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第七章・魔女狩り。10
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国を乗っ取ろうした反逆罪。そして母上に濡れ衣を着せて殺そうとした殺人未遂。今回の国を混乱にさせた事は許される事ではない。よって、そのように処罰を下す。父上……処罰は私に任せてもらっても良いか?」
クリスは決断を下しながらもチラッとレイヴァン様に見て尋ねる。
「あぁ、異論はない。私も皇太子……いや皇帝としてそなたのやった罪は大きく許しがたい。これは間違いなく有罪だ。この者の処罰はお前に全て任す」
レイヴァン様から許可が降りる。クリスはそれを聞くとニヤリと笑い、もう一度レイナ様を見下ろした。
「ありがとうございます。では……貴様は別世界世界から転生してきた者だったな。なら処罰は元の世界に戻してやろう」
えっ? 処罰なのに元の世界に戻すの?
元の世界に戻させる事が出来る事にも驚いたが、処罰がそれって……。
重い罪なるところか、それだとただの褒美では?
レイナ様が元の世界に帰りたいと思っているかは分からないが、罪にしては軽過ぎではと思った。
「本当ですか!? じゃあ、やっと元の世界に帰れるのね。この世界はもう散々だったのよ。早く帰って、普段の日常に戻りたいわ」
周りの貴族達も反論するが当の本人であるレイナ様は大喜びする。
「……何か勘違いしていないか? 誰もそのままで帰すとは言っていないぞ」
「……えっ?」
「この世界と貴様が元居た世界は次元が違う。時間の歪みがあるせいか生きてきた日数が異なる。貴様がここで過ごしていた二年ちょっとは、向こうの世界では五十年の月日が過ぎている事だろう。では、本来の貴様の年齢はいくつなのだろうな?」
「ま、まさか!?」
クリスは鍵の形をした杖を地面に突いた。するとレイナ様を囲むように時計の形をした魔法陣が出現する。黄金の眩しい光を浴びたレイナ様は、見る見るうちに老婆に姿を変えていく。現在二十歳だから計算すると七十歳ぐらいだろうか?
真っ黒だった髪が白髪交じりになり、目元や肌にはシワがいくつも出来てハリがない。手足もシワだらけで以前の絶世の美女と言われた美しさは失われていた。
年齢が行っていても美しい貴婦人は多くいるが、彼女はそれとは全く違った様子。
あまりにも老けように彼女に憧れた令嬢や男性達は絶句する。
「いやっ……何よ、これ!? 私の美しい顔が……」
クリスは決断を下しながらもチラッとレイヴァン様に見て尋ねる。
「あぁ、異論はない。私も皇太子……いや皇帝としてそなたのやった罪は大きく許しがたい。これは間違いなく有罪だ。この者の処罰はお前に全て任す」
レイヴァン様から許可が降りる。クリスはそれを聞くとニヤリと笑い、もう一度レイナ様を見下ろした。
「ありがとうございます。では……貴様は別世界世界から転生してきた者だったな。なら処罰は元の世界に戻してやろう」
えっ? 処罰なのに元の世界に戻すの?
元の世界に戻させる事が出来る事にも驚いたが、処罰がそれって……。
重い罪なるところか、それだとただの褒美では?
レイナ様が元の世界に帰りたいと思っているかは分からないが、罪にしては軽過ぎではと思った。
「本当ですか!? じゃあ、やっと元の世界に帰れるのね。この世界はもう散々だったのよ。早く帰って、普段の日常に戻りたいわ」
周りの貴族達も反論するが当の本人であるレイナ様は大喜びする。
「……何か勘違いしていないか? 誰もそのままで帰すとは言っていないぞ」
「……えっ?」
「この世界と貴様が元居た世界は次元が違う。時間の歪みがあるせいか生きてきた日数が異なる。貴様がここで過ごしていた二年ちょっとは、向こうの世界では五十年の月日が過ぎている事だろう。では、本来の貴様の年齢はいくつなのだろうな?」
「ま、まさか!?」
クリスは鍵の形をした杖を地面に突いた。するとレイナ様を囲むように時計の形をした魔法陣が出現する。黄金の眩しい光を浴びたレイナ様は、見る見るうちに老婆に姿を変えていく。現在二十歳だから計算すると七十歳ぐらいだろうか?
真っ黒だった髪が白髪交じりになり、目元や肌にはシワがいくつも出来てハリがない。手足もシワだらけで以前の絶世の美女と言われた美しさは失われていた。
年齢が行っていても美しい貴婦人は多くいるが、彼女はそれとは全く違った様子。
あまりにも老けように彼女に憧れた令嬢や男性達は絶句する。
「いやっ……何よ、これ!? 私の美しい顔が……」
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