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女は度胸。16
しおりを挟む「鬼龍院組・若頭。鬼龍院葵。麻薬取り締まり販売の件で任意同行をお願いします!」
に、任意同行ですって!? しかも警察で……麻薬の取り締まり販売って、どういうことなの!?
するとハッとした。そういえば重勝さんが言っていたわ。最近、鬼龍院組の名を利用して麻薬を買い占めたり、売っている連中が居るって……。
だとしたらそれは、偽者で鬼龍院さんとは、何の関係もないじゃない!!
「ちょっと待って下さい!! それは、鬼龍院さんの名を借りて悪いことをしている連中で鬼龍院さんではありませんから」
私は、慌てて鬼龍院さんの前に立ち叫んだ。冗談じゃないわよ!!
変な濡れ衣で逮捕だなんて許せない。しかし警察の人は、顔色を1つ変えない。
むしろ冷たい目付きで私を睨んできた。
「そういうことは、署で全て聞きますので。とにかく警察署までご同行をお願いします!」
そ、そんな!? ショックを受けていると後ろに居た鬼龍院さんは、私の肩を優しく抱いた。
「大丈夫だ。少し話をしてくるだけだから」
そう言うと私の肩を離し警察の人達について行こうとする。嘘っ……ついて行っちゃうの!? 何で?
違うなら拒めばいいじゃない……。
「ま、待って……鬼龍院さん!?」
私は、必死に叫んで追いかけようとした。だが聞き入れてもらえず鬼龍院さんは、停めてあったパトカーに乗り込むとそのまま行ってしまった。
私だけ取り残されてしまった。何で? 何でこんなことに……。
涙が溢れて止まらなかった。泣き崩れているとしばらくして部下から連絡を聞いて重勝さんが現れた。
今さら来ても遅いよ……重勝さん。
私は、泣きながら重勝さんに伝えた。すると事情を全て聞いた重勝さんは、ハァッとため息を吐くとニコッと笑ってきた。
「上紗さん……大丈夫ですよ。あくまでも任意同行です。任意同行は、疑いのある容疑者の事情を聞くために連れて行ったに過ぎません。任意は、断ることも出来ますがそれは、あくまでも警察側の面子を守るための表向きです。本当の目的は、別にありますから……」
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