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第十話 弱く、やさしく(3) ※R18
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「ん……」
両手を差し出すと、碗を作るような形にされ、手の中に唾液を落とされた。びっくりしていると、動くなよと笑い含みに言われて、足の間の茎にも月鳴の舌が伸びた。舌先から糸を引いた唾液が落ちる。
生暖かい粘液が先端からゆるゆると下っていって、それだけで腰が跳ねた。
「んあぁっ」
「ほらな、微かなものでも感じるだろう?男らしくて良いもん持ってるんだから大事にしろ。でかいし、形も綺麗だ」
「んん……」
「褒められて嬉しいか?まだ大きくなるんだな」
「でかいの、変?」
「褒めたって言っただろうが、話を聞け。……ほら手を添えて。力は抜いて、そう、添えるだけだ」
言われるがままに、左手は竿の方に、右手は先端を覆うように添える。唾液が両手から零れ落ちて、少し腰が動くだけでくちくちと音がする。
「あっ」
「良いお声だな。さて、楽しんでいたら日が暮れちまう。ちょっと上から手を置くからな」
「はい……」
乾いてごつごつした月鳴の手が、魁英の手ごと性器を包んだ。手まででっかいと笑われて、腰の熱とは別に胸がほこほことあたたかくなる。
そっと力を込めた月鳴の手が、魁英の手を通して陰茎を愛撫する。指先までバラバラな力加減で上下され、緩やかにしかし深く広がる性感に、思わず胸が反って敷布から持ち上がった。右手は手のひらで、先端を円を描くように撫でる。たまらず腰を左右に振った。
「前後に振ってごらん。膝を立てて上下に」
「う、う……」
――言う通りにしてごらん。気持ちいいよ。
躊躇っていると、月鳴の誘う声がして、結局言われた通りに膝を立てた。貝のように閉じた両手の中へ、腰を持ち上げ叩き込む。じゅるりと濡れた手の皮膚と粘膜が擦れて、太い唸り声を上げてしまった。
下唇を噛むが、火のついた体は止まらない。覚えてしまった快感のままに、濡れた両手に向かって腰を上下に振る。ぎゅっと両手を外側から握る月鳴の手に力が入った。まるで、月鳴の手の中に挿れているような感覚に、首を横に振りながら夢中で敏感な場所を擦り上げる。両手の中の唾液が、ぐじゅぐじゅと泡立つ音がする。
「……そうそう。色っぽいぞ、声我慢するなよ」
「ぐ、ぅ」
声を我慢するなと言われても、口を開いたら、月鳴に聞かれたくないくらい、恥ずかしい声が出てしまいそうで口が開かない。すると、月鳴の手が離れて、隣に添い寝するように寝転んできた。驚いていると「そのまま続けろ」と言われて月鳴の手を思い出しながら自分を高める。いい波が来た時に、突然月鳴が耳たぶに口を近づけた。
「あっ、あっ、あっ、あっ」腰の動きに合わせて、常の声とは違う高く掠れた喘ぎ声を注ぎ込まれる。瞬間、かっと頭の中で何かが弾けた。鋭く息を吸った瞬間、びくりと体が痙攣する。
「あぁあああん」
「あー、良い声だ。いい子だな、魁英。もうちょっとだぞ」
「あ、出そ、出そう、あっ、あんっ」
「右手の指を輪にして、そうそう、人差し指と……うん。それでくびれたところ、擦ってごらん。――そうだよ、いい子」
「ふ……うあっ!!!」
「ん、かわいい……」
これが欲しかった、と叫びたくなるような感覚だった。びしびし、と強いものが底の方から飛び出してくる。いつの間にか左手を掴んでいた月鳴がそれまでよりも強めに魁英を擦り上げた。どろりと先端を濡らしていた体液に色が付きはじめる。
ぐっと腰が上がる。足の指で敷布を掴んで体重を支える。思わず右手で首筋の傷跡を揉んだ。ズプリと朱昂の牙が刺さった瞬間の感覚が全身を駆け抜ける。
「あ、ぐ……あぁああ……あっ、あぁあ、……あ、あ、あぁあああああ!!!!」
叫び声と同時に飛び出した白濁がパタパタと豊かな腹筋の上に落ちる。止まってしまった魁英の手の代わりに、月鳴がぐちょぐちょと音を立てながら搾り取るように手を上下させた。
「あ、あぁ……!」
心臓の音に少し遅れるように細かく放出の波が来て、五度目か六度目にようやく全てを出し切った。
ふ、とろうそくの火が消えるように快感が消え去って、敷布に横倒しになって肩で息をする。
