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第五章・ご令嬢誘拐事件。1

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 二階堂ユミカが行方不明になって1日が過ぎた夜。二階堂家に誘拐犯から電話がきた。
『孫を預かっている。返して欲しければ一億を用意しろ』と大金を要求される。
 警察には言うなと言われたが彼女の祖父は、我慢ならずこっそり警察署に連絡をしてきた。孫を助けて欲しいと……。 
 聞く話だと二階堂家は、日本でも有数の大企業・二階堂カンパニーでユミカさんは、その孫娘らしい。まさかのお嬢様だった。
 瀬戸さんは、俺達にも依頼として教えてくれた。警察は、下手に動けないから助けてほしいと。
 俺と神崎さんは、依頼を受け入れ次の日に、彼女の自宅がある文京区に向かった。

 さすが二階堂カンパニーなだけはあり豪邸だった。警察の代わりに来たと言うと会長で祖父の誠一郎は、凄い怒鳴り声をあげてきた。
「本当に孫娘を助けてくれるのだろうな!? 金ならいくらでも出すから何とかしてくれ。しかしユミカが助けられなかったら訴えるからな」
 その言葉を聞いた時に正直呆れ返ってしまう。大切な孫娘が誘拐されて動揺しているのは分かる。だが彼女は犯罪だ。

 彼女の罪を悔やむならまだしも無茶苦茶な事を言う……さすが血筋だな。
 今回は、俺達が犯人を特定して見つけるのが仕事だ。瀬戸さんにいつでも連絡が出来るように待機してもらい、いざとなったら警察が動いてもらえるようにした。
 神崎さんは、次の犯人からの指示を盗聴して居場所を追跡するための準備をする。

「ユミカ……無事かしら」

「大丈夫ですよ。必ず無事に捜してみせますから。なので、もし犯人から連絡があっても冷静にテレビ電話で話を引き延ばして下さい」

 不安そうにする二階堂ユミカの母親に俺は、気遣うようにそう言って励ます。
 引き延ばせば、それだけでも居場所が追跡をしやすくなるからだ。
 相手に気づかせないようにしないといけない分、リスクは高いが……。

 しばらくすると固定のテレビ電話が鳴り出した。 慌てて彼女の母親は、チラッとこちらを見るので俺は、頷き合図を送る。
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