執筆徒然日記

常森 楽

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往復ビンタ

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きっと私は抜け出せないのでしょう。
誰といても、どこに行っても、「ああ、彼女だったら」「彼女がいたら」と思ってしまう。
別れた時点の彼女に未練はないと言ったものの、結局こうして人と比較してしまう。
最初からわかってた。
別れる前から、そんなことわかってた。
そもそも、付き合ってる時点でいろんな人と無意識に比較していた。
友人や家族と過ごすなかで、「ああ、今彼女がいたらな」って、ずっと思ってた。
頭の中で、いつも彼女のことを考え、その場を楽しんでいるつもりではあるものの、結局は心此処にあらずなのだ。
「彼女にお土産を買っていこう」とか「帰ったら彼女にあれを話そう」とか、私の頭の中はいつも彼女のことばかりだった。
そんな日常から、早々に脱せられるはずもなく。

たぶん私はあまり人を好きにならない。
だから片思いをしたことがないわけだし。
…でも今は…そうか…元恋人に片思いしているわけだ。
元恋人に。
別れを切り出したのは私の方だけれど、彼女は既に完全に私を見ていなかったし、彼女を解放してあげたい一心だった。
…いや、まあ、私がこれ以上傷つきたくないというのも、もちろんあったけれど。
彼女が、私の知らない誰かとニヤニヤしながら連絡を取ったり、私に内緒で、嘘をついてまで誰かと会っていたりしていなければ、私はまだ耐えられただろう。
誰かにとっては、それは浮気じゃないのかもしれないが、私にとっては、嘘や隠し事をした時点で浮気だ。
パートナーに言えない関係がある時点で、浮気だ。
だから別れたし、私はきっと、もう彼女を信用することもできないから、別れて正解だったとは思う。

でもそれと、次に進めるかは、別の問題だ。
この先も、私は彼女と誰かを比較し続ける。
「ああ、彼女だったら、こうなのにな」って、思い続ける。
そして、万が一誰かが私に好意を抱いてくれて、良い雰囲気になったとしても、私はきっと、その人を心の底からは好きになれない。
その事実が、悲しい。
私から誰かを好きになる可能性が限りなく低い状態では、誰かと親しくなれるなんて、もっと可能性が狭まるじゃないか。
私は一生、誰からも愛されないまま、大事にされないまま、孤独に生きていくしかないのか。
それならもう、早く死んでしまいたいと、強く願ってしまう。

人と会う度に、もしかして私はこんな気持ちになるのだろうか?
そんなのつらすぎる。
ひとりで過ごしている間は、寂しさや人肌恋しさは感じれど、こんなにもつらい気持ちにはならなかった。

どうやったら、人を好きになれるの?
どうしたら、その人を特別だと思えるの?
だって、みんな同じに見える。
もちろん、性格がそれぞれにあるのはわかる。
好みがそれぞれに違うのもわかる。
でも、みんな同じに見える。
私は、苦手な人はすぐにわかるのに、なんで特別に好きな人はわからないの?
私も、誰かを好きになりたい。
彼女のことを忘れることは出来ないけれど、他の人を好きになって、楽しい気持ちになりたい。
もちろん、結ばれない可能性もあるわけで、悲しくなったりもするのかもしれないけれど、少なくとも、元恋人に、いつまでもいつまでも片思いしたままでは…あんまりだ。

過去に戻りたい。
そして、永遠にあの幸せな時を繰り返したまま生きたい。
時が動かなければ、彼女が成長することもないと、わかっていれば、彼女からの暴言にも耐えられるだろう。
なんてことないはずだ。
ただ、あの幸せだった時に戻りたい。
彼女さえそばにいてくれれば幸せだった、あの時に。

自分から人を好きになれないくせに、こんな恋愛体質で、嫌になっちゃうよ、本当に。
彼女は今頃、ニヤニヤしながら連絡を取っていた相手とよろしくやってるんだろう。
私はただの踏み台だった。
こんなクソみたいな世界、消えてしまえばいいんだと、昔から思っていた。
そんな、厨二病みたいな考え、ダサいなって思うけど、また、思ってる。
そら、世の中平和になったって、刺激が欲しくて戦争に走ろうとする人も現れるだろうよ。
なんとなく、わかるよ。
金のためってのが1番だったとしてもね。
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