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4.踏み込む
249.爆弾発言(236.先輩と同時進行)
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学校が終わり、千陽と優里ちゃんと3人で私の家に向かった。
終始、千陽は私と話したいような雰囲気を出していたけれど、優里ちゃんに勉強を教えることで、なんとか回避した。
千陽の帰りが遅くならないように、6時半には解散した。
火曜日の休み時間中「空井さん」と呼ばれて、ぎこちなく振り向く。
「ちょっと」
冷たい視線を浴びせられて、仕方なく立ち上がる。
校舎裏。
…永那ちゃんも千陽も、校舎裏が好きなんだなあ。
なんて、呑気に考えれば多少は気が紛れる。
「今日も、永那がおかしいんだけど…。本当に、何話したの?」
夜、メッセージでも聞かれ、電話までかけられた。
でもさすがに話せなくて、テストの話をして、なんとか誤魔化した。
(誤魔化せたのかな?)
「わ、私には…その…その気は、全然、なかったんだけど…」
「うん」
「その…え、永那ちゃんに“3人でシたいの?”って聞かれて…」
生徒の話し声、草木が風に揺れる音、車が風を切る音。
昨日は現実逃避になったそれらの音が、妙にうるさく感じる。
「へえ」
「そ、そんな…!そんな、淫らな関係…だ、だめだし。だめだから…私は、全然、そんなこと、考えてもいなかったんだけど…永那ちゃんには“そう聞こえる”って、言われちゃった…」
「ふーん」
いつか優里ちゃんが、悩み相談をしても千陽の反応が“へえ”とか“ふーん”だけで、全然理解してもらえないと嘆いていた。
その気持ちが、よくわかる。
…理解してもらえない、というより、なんか…こう…何を考えているのかわからない…という感じ。
暖簾に腕押しみたいな…。
…それもまた、意味が違うかな?
「穂、あたし達の関係のこと“淫ら”と思ってるの?」
「え…?」
永那ちゃんにそう言われて、(そっか、そういう関係は淫らなんだ)って思って、言葉にした。
「あたし達って、そんな、節操ない関係なの?」
「…あくまで…淫らっていうのは、3人でするような関係になったらの話で…。今は」
「大して変わらないでしょ」
頭がこんがらがってくる。
「穂…あたし達って、いけない関係?」
「…わ、私は…そうは、思ってない。2人を、大事にしたい…と、思って、精一杯、やってる」
「なら、良かった。あたし、傷つくとこだった」
千陽が私の手を引く。
「永那の様子がおかしい理由がわかって良かった。教えてくれて、ありがと」
2人で教室に戻った。
放課後、4人で永那ちゃんの家に行った。
優里ちゃんがお母さんと楽しそうに話す。
私はそんなふうに簡単に、人と友達みたいに話せないから、羨ましいと思った。
永那ちゃんは相変わらず千陽に対してぎこちなくて、千陽は全然それを気にしていなくて、彼女達の温度差に笑ってしまう。
…千陽、肝が据わってるなあ。
お母さんが優里ちゃんと話しているから、私はこっそりノートを出す。
4ヶ月記念日の計画を練ってきたから。
正座して、永那ちゃんに向き合う。
永那ちゃんは、もしかしたらエッチがしたかったかもしれないけど…たまには、いいよね?
勇気を出して、水族館デートがしたいと言った。
すんなり“いいよ”と言ってもらえて、ホッとする。
前回千陽と2人で永那ちゃんの家にお邪魔したときと同じように、千陽を家まで送ってから、優里ちゃんと2人で電車に乗った。
「やっぱり、美人の親は美人なんだね。蛙の子は蛙ってやつだ」
「そうだね」
「穂ちゃんのお母さんも、ピシッとしてて、穂ちゃんのお母さんって感じがする」
「そう?…酔っ払ってると、別人だよ」
「そうなんだ!?じゃあ、穂ちゃんも酔っ払うとそうなるのかな?」
「それは…嫌だなあ。優里ちゃんのお母さんは、優しそう」
「全然!勉強しろしろうるさいよ?ホント」
「それは、親なら当たり前なんじゃない?」
「えー!そうかなー?…もっと、私のバドミントンを応援してくれるとかさ!あるじゃん?」
「ああ、そっかあ。…応援してくれないの?」
「んー?んー…応援は、してくれてる…」
「それは…やっぱり良いお母さんだよ」
てへへと優里ちゃんが笑う。
水曜日、永那ちゃんが昼休みに、真っ先に私の席に来た。
「あの、前に話した、助けてくれた人から、連絡あった」
「え…!そうなんだ。どう、だった?」
「やっぱ、お姉ちゃんの説得は厳しそうだって。…でも、お礼を言いに、会いに行こうと思う」
私が頷くのを確認して「土曜日、会ってくる」と俯きながら、彼女が言った。
「応援してる」
「うん。…穂、もしかしたら、連絡するかも」
「わかった。いつでもスマホ、見られるようにしておくね」
それからみんなでお昼を食べて、その日の放課後も千陽と優里ちゃんと3人で、私の家で勉強をした。
終始、千陽は私と話したいような雰囲気を出していたけれど、優里ちゃんに勉強を教えることで、なんとか回避した。
千陽の帰りが遅くならないように、6時半には解散した。
火曜日の休み時間中「空井さん」と呼ばれて、ぎこちなく振り向く。
「ちょっと」
冷たい視線を浴びせられて、仕方なく立ち上がる。
校舎裏。
…永那ちゃんも千陽も、校舎裏が好きなんだなあ。
なんて、呑気に考えれば多少は気が紛れる。
「今日も、永那がおかしいんだけど…。本当に、何話したの?」
夜、メッセージでも聞かれ、電話までかけられた。
でもさすがに話せなくて、テストの話をして、なんとか誤魔化した。
(誤魔化せたのかな?)
