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第三章・銀行強盗事件。12

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 どうしてかは分からないけど。俺は、ハァッ……と深いため息を吐いていると誰かに肩をポンッと叩かれた。

「わぁっ!?」

「おわっ……びっくりした!! 何だよ……松本か」

「あ、悪い、悪い。挨拶しても返事ないからさ。どうした? 考え事か?」
「あっ……うん。ごめん」

 肩を叩いてきたのは、松本だった。びっくりした…… 。
 俺は、驚きながらも彼に謝った。

「悩みがあるなら聞くけど?」

「アハハッ……ありがとう。でも大した事じゃないから大丈夫。今日は臨時休業でバイト休みだからさ~メシをどうするか悩んでいただけだし」

 心配してくれる友人に嬉しくなるが理由を言う訳にはいかないし。
 俺は、誤魔化すように笑いながらそう言った。すると松本は、マジで!? と言いながら目を輝かせてきた。その喜びようにまた驚いてしまう。

「あ、じゃあさ……今日暇なんだよな? この間の時に話した奴を紹介したいんだけど……いいか?」

 この間? あ、あぁ……紹介したいって言っていた。
 一瞬何だっけ?と思ったがすぐに思い出した。そういえば面白い奴だとか言っていたっけ。

「そうだね……いいよ」

 俺も松本がそれほど紹介したい奴ってどんな人か興味が湧いた。いい奴なら会ってみたい。いつもならバイトでなかなか松本とも遊べないし。たまには、こういうのも悪くないと思った。
 そして大学が終わると俺と松本は、近くの定食屋に向かった。昔からやっている小さな定食屋なのだが値段も安いし鯖の味噌煮や豚のしょうが焼きがとにかく旨い。
 俺みたいな貧乏学生にはありがたいお店だ。

 中に入ると、まだ来ていなかったみたいなので先に座って待っていた。松本と少しの間話し込む。すると、このお店に似合わなさそうなイケメンが入ってきた。
背は、170センチちよっとぐらいだろうか。色素の薄い茶髪で鼻筋が整った綺麗な顔立ちをしている。すると松本が手を挙げてそのイケメンを呼んだ。

「あ、こっち、こっち。伊波~」
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