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6.さんにん
401.冷たい
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にんじん、さつまいも、ごぼう…。
全部美味しい。
こんな素敵なバレンタインは初めてだ!
私が全種類食べ終えてから、千陽と穂も食べ始める。
「おいし」
千陽は呟くように言って、凄い勢いで口に放り込み始めるから、慌てて止めた。
「永那ちゃんとお母さんに…少しだけど煮物も作ったから、持ってって?」
「うん!ありがとう!」
「千陽にも、あるからね」
「ありがと」
野菜チップスを食べ終えた私は、四つん這いに千陽を乗り越えて、穂を押し倒す。
「え、永那ちゃん!?」
「さっきの続き」
顔を近づけると、穂が目を閉じる。
それが嬉しくて、彼女の唇を唇で挟む。
ハムハムして、たまに舐めて…。
チップスに振りかけた塩が唇についていたのか、少ししょっぱい。
それも含めて味わう。
彼女が少し舌を出してくれて、余計嬉しくて、いつもより激しめに絡めてしまう。
クチュクチュと音が鳴って、唾液が混じり合う。
おいしい。
子宮が疼いてくる。
襲いたい。
このまま食べちゃいたい。
彼女の胸に触れる。
ブレザー越しだと触りにくい。
だからボタンを外して、もう一度。
膝を彼女の太ももの間に忍ばせる。
「ん」
ブレザー、セーター、シャツ、インナー、ブラ…。
こう考えると、冬服ってかなりガード固めだよね。
安心感はあるけど、こういう時、ちょっとめんどくさい。
…でもそれがいいのかな?
ムードを盛り上げるって感じで。
「ずるい…」
絶対いつか言ってくると思った。
一旦離れて、千陽を見る。
彼女は自分の膝を抱えて、私達を見ていた。
「浮気相手は後回しに決まってるだろ」
「ひど…」
「ひどくないし。私、穂とのキス、久しぶりだよ?」
「あたしだって、元旦からしてない」
「ふ、2人とも…ほら、そろそろ、帰らなくちゃ」
「「嫌」」
穂が苦笑する。
「穂、シたい」
「永那ちゃん…それは…」
「ダメなの?」
「だ、だって…遅くなっちゃうよ」
「だから何?」
穂が眉間にシワを寄せて考え込む。
「この前だって、その前だって、永那ちゃんが帰るの遅くなって、お母さん、大変だったんでしょ?」
嫌な記憶が蘇る。
「じゃあ…いつできんの?前にも言ったけど、私、穂と全然できないなら、3人ではシたくないよ」
穂が目を見開く。
彼女の視線が千陽に移動して、その表情だけで、千陽がどんな顔をしているのか想像できた。
胸がズキリと痛む。
「私は…穂とシたい…」
「…うん」
「穂は、私とシたい?」
「うん」
「千陽とも…楽しみにしてたけど…楽しみにしてるけど…」
肺の息を全部吐き出すようにため息をつく。
「うん」
「…あたしの部屋、使ったら?」
千陽の顔が見れない。
その声があまりにも苦しそうだったから。
嫌な沈黙が降りる。
「あー!もう!」
髪をぐしゃぐしゃにする。
「やっぱ、帰る!」
「え?」
穂が“理解できない”みたいな顔をする。
「帰るよ」
「…でも」
ため息をつきながら、なんとか口角を上げた。
「千陽、ごめんね」
やっと千陽の顔を見た。
千陽も穂みたいに戸惑っているみたいだった。
それが可笑しくて、今度こそ本当に笑った。
そっと千陽にキスをする。
ポンポンと頭を撫でると、彼女は俯いて、膝に顔をうずめた。
「穂は、どうする?帰る?」
「あ、うん。帰る」
2人で帰り支度をして、玄関まで行く。
「一回だけ、で、いいから…穂とも…」
千陽が下唇を噛む。左腕を擦りながら。
穂が私を見てくるから、頷いた。
穂と千陽が触れるだけのキスをした。
千陽が喜びを噛みしめるみたいに笑うから、その笑顔が嬉しくて、ホッとする自分がいる。
我ながら、自分に呆れる。
感情が、ぐちゃぐちゃだ。
「じゃあ、また明日ね。千陽」
「うん」
「おやすみ」
「おやすみ」
留守番する子供みたいに、千陽は、気丈とも不安げともとれる表情を浮かべていた。
私達が外に出ると、鍵が閉まる音が響いた。
穂と手を繋ぐ。
「穂」
「ん?」
「ホワイトデーにお返し、ちゃんとするから」
「無理しなくていいよ?」
「するから」
「…わかった。楽しみにしてるね?」
「うん」
2人でゆっくり歩く。
2人の時間を大事にするように、一歩一歩。
「毎日…」
穂がモゴモゴと口を動かす。
彼女の言葉をじっと待つ。
「毎日、エッチ…してたから…さ?」
エッチの話か。
ついプッと吹き出して笑ってしまう。
肩を小突かれた。
「してたから、なに?」
笑いが止まらない。
「もー!永那ちゃんのバカ!」
「わかったから。…なに?」
奥歯を強く噛んで、笑いを堪える。
むぅっと唇を尖らせて、穂が地面を見た。
それは、溶けた雪がアスファルトに染みて凍っているのを気をつけているような仕草にも見える。
実際、ちょっと滑りそうで危ない。
寒いから、繋いだ手をポケットに突っ込んだ。
全部美味しい。
こんな素敵なバレンタインは初めてだ!
