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お見合いしたら。18

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「いや。明らかに怖がっていましたよ?」

 私は、構わずにツッコんでしまった。どうも鬼龍院さんだとヤクザという気がしなくて、怖くないと思ってしまう。
 すると鬼龍院さんは、戸惑いながら恥ずかしそうに話し出した。

「実は、昔からオバケとかダメで。子供の頃は、怖いテレビを観た日には、眠れなくて枕を持ってよく部下達の部屋に行っていたんだ」

 子供の頃に怖くて枕を持って部下の部屋に……?
 そう思った瞬間。パジャマ姿で枕を持って涙目になっている鬼龍院さんを想像してしまった。なにそれ……萌える。
 そんな鬼龍院さんが現れたら、添い寝どころか抱き締めて一緒に寝てあげたくなっちゃう。
 いや……それより天使ですか!? 可愛い過ぎるでしょう。

 鬼龍院さんの発言や行動は、どうしても私の胸キュンポイントをついてくる。これがヤクザというのだから凄い。
 すると鬼龍院さんはさらに、しゅんと落ち込んでしまった。

「もしかして……呆れましたか? 僕……昔からそうなんですよね。こんな性格だから女性と上手く付き合えないしモテなくて。デートすら一度や二度しただけで次からは、何だか真っ青な顔で避けられるし。隠れて写真を撮られたりプレゼントを置かれるけど、絶対に近寄っても来ないんです。きっと家がヤクザだから怖がられているのだと思う。喧嘩もしょっちゅうしていたし」

 悲しそうな表情でそう言ってきた。……ううん!? ちょっと待って。ツッコむところが多過ぎますけど?

 それって明らかにモテてるでしょ!? 嫌われてたら写真とか撮らないしプレゼントをあげたりしない。それに、このイケメンだ。
 どう考えても直接言い寄れないだけで遠くから観賞用にされている可能性が高い。
 デートしただけで逃げられる理由は分からないけど、あまりモテる人には、口うるさい女性の先輩とか居て、それに恐れている可能性もある。

 何よりこのギャップで何人の女性をイチコロにしたか分からないだろう。それにしょっちゅう喧嘩って何!?
 どうみても強そうに見えないし……。
 鬼龍院さんは、ちょっと天然があるせいか、自分の立ち位置をイマイチ分かっていない気がしてきた。

「上紗さん……?」

 頭で考え込んでいたせいか鬼龍院さんが心配そうに声をかけてきた。あっ……いけない。

「あ、いえ……すみません。ちょっと驚いちゃって」

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