。

「ひっ、ああああああああぁぁぁ!!!」

 泣きじゃくる私に構わず激しく腰を打ち付け続けるレギアス。

「あっ、あっ、あっ、レ、レギアス、アっ、もっ、もう、ゆっ、許して、あっ、許し、てっ、あっ……アあっ、おねが、あ、あああっ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

 私は何度も失神しては激しい刺激で覚醒させられ、朝までめちゃくちゃに犯された。
 ほとんど記憶は無いけれど、そうだったことは何となく覚えてる……





 目が覚めるといつの間にか閉まっていた窓からは夕焼けが見えた。

「レギアス?」

「レギアス殿下はいったんソーマに帰るそうですよ」

 寝室からリビングへ行くと控えていた侍女達がお茶を入れながら教えてくれた。顔ぶれを見ると戦場に同道したものも帰ってきたらしい。

「あ、そういえばその予定だったわね……」
「姫様、その、お体は辛くないですか?」
「あ……大丈夫よ。たくさん寝たみたいだし、お父様の側だし……」
「そうですか。跡も早く消えれば良いのですが……しばらくは肌を出すドレスは着られませんね。」

 侍女たちはため息をついた。
 聖印の効果で3日もあれば完全に消える気もするけど……
 治癒術ですぐに消そうと思えば消せるのだけど、付けられた跡も愛おしくてそのままにしておきたかった。

「そうね……でもレギアスは自分以外の前で肌を出したら嫌がりそうだし、これからは肌の出ないデザインのドレスを揃えるようにしてちょうだい」
「かしこまりました。でも、もったいないですわ。姫様はお胸の形が素晴らしいのに」
「ありがとう、いずれ機会があったら着るわ」

 そんなふうに侍女と談笑しながら身支度を整えてもらう。
 今日はもうずっと休むことにして、ドレスも楽なものを選んだ。
 貴族の令嬢と違い私は女神っぽいゆるゆるしたドレスもたくさん着られるから楽なのだ。コルセットを付けなくていいのは本当に助かる。
 美と豊穣の女神の生まれ変わりと呼ばれるくらいだからコルセット無しでも完璧なボディラインを持っているわよ。もちろん。

 晩餐では夕方まで眠っていたと聞きつけたお母様にからかわれ、お父様には渋い顔をされながらも、レギアスを話の種に盛り上がった。
 なんでも、漆黒の悪魔の評判があまりにも酷いので第2王子だということは公表していなかったとか、実際は噂ほどは酷いことはしていなくて顔の表情が怖いだけだとか、ソーマ王と仲の良いお父様が教えてくれた。

 最後に、今日はレギアスが居ないから警護を固めているが自分でも結界を張るようにと言いつけられ、部屋に戻った。
 確かに近衛の数も多いしなんだかものものしい。誘拐されかけたばかりだから当たり前か。
 明日にはレギアスも帰ってくる予定だし、今日だけだ。さっさと寝てしまおうと私は寝支度を済ませるとベッドの形に合わせて結界を張った。

 結界術も皇族に遺伝する特技なのだが、これも私は誰よりも強固で大きいものが作れるし、私だけが扱える難しい性質の結界もある。祝福の術の効果範囲の広さと併せて、小さい頃から天才だの女神の生まれ変わりだのと呼ばれてチヤホヤされ、血統が遠くとも皇主の座に付けるだろうなどと言われて育った。
 皇宮全体を覆う事も難なくできるのだが、夜中も人の出入りはあるので余程の事態でなければ使わない。祝福を授けていない者だけ弾くような結界もできるのだけれど、他国からの客人や商人など僅かではあるが祝福の無いものの出入りもあるので滅多に使うことはない。

 私はこの時、今が戦時中にも等しい非常事態だと認識するべきだったと、後々まで後悔することになる。けれど今はただ、レギアスとの行為を思い出しながら、彼の居ないベッドで少しの寂しさと、溢れるような恋の幸福感に包まれて眠りについた。




 何時間眠っただろうか、私は夜中に目を覚ますと体に違和感を覚えて戸惑っていた。
 私は気怠い身体を起こしながら……気怠い体!?
 私は慌てて左手の甲を見て……そこには何も無かった。
 眠る前は確かに薄青色に輝く紋様があった場所に何もない……

