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5.時間
276.一緒
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写真を見返していたらあっという間に時間は過ぎて、夕食の時間になった。
永那ちゃんを起こすと、普段しているみたいに、うなじを掴まれてキスされた。
森山さんが顔を真っ赤にしているのが視界に入って、一気に顔が熱くなる。
優里ちゃんは、もう何も気にしていないみたいで「ほら、早くー」と急かされた。
「バカ、バカ」
永那ちゃんの肩をポカポカ叩く。
「好きだよ、穂」
嬉しさと恥ずかしさが同居する。
ご飯を食べ終えて、先生から、今日午前中に行った資料館の説明があった。
歴史の授業のような講座が開かれて、みんなウトウトしていた。
「穂、今日泣いてたね」と、隣に座る永那ちゃんがニヤニヤ笑うから、そっぽを向く。
班のお風呂の時間になって脱衣所に行くと、昨日と同様に、両隣に永那ちゃんと千陽が立った。
永那ちゃんと優里ちゃんが先に入って、後から3人が入るのも昨日と同じ。
永那ちゃんが優里ちゃんと私の背中を洗ってくれて、私が千陽の背中を洗う。
違ったのは、お湯に入ってから、千陽が永那ちゃんをあからさまに避けるようにしていたことだった。
優里ちゃんは相変わらず千陽の胸を揉もうとして、その様子がおかしくてたくさん笑った。
「隙あり!」
永那ちゃんが私を後ろから抱きしめる。
「永那ちゃん!」
「抱きしめるのもダメ?」
その悲しそうな声で、私は何も言えなくなる。
「あー、シたい」
囁くように言われて、下腹部が疼く。
「だめ」
「言ってるだけですー」
永那ちゃんは私の首筋に顔をうずめて、左右に首を振った。
今日は昨日よりも早く上がれたから、私は千陽と優里ちゃんと森山さんと、脱衣所のドライヤーを使った。
「永那ちゃんは?」と聞いたけど「めんどくさいからいい」と返ってきた。
ドライヤーをかけ終えて、髪を櫛で梳かす。
落ちた髪の毛をティッシュで拾うと、千陽がそれを真似するから、可愛くてつい笑みが溢れた。
部屋に戻ると、永那ちゃんは私の膝枕で寝た。
また髪が濡れているから、フェイスタオルを膝に敷く。
千陽が服を畳んで鞄にしまっていたら、優里ちゃんが千陽の服を奪って、部屋が賑やかになる。
「穂ちゃん!見て!」
そう言われて見ると、優里ちゃんが千陽のブラを、浴衣の上から着けていた。
苦笑する。
「ねえ、ヤバくない?ほら、ほら!」
胸元にできたすき間を指でペコペコ押しながら、私に見せてくる。
「返せ!」
千陽が優里ちゃんを羽交い締めにする。
「痛い痛い痛い!ごめんなさい!ごめんなさい!」
本気で怒る千陽も珍しい…。
あ…いや、今朝も永那ちゃんのお腹、蹴ってたな…。
千陽は服を鞄にしまって、自分の鞄を漁っていた優里ちゃんに枕を投げつけた。
「な!?…千陽ー、やったなー!」
そこから、枕投げが始まる。
優里ちゃんが半ば無理矢理森山さんを参加させて、私と永那ちゃんの枕まで使って、攻防が繰り広げられていた。
危ないから、私は永那ちゃんを膝から下ろして、コロコロ転がして端に寄せた。
フゥッと息を吐いたところで、頭に何かが当たる。
振り向くと、枕が落ちていた。
優里ちゃんが舌を出す。
「ごめんちょ」
私は落ちた枕を掴んで、優里ちゃんに投げる。
…枕投げなんて、初めてやった。
そういうものがあるのは知っていたし、中学のときの修学旅行で、他の部屋の人達がやったという話も聞いた。
でも私がいたからか、中学のときの私のいた班では、そういうことは一切起こらなかった。
「てい!やー!」
優里ちゃんが助走をつけて枕を投げる。
千陽が器用に避けていて、部屋の物が壊れないか、若干心配になった。
…と、よそ見をしていたら、枕が顔面に飛んできて、視界が揺らぐ。
「え?」
視界の全面に天井が映る。
「うっ…」と下から聞こえてきて、横を見ると、永那ちゃんが眉間にシワを寄せていた。
「わー!穂ちゃん!ごめんね!ほんとーに!ごめんね!大丈夫?」
優里ちゃんが慌てて駆け寄ってくる。
「う、うん…私は…」
「心配されるべきは私だろ…」
しゃがれた声で、永那ちゃんが言う。
「永那、よくぞ穂ちゃんを守った!」
優里ちゃんが腰に手を当てて、ふんぞり返った。
「ハァ」と永那ちゃんがため息をつく。
私が、のそのそ彼女から下りると、永那ちゃんにジーッと見られた。
「ごめん…ね?」
彼女の左眉が上がる。
「だーっ!」
永那ちゃんに押し倒されて、脇腹をくすぐられた。
「永那ちゃん…!アハハハッ、やめ、やめてっ」
ボフッと音がして、永那ちゃんの攻撃が止む。
「優ー里ー…」
「穂ちゃんをいじめるな!」
落ちた枕を取って、永那ちゃんが優里ちゃんに投げ返す。
私は寝転んだまま、目を閉じて、みんなの楽しそうな声を聞く。
…幸せ。
「穂」
