転生したら悪役令嬢になるが、隣国の極悪非道な皇帝に嫁いだら実はただのツンデレでした。

第一章・転生したら妻にされて⁉ 5

　そしてこの国の第一王子・キリアンの婚約者だったが、先日のパーティーで婚約破棄を突き付けられたらしい。なにやら、この身体のユリアが男爵令嬢であるセレアをイジメたとかで。まぁ、よくある乙女ゲームと一緒ね。
「それで、私は本当に彼女をイジメてたの？」
「とんでもございません。まったくの揺れ衣です。ユリア様は優しくて、そんな事をする人ではないことは使用人は全員分かっておりますわ」
「なるほど。だとしたら、その男爵令嬢にまんまと嵌められたのね」
　なるほど、大体ストーリーは分かってきたわ。残念なことに私が転生したのは婚約破棄の後だったことか。
「もちろん王子と男爵令嬢の愚行は、すぐにバレて濡れ衣は取り消されたのですが。ただそれを聞きつけた隣国である・エミリアン帝国が、すぐにユリア様に婚約を申し込んできたのです。ただ、そこの皇帝陛下はかなり極悪非道で有名でして。婚約しないと国を潰すと言われて……断り切れず」
　で、そのまま婚約を受け入れたと。それは、ショックで倒れるでしょうね。
　エミリオン帝国か。しかし、どうしてヒロインではなく私を？　本来なら、そういうのは悪役令嬢が追放と形で無理やり嫁がされるのだが？
「お父様である公爵様も反対はされたのですが、国の一大事でして。我が国の国王陛下に無理やり婚約を決められてしまいました」
「はぁっ？　何で。元々はあんたの息子の不始末でしょ？　なんで私が尻拭いをしないといけないのよ⁉　その国王も頭おかしいんじゃないの？」
　いやいや。普通有りえないでしょ⁉　するとアミーナは、慌てて私の口を手で塞いだ。
「しーユリア様。お静かに。今は、エミリオン帝国の兵や部下が監視に、こちらを見張られています。もし陛下の耳にでも入ったら大変なことになりますわ」
「うぅっ……何でよ？」
「アディ皇帝陛下は、大変な極悪非道な性格と申しますか。とにかく冷酷だとか血や涙がないとか色々悪い噂が流れている方でございます。悪く言った部下の首を跳ねたとか……恐ろしいことになってしまうかもしれませんわ」
「アミーナ……あんたの方が酷いわよ？」
　私は、呆れながらそうツッコミを入れた。しかし、そんな最低野郎なわけ？　その皇帝陛下って奴は。悪口を言われたからって普通首を跳ねる？
　そんなの聞き流すぐらいしなさいよ……男なら。でもそんな奴が何で私なんかに？