私が全種類食べ終えてから、千陽と穂も食べ始める。
「おいし」
千陽は呟くように言って、凄い勢いで口に放り込み始めるから、慌てて止めた。
「永那ちゃんとお母さんに…少しだけど煮物も作ったから、持ってって?」
「うん!ありがとう!」
「千陽にも、あるからね」
「ありがと」
野菜チップスを食べ終えた私は、四つん這いに千陽を乗り越えて、穂を押し倒す。
「え、永那ちゃん!?」
「さっきの続き」
顔を近づけると、穂が目を閉じる。
それが嬉しくて、彼女の唇を唇で挟む。
ハムハムして、たまに舐めて…。
チップスに振りかけた塩が唇についていたのか、少ししょっぱい。
それも含めて味わう。
彼女が少し舌を出してくれて、余計嬉しくて、いつもより激しめに絡めてしまう。
クチュクチュと音が鳴って、唾液が混じり合う。
おいしい。
子宮が疼いてくる。
襲いたい。
このまま食べちゃいたい。
彼女の胸に触れる。
ブレザー越しだと触りにくい。
だからボタンを外して、もう一度。
膝を彼女の太ももの間に忍ばせる。
「ん」
ブレザー、セーター、シャツ、インナー、ブラ…。
こう考えると、冬服ってかなりガード固めだよね。
安心感はあるけど、こういう時、ちょっとめんどくさい。
…でもそれがいいのかな?
ムードを盛り上げるって感じで。
「ずるい…」
絶対いつか言ってくると思った。
一旦離れて、千陽を見る。
彼女は自分の膝を抱えて、私達を見ていた。
「浮気相手は後回しに決まってるだろ」
「ひど…」
「ひどくないし。私、穂とのキス、久しぶりだよ?」
「あたしだって、元旦からしてない」
「ふ、2人とも…ほら、そろそろ、帰らなくちゃ」
「「嫌」」
穂が苦笑する。
「穂、シたい」
「永那ちゃん…それは…」
「ダメなの?」
「だ、だって…遅くなっちゃうよ」
「だから何?」
穂が眉間にシワを寄せて考え込む。
「この前だって、その前だって、永那ちゃんが帰るの遅くなって、お母さん、大変だったんでしょ?」
嫌な記憶が蘇る。
「じゃあ…いつできんの?前にも言ったけど、私、穂と全然できないなら、3人ではシたくないよ」
穂が目を見開く。
彼女の視線が千陽に移動して、その表情だけで、千陽がどんな顔をしているのか想像できた。
胸がズキリと痛む。
「私は…穂とシたい…」
「…うん」
「穂は、私とシたい?」
「うん」
「千陽とも…楽しみにしてたけど…楽しみにしてるけど…」
肺の息を全部吐き出すようにため息をつく。
「うん」
「…あたしの部屋、使ったら?」
千陽の顔が見れない。
その声があまりにも苦しそうだったから。
嫌な沈黙が降りる。
「あー!もう!」
髪をぐしゃぐしゃにする。
「やっぱ、帰る!」
「え?」
穂が“理解できない”みたいな顔をする。
「帰るよ」
「…でも」
ため息をつきながら、なんとか口角を上げた。
「千陽、ごめんね」
やっと千陽の顔を見た。
千陽も穂みたいに戸惑っているみたいだった。
それが可笑しくて、今度こそ本当に笑った。
そっと千陽にキスをする。
ポンポンと頭を撫でると、彼女は俯いて、膝に顔をうずめた。
「穂は、どうする?帰る?」
「あ、うん。帰る」
2人で帰り支度をして、玄関まで行く。
「一回だけ、で、いいから…穂とも…」
千陽が下唇を噛む。左腕を擦りながら。
穂が私を見てくるから、頷いた。
穂と千陽が触れるだけのキスをした。
千陽が喜びを噛みしめるみたいに笑うから、その笑顔が嬉しくて、ホッとする自分がいる。
我ながら、自分に呆れる。
感情が、ぐちゃぐちゃだ。
「じゃあ、また明日ね。千陽」
「うん」
「おやすみ」
「おやすみ」
留守番する子供みたいに、千陽は、気丈とも不安げともとれる表情を浮かべていた。
私達が外に出ると、鍵が閉まる音が響いた。
穂と手を繋ぐ。
「穂」
「ん?」
「ホワイトデーにお返し、ちゃんとするから」
「無理しなくていいよ?」
「するから」
「…わかった。楽しみにしてるね?」
「うん」
2人でゆっくり歩く。
2人の時間を大事にするように、一歩一歩。
「毎日…」
穂がモゴモゴと口を動かす。
彼女の言葉をじっと待つ。
「毎日、エッチ…してたから…さ?」
エッチの話か。
ついプッと吹き出して笑ってしまう。
肩を小突かれた。
「してたから、なに?」
笑いが止まらない。
「もー!永那ちゃんのバカ!」
「わかったから。…なに?」
奥歯を強く噛んで、笑いを堪える。
むぅっと唇を尖らせて、穂が地面を見た。
それは、溶けた雪がアスファルトに染みて凍っているのを気をつけているような仕草にも見える。
実際、ちょっと滑りそうで危ない。
寒いから、繋いだ手をポケットに突っ込んだ。
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