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4.踏み込む
227.疲労
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誉を見送って、学校に連絡して、朝ご飯を食べて、私はベッドに横になる。
眠ろうと思うけど、目が冴えてるから、全然眠くない。
体も全然ダルくないし、やっぱり風邪じゃなかったのかな?
スマホで調べると、疲れで熱が出ることもあるらしいということがわかった。
…永那ちゃんと付き合ってから、怒涛のように日々が過ぎていった。
無意識のうちに、疲れがたまっていたのかもしれない。
すごく元気だから、ベッドに寝転んでいるのもおかしい気がして、教科書を開いた。
お昼に永那ちゃんが買ってきてくれたたこ焼きを電子レンジであたためて食べた。
具合は悪くないけど…悪くないから?せっかくだからプリンも食べる。
「おいしい」
平日に学校を休んで好物を食べるなんて、なんだかすごく特別感がある。
また勉強をしていたら、誉が帰ってきた。
「姉ちゃん、大丈夫?」
「うん、元気すぎてびっくりしちゃう」
「マジか。…まあ、それなら良かったね」
私は頷いて、視線を教科書に戻した。
「勉強してんの?」
「うん、暇だったから」
誉が“うへぇ”と口を曲げて、荷物を部屋に置きに行った。
隣で誉がゲームをする。
しばらくして、永那ちゃん、千陽、優里ちゃんが家に来た。
「大丈夫だった~!?」
優里ちゃんに抱きしめられる。
「うん…なんか、今日は、すごく元気で」
永那ちゃんが隣に立ったから、手を伸ばして彼女の額に触れる。
熱は、なさそう。
「ホントに大丈夫だよ?」
彼女がニシシと笑う。
目の下のクマは気になるけど…元気ならよかった。
千陽はスタスタとリビングに入っていく。
それを見て、優里ちゃんが離してくれる。
みんなでリビングのローテーブルを囲んで座る。
誉がお菓子とお茶を用意してくれた。
千陽がノートを出して、ルーズリーフに書き写す。
「今日の分?」
彼女が頷く。
「ありがとう」
もう一度頷いて、ノートに視線を戻した。
千陽は、学校でも、優里ちゃんの前でも“空井さん”呼びをやめていない。
“もういいんじゃない?”と言ってみたけど、“嫌だ”と言われてしまった。
よくわからないけど、千陽が嫌ならと、私も合わせている。
たまに間違えそうになって焦ることもあるけど。
「文化祭が終わったと思ったら、またテスト~、もう嫌だ~」
優里ちゃんがお菓子を頬張りながら、両手を机に投げ出す。
「テスト期間中、みんなで勉強するよね?…っていうか、私的には、来週の月曜日から毎日穂ちゃんに教えてもらいたいくらいなんだけど…」
上目遣いに見られる。
「優里、それくらい自分でやれよ。穂、体調悪いんだし」
永那ちゃんが頬杖をつきながら言う。
「もう元気になったし、私は、大丈夫だよ?」
「ホント!?」
優里ちゃんが起き上がって、目を輝かせる。
永那ちゃんが唇を突き出して、ぷいとそっぽを向いてしまう。
「どうせ私は一緒にできないんだ」
彼女の太ももにそっと手を置く。
そしたら彼女も手を重ねてくれるから、可愛くて笑ってしまう。
「テスト期間中は、一緒に過ごせるよ?」
「…そうだけど」
「最終日は、2人の記念日なんでしょ?」
千陽が言う。
「思う存分楽しめば、いいじゃん」
冷めた目線を向けられる。
「え!あ!そっか!2人記念日なんだ~!…キャーッ!」
優里ちゃんが両手で顔を覆う。
耳まで真っ赤にして、体を左右に振っている。
「なに考えてんだ!変態!」
永那ちゃんが優里ちゃんに飛びかかる。
優里ちゃんが逃げる。
私は苦笑して、千陽は興味なさそうに見てから、またノートを書き写し始めた。
誉が頬杖をつきながらみんなの様子を眺めた後「みんな、また家来んの?」と聞く。
「来てもいい?」
優里ちゃんが聞いて、誉が頷く。
「じゃあその間は友達呼ばないようにするね」
誉に見られるから「ありがとう」と答える。
「そういえば優里」
千陽がノートをパタンと閉じる。
「なに?」
「文化祭終わった後、あたしの家に空井さん泊まったんだよ」
「え!?なんでそんな楽しそうなことしてんの!?私は!?なんで誘ってくれないの!?」
千陽が頬杖をつきながら薄く笑う。
背筋がゾワッとする。
「優里の存在を忘れてたの」
「ひどい!」
「冗談。…文化祭委員で遅くなったから、一緒に帰ってもらっただけ。泊まったのは本当だけど…ね?」
大きな瞳が私に向いて、目をそらしながら、頷く。
「私もお泊まりしたいー!」
「おー!俺もまたみんなでゲームしたい!」
誉が楽しそうに笑う。
「誉…遊ぶんじゃなくて、勉強…」
「あ、そうだった」
会話をしている間、永那ちゃんは空気みたいに存在感を消していた。
頬杖をついて、窓の外を眺めている。
…早めに、誰かに相談しないと。
眠ろうと思うけど、目が冴えてるから、全然眠くない。
体も全然ダルくないし、やっぱり風邪じゃなかったのかな?
