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第三章・銀行強盗事件。15

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 確かに。伊波君の話をしたら神崎さんは、複雑な気持ちになるだろうな。
 俺だとしても罪悪感で押し潰されそうになるだろうし。むしろ思い出すのも辛い過去だろう。神崎さんの気持ちを考えると胸が潰れそうなる。

「分かった。神崎さんには秘密にしておくよ」

「ありがとう。フフッ……松本君から聞いていた通りで、いい人で良かった。これからも仲良くしてくれたら嬉しいな。あ、携帯番号聞いてもいい?」

「うん」

 俺は、伊波君に番号を交換した。その後は、料理が来たので気を取り直して楽しく食事をした。伊波君は、ここのお店に来たのは初めてらしく、しょうが焼きを食べて美味しいと言っていた。そうだろう。俺も一口食べてみる。
 よく染み込んだタレが豚肉に合っていてご飯が進む。
 食べながら話をするが、確かに松本の言う通り伊波君を紹介したかった理由も分かる。話も面白いし同世代だからか気が合う。

 しかし本当に驚いたな。こんな偶然があるなんて……。
改めて神崎さんのことを知ることが出来た。
 前からミステリアスで知らない部分が多かったけど思ったより複雑な環境の人だった。
 一体どんな想いで過ごしてきたのだろうか? 俺には、知る由もなかった……。

 その後。銀行強盗の犯人の身元が分かったと瀬戸さんから連絡があった。
やっぱり神崎さんの予測通りお互いに面識も無く、集められたメンバーだった。
 だが捕まった二人は、小さな犯行だったらしいが、死んだリーダー格の犯人だけ赤薔薇会と接触が合ったのではないかと言われていた。だが結局死んだので、それも謎のまま。

 赤薔薇会は、それすら楽しんでいるように不敵に笑っていた。
 それは、暗い部屋でPCプロジェクターで大きなポログラフの画面でテレビ電話をするある人物だった。

『指示通りに事が運びましたね。残りは、何も知らずに犯行を手伝ったに過ぎませんし、こちらの接点もありません。殺す予定の大島も無事に死んでくれました。
ただ神崎を殺しそびれたのが残念ですが」

『いや……むしろ想定内だ。これは、あくまでもパフォーマンス。それに僕らの企みに気づかないほど彼は、馬鹿じゃない。フフッ……むしろその思惑に気づいた時の彼は、どのような反応をするだろうね? さらに楽しませてくれるのを期待しているよ。あぁ……楽しみだ』

 そう言いながら不敵な笑みをこぼしていた。赤薔薇会の企みは、新たな犯罪の幕開けとなったのだった。

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