暗闇が白んで強い光に飲みこまれる。はっと目を開けると、月鳴が隣に横になっており、肩を撫でられていた。狭い寝台のため、落ちてしまいそうだ。
「俺、寝て、た?」
「いいや、少し気が遠くなっただけだよ。どうだった、弱い力でも気持ち良かっただろう?」
「……すごく気持ちよかった」
ふふ、と月鳴が笑う。
「教えたから後は手伝わんぞ。今日からお前のソレは自分と、触ってもいいと思った奴以外には触らせてはだめだ。拒否しても触ってくる輩は半殺しにしていい。分かったな」
「触っても、いい人……?」
「……好きだなと思った相手だ」
「好き……」
月鳴はしばらくこちらを見つめていたかと思うと、首筋の一番熱くなっている場所に触れた。優しく撫でられているのに、急に重たいような妙な震えが腰と頭に走り、月鳴の手を上から強く押さえる。
「月鳴様……」
「もっと触って欲しいのか」
「あ……」
ごきゅん。派手な音を出して生唾が喉を通り過ぎていく。月鳴の指が首筋を撫でると離れて行った。
「あいつの牙は余程気持ちいいのだろうな……羨ましい」
「羨ましい?」
何故と言いかけてはっとする。月鳴が教えてくれていたではないか。
――朱昂に噛まれると俺以外の輩は気持ち良すぎて気絶するんだ。
月鳴は、あの狂いそうな熱を感じたことがないのだ。
朱昂の与える快感を知っていることが羨ましいのか、と魁英は目を伏せる。脳裏に裸で抱きあっていた朱昂と月鳴の姿が浮かび、足の間が熱くなった。もじ、と足をよじらせる魁英を、目を細めつつ見た月鳴が、不敵に微笑んだ。
「朱昂が羨ましいよ……」
「え?……あっ」
月鳴は顎を大きく開き、朱昂が与えた傷痕とは逆の首筋に噛みついた。人間と変わらぬ歯は魁英の皮膚を突き破ることはない。
「魁英……」
何度も噛む合間に熱く囁かれ、魁英の瞳孔が細くなる。牙の疼くままに月鳴の首筋に噛みつこうとすると、寸前で月鳴に顎を押さえこまれた。
「駄目だ」
一言呟いて起き上がった月鳴は寝台を軋ませ、魁英から離れて行った。
部屋から出て行った月鳴は着替えを持って戻ってきた。体を拭いて着替えると、鉄扉を越えて、最初の日に通された二階の寝室にまで連れて行かれる。もう十分眠ったと思ったのに、月鳴に布団を掛けてもらってから後の記憶が全くない。
安堵で深く眠り込んでしまったのだった。
両手を差し出すと、碗を作るような形にされ、手の中に唾液を落とされた。びっくりしていると、動くなよと笑い含みに言われて、足の間の茎にも月鳴の舌が伸びた。舌先から糸を引いた唾液が落ちる。
生暖かい粘液が先端からゆるゆると下っていって、それだけで腰が跳ねた。
「んあぁっ」
「ほらな、微かなものでも感じるだろう?男らしくて良いもん持ってるんだから大事にしろ。でかいし、形も綺麗だ」
「んん……」
「褒められて嬉しいか?まだ大きくなるんだな」
「でかいの、変?」
「褒めたって言っただろうが、話を聞け。……ほら手を添えて。力は抜いて、そう、添えるだけだ」
言われるがままに、左手は竿の方に、右手は先端を覆うように添える。唾液が両手から零れ落ちて、少し腰が動くだけでくちくちと音がする。
「あっ」
「良いお声だな。さて、楽しんでいたら日が暮れちまう。ちょっと上から手を置くからな」
「はい……」
乾いてごつごつした月鳴の手が、魁英の手ごと性器を包んだ。手まででっかいと笑われて、腰の熱とは別に胸がほこほことあたたかくなる。
そっと力を込めた月鳴の手が、魁英の手を通して陰茎を愛撫する。指先までバラバラな力加減で上下され、緩やかにしかし深く広がる性感に、思わず胸が反って敷布から持ち上がった。右手は手のひらで、先端を円を描くように撫でる。たまらず腰を左右に振った。
「前後に振ってごらん。膝を立てて上下に」
「う、う……」
――言う通りにしてごらん。気持ちいいよ。
躊躇っていると、月鳴の誘う声がして、結局言われた通りに膝を立てた。貝のように閉じた両手の中へ、腰を持ち上げ叩き込む。じゅるりと濡れた手の皮膚と粘膜が擦れて、太い唸り声を上げてしまった。
下唇を噛むが、火のついた体は止まらない。覚えてしまった快感のままに、濡れた両手に向かって腰を上下に振る。ぎゅっと両手を外側から握る月鳴の手に力が入った。まるで、月鳴の手の中に挿れているような感覚に、首を横に振りながら夢中で敏感な場所を擦り上げる。両手の中の唾液が、ぐじゅぐじゅと泡立つ音がする。