スマホで調べると、疲れで熱が出ることもあるらしいということがわかった。
…永那ちゃんと付き合ってから、怒涛のように日々が過ぎていった。
無意識のうちに、疲れがたまっていたのかもしれない。
すごく元気だから、ベッドに寝転んでいるのもおかしい気がして、教科書を開いた。
お昼に永那ちゃんが買ってきてくれたたこ焼きを電子レンジであたためて食べた。
具合は悪くないけど…悪くないから?せっかくだからプリンも食べる。
「おいしい」
平日に学校を休んで好物を食べるなんて、なんだかすごく特別感がある。
また勉強をしていたら、誉が帰ってきた。
「姉ちゃん、大丈夫?」
「うん、元気すぎてびっくりしちゃう」
「マジか。…まあ、それなら良かったね」
私は頷いて、視線を教科書に戻した。
「勉強してんの?」
「うん、暇だったから」
誉が“うへぇ”と口を曲げて、荷物を部屋に置きに行った。
隣で誉がゲームをする。
しばらくして、永那ちゃん、千陽、優里ちゃんが家に来た。
「大丈夫だった~!?」
優里ちゃんに抱きしめられる。
「うん…なんか、今日は、すごく元気で」
永那ちゃんが隣に立ったから、手を伸ばして彼女の額に触れる。
熱は、なさそう。
「ホントに大丈夫だよ?」
彼女がニシシと笑う。
目の下のクマは気になるけど…元気ならよかった。
千陽はスタスタとリビングに入っていく。
それを見て、優里ちゃんが離してくれる。
みんなでリビングのローテーブルを囲んで座る。
誉がお菓子とお茶を用意してくれた。
千陽がノートを出して、ルーズリーフに書き写す。
「今日の分?」
彼女が頷く。
「ありがとう」
もう一度頷いて、ノートに視線を戻した。
千陽は、学校でも、優里ちゃんの前でも“空井さん”呼びをやめていない。
“もういいんじゃない?”と言ってみたけど、“嫌だ”と言われてしまった。
よくわからないけど、千陽が嫌ならと、私も合わせている。
たまに間違えそうになって焦ることもあるけど。
「文化祭が終わったと思ったら、またテスト~、もう嫌だ~」
優里ちゃんがお菓子を頬張りながら、両手を机に投げ出す。
「テスト期間中、みんなで勉強するよね?…っていうか、私的には、来週の月曜日から毎日穂ちゃんに教えてもらいたいくらいなんだけど…」
上目遣いに見られる。
「優里、それくらい自分でやれよ。穂、体調悪いんだし」
永那ちゃんが頬杖をつきながら言う。
「もう元気になったし、私は、大丈夫だよ?」
「ホント!?」
優里ちゃんが起き上がって、目を輝かせる。
永那ちゃんが唇を突き出して、ぷいとそっぽを向いてしまう。
「どうせ私は一緒にできないんだ」
彼女の太ももにそっと手を置く。
そしたら彼女も手を重ねてくれるから、可愛くて笑ってしまう。
「テスト期間中は、一緒に過ごせるよ?」
「…そうだけど」
「最終日は、2人の記念日なんでしょ?」
千陽が言う。
「思う存分楽しめば、いいじゃん」
冷めた目線を向けられる。
「え!あ!そっか!2人記念日なんだ~!…キャーッ!」
優里ちゃんが両手で顔を覆う。
耳まで真っ赤にして、体を左右に振っている。
「なに考えてんだ!変態!」
永那ちゃんが優里ちゃんに飛びかかる。
優里ちゃんが逃げる。
私は苦笑して、千陽は興味なさそうに見てから、またノートを書き写し始めた。
誉が頬杖をつきながらみんなの様子を眺めた後「みんな、また家来んの?」と聞く。
「来てもいい?」
優里ちゃんが聞いて、誉が頷く。
「じゃあその間は友達呼ばないようにするね」
誉に見られるから「ありがとう」と答える。
「そういえば優里」
千陽がノートをパタンと閉じる。
「なに?」
「文化祭終わった後、あたしの家に空井さん泊まったんだよ」
「え!?なんでそんな楽しそうなことしてんの!?私は!?なんで誘ってくれないの!?」
千陽が頬杖をつきながら薄く笑う。
背筋がゾワッとする。
「優里の存在を忘れてたの」
「ひどい!」
「冗談。…文化祭委員で遅くなったから、一緒に帰ってもらっただけ。泊まったのは本当だけど…ね?」
大きな瞳が私に向いて、目をそらしながら、頷く。
「私もお泊まりしたいー!」
「おー!俺もまたみんなでゲームしたい!」
誉が楽しそうに笑う。
「誉…遊ぶんじゃなくて、勉強…」
「あ、そうだった」
会話をしている間、永那ちゃんは空気みたいに存在感を消していた。
頬杖をついて、窓の外を眺めている。
…早めに、誰かに相談しないと。
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