「お父様に、お父様に何かあったわ!誰か様子を見てきて!!」

 私は慌てて部屋から出て近衛に命じた。
 何かあったとは言ったけれど、術が解除されない限りは聖印が完全に消える事などない。術者本人の意思か、もしくは……
 私は気がつくと震えて涙を流していた。
 気づいて駆け寄ってきた侍女と近衛騎士たちが何か言っているが頭に入ってこない。

 先程隣の皇主の居室に走った近衛が戻ってきて言った。

「皇主陛下と皇后陛下が……何者かの手にかかり……崩御、されました……」

 私は震える手で口を抑え、ズルズルと崩れ落ちた。
 その瞬間、床の支えが無くなり体が落ちる。

「え?」

 私は何かに夜着を引っ張られ、床にぽっかり空いた影の中に引きずり込まれていた。

「「姫様!!!」」

 近衛達が私の手を掴み、引き上げようとするが穴に引っ張られる力が強くてなかなか上がらない。

 何とかしなきゃ!何とか……
 あ、結界!

 私は影より大きいキューブ型の結界で自分と近衛を覆い、結界の内外を切り離して夜着を掴んでいたものを断ち切ると、影も縮んで消えた。

 た、助かった……

「姫様!!」

 私は結界を解除すると侍女と近衛に支えられて立ち上がり、呼吸と気持ちを落ち着けた。
 ふと床に目を向けると血溜まりの中に腕が落ちていた。

「じゅ、術者の腕ね……」

 私は嗜みとして剣の修行はしていても実戦経験などない。他人を傷つけて血を流させたのは初めてで、自分のした事に恐怖し収まったはずの動悸が酷くなった。
 だけど今は怯えている場合ではない。動揺を必死に隠しながら私は口を開いた。

「今から皇宮を結界で覆うから祝福の無い者は出入りができなくなると連絡して!それと今後の対応について話し合うから宰相と大臣を招集してちょうだい!……それから……集まるまでの間に皇主の居室に向かうからついてきて……。あ、……この腕は術者に凍結魔法をかけさせて保管しておいてちょうだい」

 震える体を何とか奮い立たせ、皇主としてすべきことをしなければと、ただそれだけ考えるように、ひたすら自分に言い聞かせた。
 そしてまずは今できる最大限の集中状態を作り出して城に結界を張り、結界内に私の祝福を受けていない者が居るか探っていく。

 何年か前から皇都に住むものには父ではなく私が祝福を授けていた。強い邪心や私への敵対心のあるものには祝福の術はかからない。
 隅々まで探ったが城内の人員は全員私の祝福を受けていて、犯人が留まっている可能性が低いとわかりホッとした。

 次は、お父様とお母様を確認しなくては……

 震えを意志の力で押さえ込み、すぐ隣の両親の居室に向かった。

 皇主の居室のリビングは灯りがつけられ、使用人控え室で番をしていたと思われる侍女が口を手で押さえて震えて立ち尽くしていた。その脇では扉の前で警備に当たっていた近衛2人も呆然としている。
 その近くに父は倒れていて、母は奥の寝室のベッドに寝た状態で事切れていた。
 2人とも心臓を1突きにされていてあまり苦しんだ様子がないのがせめてもの救いだった。

 おそらく、父は母を守るために結界を留めて自分は用を足すために結界外に出たのだろう。父は結界術が苦手で、小さめの結界をひとつだけしか作れなかったからそこを狙われたのだ。
 私は脚に力が入らなくなって母の亡骸のあるベッドの脇に座り込み、必死に流れる涙を止める努力をしていた。

「姫様……」
「すぐに、すぐに落ち着くから。少しだけ……待っていて」
「姫様、ご無理なさらないでください!あとは宰相たちに任せて、お休みになってください!」

 近衛騎士団長が泣き声で言う。

「お父様が亡くなった瞬間からわたくしが皇主よ。責任を果たすわ。それに……どうせ休めないわ……薬で無理やり眠るわけにもいかないし……レギアスが帰るまでは結界を維持しなくては……」
「姫様……いえ、聖上陛下……」

 近衛たちがみな目頭を抑えている。

「サラディールを呼んでくれる?彼に聖印を刻んで貰ってなんとか乗り切るわ……」

 サラディールは従兄弟だ。祝福の術を使える皇族の1人。彼ならきっと聖印を刻んで側についていてくれるだろう。
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