「わ、私には…その…その気は、全然、なかったんだけど…」
「うん」
「その…え、永那ちゃんに“3人でシたいの?”って聞かれて…」
生徒の話し声、草木が風に揺れる音、車が風を切る音。
昨日は現実逃避になったそれらの音が、妙にうるさく感じる。
「へえ」
「そ、そんな…!そんな、淫らな関係…だ、だめだし。だめだから…私は、全然、そんなこと、考えてもいなかったんだけど…永那ちゃんには“そう聞こえる”って、言われちゃった…」
「ふーん」
いつか優里ちゃんが、悩み相談をしても千陽の反応が“へえ”とか“ふーん”だけで、全然理解してもらえないと嘆いていた。
その気持ちが、よくわかる。
…理解してもらえない、というより、なんか…こう…何を考えているのかわからない…という感じ。
暖簾に腕押しみたいな…。
…それもまた、意味が違うかな?
「穂、あたし達の関係のこと“淫ら”と思ってるの?」
「え…?」
永那ちゃんにそう言われて、(そっか、そういう関係は淫らなんだ)って思って、言葉にした。
「あたし達って、そんな、節操ない関係なの?」
「…あくまで…淫らっていうのは、3人でするような関係になったらの話で…。今は」
「大して変わらないでしょ」
頭がこんがらがってくる。
「穂…あたし達って、いけない関係?」
「…わ、私は…そうは、思ってない。2人を、大事にしたい…と、思って、精一杯、やってる」
「なら、良かった。あたし、傷つくとこだった」
千陽が私の手を引く。
「永那の様子がおかしい理由がわかって良かった。教えてくれて、ありがと」
2人で教室に戻った。
放課後、4人で永那ちゃんの家に行った。
優里ちゃんがお母さんと楽しそうに話す。
私はそんなふうに簡単に、人と友達みたいに話せないから、羨ましいと思った。
永那ちゃんは相変わらず千陽に対してぎこちなくて、千陽は全然それを気にしていなくて、彼女達の温度差に笑ってしまう。
…千陽、肝が据わってるなあ。
お母さんが優里ちゃんと話しているから、私はこっそりノートを出す。
4ヶ月記念日の計画を練ってきたから。
正座して、永那ちゃんに向き合う。
永那ちゃんは、もしかしたらエッチがしたかったかもしれないけど…たまには、いいよね?
勇気を出して、水族館デートがしたいと言った。
すんなり“いいよ”と言ってもらえて、ホッとする。
前回千陽と2人で永那ちゃんの家にお邪魔したときと同じように、千陽を家まで送ってから、優里ちゃんと2人で電車に乗った。
「やっぱり、美人の親は美人なんだね。蛙の子は蛙ってやつだ」
「そうだね」
「穂ちゃんのお母さんも、ピシッとしてて、穂ちゃんのお母さんって感じがする」
「そう?…酔っ払ってると、別人だよ」
「そうなんだ!?じゃあ、穂ちゃんも酔っ払うとそうなるのかな?」
「それは…嫌だなあ。優里ちゃんのお母さんは、優しそう」
「全然!勉強しろしろうるさいよ?ホント」
「それは、親なら当たり前なんじゃない?」
「えー!そうかなー?…もっと、私のバドミントンを応援してくれるとかさ!あるじゃん?」
「ああ、そっかあ。…応援してくれないの?」
「んー?んー…応援は、してくれてる…」
「それは…やっぱり良いお母さんだよ」
てへへと優里ちゃんが笑う。
水曜日、永那ちゃんが昼休みに、真っ先に私の席に来た。
「あの、前に話した、助けてくれた人から、連絡あった」
「え…!そうなんだ。どう、だった?」
「やっぱ、お姉ちゃんの説得は厳しそうだって。…でも、お礼を言いに、会いに行こうと思う」
私が頷くのを確認して「土曜日、会ってくる」と俯きながら、彼女が言った。
「応援してる」
「うん。…穂、もしかしたら、連絡するかも」
「わかった。いつでもスマホ、見られるようにしておくね」
それからみんなでお昼を食べて、その日の放課後も千陽と優里ちゃんと3人で、私の家で勉強をした。
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