「……そうそう。色っぽいぞ、声我慢するなよ」
「ぐ、ぅ」
声を我慢するなと言われても、口を開いたら、月鳴に聞かれたくないくらい、恥ずかしい声が出てしまいそうで口が開かない。すると、月鳴の手が離れて、隣に添い寝するように寝転んできた。驚いていると「そのまま続けろ」と言われて月鳴の手を思い出しながら自分を高める。いい波が来た時に、突然月鳴が耳たぶに口を近づけた。
「あっ、あっ、あっ、あっ」腰の動きに合わせて、常の声とは違う高く掠れた喘ぎ声を注ぎ込まれる。瞬間、かっと頭の中で何かが弾けた。鋭く息を吸った瞬間、びくりと体が痙攣する。
「あぁあああん」
「あー、良い声だ。いい子だな、魁英。もうちょっとだぞ」
「あ、出そ、出そう、あっ、あんっ」
「右手の指を輪にして、そうそう、人差し指と……うん。それでくびれたところ、擦ってごらん。――そうだよ、いい子」
「ふ……うあっ!!!」
「ん、かわいい……」
これが欲しかった、と叫びたくなるような感覚だった。びしびし、と強いものが底の方から飛び出してくる。いつの間にか左手を掴んでいた月鳴がそれまでよりも強めに魁英を擦り上げた。どろりと先端を濡らしていた体液に色が付きはじめる。
ぐっと腰が上がる。足の指で敷布を掴んで体重を支える。思わず右手で首筋の傷跡を揉んだ。ズプリと朱昂の牙が刺さった瞬間の感覚が全身を駆け抜ける。
「あ、ぐ……あぁああ……あっ、あぁあ、……あ、あ、あぁあああああ!!!!」
叫び声と同時に飛び出した白濁がパタパタと豊かな腹筋の上に落ちる。止まってしまった魁英の手の代わりに、月鳴がぐちょぐちょと音を立てながら搾り取るように手を上下させた。
「あ、あぁ……!」
心臓の音に少し遅れるように細かく放出の波が来て、五度目か六度目にようやく全てを出し切った。
ふ、とろうそくの火が消えるように快感が消え去って、敷布に横倒しになって肩で息をする。
暗闇が白んで強い光に飲みこまれる。はっと目を開けると、月鳴が隣に横になっており、肩を撫でられていた。狭い寝台のため、落ちてしまいそうだ。
「俺、寝て、た?」
「いいや、少し気が遠くなっただけだよ。どうだった、弱い力でも気持ち良かっただろう?」
「……すごく気持ちよかった」
ふふ、と月鳴が笑う。
「教えたから後は手伝わんぞ。今日からお前のソレは自分と、触ってもいいと思った奴以外には触らせてはだめだ。拒否しても触ってくる輩は半殺しにしていい。分かったな」
「触っても、いい人……?」
「……好きだなと思った相手だ」
「好き……」
月鳴はしばらくこちらを見つめていたかと思うと、首筋の一番熱くなっている場所に触れた。優しく撫でられているのに、急に重たいような妙な震えが腰と頭に走り、月鳴の手を上から強く押さえる。
「月鳴様……」
「もっと触って欲しいのか」
「あ……」
ごきゅん。派手な音を出して生唾が喉を通り過ぎていく。月鳴の指が首筋を撫でると離れて行った。
「あいつの牙は余程気持ちいいのだろうな……羨ましい」
「羨ましい?」
何故と言いかけてはっとする。月鳴が教えてくれていたではないか。
――朱昂に噛まれると俺以外の輩は気持ち良すぎて気絶するんだ。
月鳴は、あの狂いそうな熱を感じたことがないのだ。
朱昂の与える快感を知っていることが羨ましいのか、と魁英は目を伏せる。脳裏に裸で抱きあっていた朱昂と月鳴の姿が浮かび、足の間が熱くなった。もじ、と足をよじらせる魁英を、目を細めつつ見た月鳴が、不敵に微笑んだ。
「朱昂が羨ましいよ……」
「え?……あっ」
月鳴は顎を大きく開き、朱昂が与えた傷痕とは逆の首筋に噛みついた。人間と変わらぬ歯は魁英の皮膚を突き破ることはない。
「魁英……」
何度も噛む合間に熱く囁かれ、魁英の瞳孔が細くなる。牙の疼くままに月鳴の首筋に噛みつこうとすると、寸前で月鳴に顎を押さえこまれた。
「駄目だ」
一言呟いて起き上がった月鳴は寝台を軋ませ、魁英から離れて行った。
部屋から出て行った月鳴は着替えを持って戻ってきた。体を拭いて着替えると、鉄扉を越えて、最初の日に通された二階の寝室にまで連れて行かれる。もう十分眠ったと思ったのに、月鳴に布団を掛けてもらってから後の記憶が全くない。
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