呼ばれて、目を開ける。
「隙あり!」
顔に枕が落ちてくる。
私は立ち上がって、その枕を永那ちゃんに投げた。
永那ちゃんを起こすと、普段しているみたいに、うなじを掴まれてキスされた。
森山さんが顔を真っ赤にしているのが視界に入って、一気に顔が熱くなる。
優里ちゃんは、もう何も気にしていないみたいで「ほら、早くー」と急かされた。
「バカ、バカ」
永那ちゃんの肩をポカポカ叩く。
「好きだよ、穂」
嬉しさと恥ずかしさが同居する。
ご飯を食べ終えて、先生から、今日午前中に行った資料館の説明があった。
歴史の授業のような講座が開かれて、みんなウトウトしていた。
「穂、今日泣いてたね」と、隣に座る永那ちゃんがニヤニヤ笑うから、そっぽを向く。
班のお風呂の時間になって脱衣所に行くと、昨日と同様に、両隣に永那ちゃんと千陽が立った。
永那ちゃんと優里ちゃんが先に入って、後から3人が入るのも昨日と同じ。
永那ちゃんが優里ちゃんと私の背中を洗ってくれて、私が千陽の背中を洗う。
違ったのは、お湯に入ってから、千陽が永那ちゃんをあからさまに避けるようにしていたことだった。
優里ちゃんは相変わらず千陽の胸を揉もうとして、その様子がおかしくてたくさん笑った。
「隙あり!」
永那ちゃんが私を後ろから抱きしめる。
「永那ちゃん!」
「抱きしめるのもダメ?」
その悲しそうな声で、私は何も言えなくなる。
「あー、シたい」
囁くように言われて、下腹部が疼く。
「だめ」
「言ってるだけですー」
永那ちゃんは私の首筋に顔をうずめて、左右に首を振った。
今日は昨日よりも早く上がれたから、私は千陽と優里ちゃんと森山さんと、脱衣所のドライヤーを使った。
「永那ちゃんは?」と聞いたけど「めんどくさいからいい」と返ってきた。
ドライヤーをかけ終えて、髪を櫛で梳かす。
落ちた髪の毛をティッシュで拾うと、千陽がそれを真似するから、可愛くてつい笑みが溢れた。
部屋に戻ると、永那ちゃんは私の膝枕で寝た。
また髪が濡れているから、フェイスタオルを膝に敷く。
千陽が服を畳んで鞄にしまっていたら、優里ちゃんが千陽の服を奪って、部屋が賑やかになる。
「穂ちゃん!見て!」
そう言われて見ると、優里ちゃんが千陽のブラを、浴衣の上から着けていた。
苦笑する。
「ねえ、ヤバくない?ほら、ほら!」
胸元にできたすき間を指でペコペコ押しながら、私に見せてくる。
「返せ!」
千陽が優里ちゃんを羽交い締めにする。
「痛い痛い痛い!ごめんなさい!ごめんなさい!」
本気で怒る千陽も珍しい…。
あ…いや、今朝も永那ちゃんのお腹、蹴ってたな…。
千陽は服を鞄にしまって、自分の鞄を漁っていた優里ちゃんに枕を投げつけた。
「な!?…千陽ー、やったなー!」
そこから、枕投げが始まる。
優里ちゃんが半ば無理矢理森山さんを参加させて、私と永那ちゃんの枕まで使って、攻防が繰り広げられていた。
危ないから、私は永那ちゃんを膝から下ろして、コロコロ転がして端に寄せた。
フゥッと息を吐いたところで、頭に何かが当たる。
振り向くと、枕が落ちていた。
優里ちゃんが舌を出す。
「ごめんちょ」
私は落ちた枕を掴んで、優里ちゃんに投げる。
…枕投げなんて、初めてやった。
そういうものがあるのは知っていたし、中学のときの修学旅行で、他の部屋の人達がやったという話も聞いた。
でも私がいたからか、中学のときの私のいた班では、そういうことは一切起こらなかった。
「てい!やー!」
優里ちゃんが助走をつけて枕を投げる。
千陽が器用に避けていて、部屋の物が壊れないか、若干心配になった。
…と、よそ見をしていたら、枕が顔面に飛んできて、視界が揺らぐ。
「え?」
視界の全面に天井が映る。
「うっ…」と下から聞こえてきて、横を見ると、永那ちゃんが眉間にシワを寄せていた。
「わー!穂ちゃん!ごめんね!ほんとーに!ごめんね!大丈夫?」
優里ちゃんが慌てて駆け寄ってくる。
「う、うん…私は…」
「心配されるべきは私だろ…」
しゃがれた声で、永那ちゃんが言う。
「永那、よくぞ穂ちゃんを守った!」
優里ちゃんが腰に手を当てて、ふんぞり返った。
「ハァ」と永那ちゃんがため息をつく。
私が、のそのそ彼女から下りると、永那ちゃんにジーッと見られた。
「ごめん…ね?」
彼女の左眉が上がる。
「だーっ!」
永那ちゃんに押し倒されて、脇腹をくすぐられた。
「永那ちゃん…!アハハハッ、やめ、やめてっ」
ボフッと音がして、永那ちゃんの攻撃が止む。
「優ー里ー…」
「穂ちゃんをいじめるな!」
落ちた枕を取って、永那ちゃんが優里ちゃんに投げ返す。
私は寝転んだまま、目を閉じて、みんなの楽しそうな声を聞く。
…幸せ。
「穂」
呼ばれて、目を開ける。
「隙あり!」
顔に枕が落ちてくる。
私は立ち上がって、その枕を永那ちゃんに投げた。
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