197 / 595
4.踏み込む
196.文化祭準備
しおりを挟む
■■■
「この前、あなたの机に資料を置きに行ったとき、机の中から、エロ本が顔を出してたの。…これからは、気をつけたほうがいいんじゃない?」
なぜ、私は今、こんなことになっているのでしょうか。
生徒会長の空井さんが資料室に行って、副生徒会長の日住君に「空井さんに資料をわたしてきてほしい」とお願いされたので、行っただけなのです。
決して、2人の秘密の関係を覗き見たかったわけではないのです。
…見たことで失神しかけたのは事実ですが。
そして、なぜ、今、私は、こっそりエロ本を持ってきていたことを、バラされているのでしょうか。
これは…あれですね。
“絶対言うんじゃねえよ、クソ陰キャが”と、暗に言われているんですね。
はい、わかっています。
絶対言いません。
…なので、どうか私を社会的に抹殺しないでください。お願いします。
…エロ本と言ってもBLもので、最近はアニメオタクにも優しい世の中になったと言いますが、さすがにエロ本を持っていたと知られたら、抹殺されること間違いなしです。
今までひっそり隠れていたのに。
目立たないように、誰にも目をつけられないように、努力してきたのに。
よりにもよって、こんな、陽キャの頂点みたいな人に目をつけられるなんて…思いもしませんでした。
「確認だけど、相手が誰か、わかってるよね?」
心臓がかつてない程に働いています。
運動が苦手で、運動をするたびにぶっ倒れそうになりますが、それ以上に心臓が動いていて、うるさいです。
「ねえ、聞いてる?」
「あ、あ、あ、あ、あ…あの…わ、私、だ、だ、誰にも言いません」
「そうじゃなくて、あたしがキスしてた相手、誰かわかってるか聞いてるの」
空井さんです。
空井さんでした。
最近、あの両角さんとお付き合いされていると公表なさった、空井さんです。
佐藤さんの目の下がピクピクと痙攣して、怒りを表しています!
ギャー!やだー!いじめないでー!
「わかってるの?」
「そ、そ、そ、空井さ、ん…」
「ハァ」と大きくため息をつかれる。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
言いません、絶対に誰にも言いません。
許してください。許してください。
佐藤さんは机に乗っている椅子をおろして、足を組んで座ります。
私よりも低い位置にいるはずなのに、ものすごく見下ろされているような、そんな圧を感じます。
「ちなみに永那は、このこと、知ってるから」
…………え?
何度瞬きしても、景色は変わりません。
「空井さんは永那のだけど、あたしは空井さんのなの」
バッコンバッコン心臓が鳴って、意識が朦朧としてきました。
全く理解が追いつきません。
「だから永那に告げ口しても意味がないし…もしあなたがみんなにこのことを言ったら、あなたの秘密も…」
「はい!はい!絶っ対に、絶っっっ対に言いません。ど、どんな拷問を受けようとも、私は口を開きません!」
過去一大きな声が出たと思います。
それくらい、私の覚悟は決まっているということです。
どうか、伝わってください。
どうか、どうか…。
プッと彼女が笑いました。
…綺麗な顔。
ハッ…!調子に乗りました。すみません。
「拷問ってなに?」
優しく微笑まれて、私の心臓が、違う意味で、ドキドキ…しているような…。
「…じゃあ、まあ…これは、2人だけの秘密、ね?」
2人だけの…。
佐藤さんは唇に人差し指をつけて、私を見ます。
「空井さんにも、永那にも、言わないで?…お願い」
美女の上目遣い…!!!くはっ……!
こんな…こんな…お願いのされかた…反則、ですね。
「は、はい…もちろんです」
「よかった」
ようやく私は解放されて、彼女が教室を出るのと同時に膝から崩れ落ちました。
中学のとき、私は友達とBLについて話すのがとても楽しみでした。
お店でBL本を探しているとき、たまたま目に入った百合の漫画。
なんとなく買ってみて、どハマりしました。
友達に言うと“百合はちょっと…”と言われ、ショックでした。
それからはBLは友達と、百合は1人で楽しむようになりました。
高校に入って、2人の友人ができました。
彼女達は百合好きで、私は興奮しました。
私はリアルでの推しカプはいなかったのですが、2人が両角さん×佐藤さんカプを推しているという話を楽しそうにするので、自然と私もリアルに興味を持つようになりました。
…私は、空井さん派でした。
空井さんと両角さん、あるいは、空井さんと佐藤さんがくっつけばいいな…なんて思っていました。
でも友人の2人からは賛同を得られそうになかったので、その想いはひっそりと、自分の頭のなかだけであたためていたのです。
「この前、あなたの机に資料を置きに行ったとき、机の中から、エロ本が顔を出してたの。…これからは、気をつけたほうがいいんじゃない?」
なぜ、私は今、こんなことになっているのでしょうか。
生徒会長の空井さんが資料室に行って、副生徒会長の日住君に「空井さんに資料をわたしてきてほしい」とお願いされたので、行っただけなのです。
決して、2人の秘密の関係を覗き見たかったわけではないのです。
…見たことで失神しかけたのは事実ですが。
そして、なぜ、今、私は、こっそりエロ本を持ってきていたことを、バラされているのでしょうか。
これは…あれですね。
“絶対言うんじゃねえよ、クソ陰キャが”と、暗に言われているんですね。
はい、わかっています。
絶対言いません。
…なので、どうか私を社会的に抹殺しないでください。お願いします。
…エロ本と言ってもBLもので、最近はアニメオタクにも優しい世の中になったと言いますが、さすがにエロ本を持っていたと知られたら、抹殺されること間違いなしです。
今までひっそり隠れていたのに。
目立たないように、誰にも目をつけられないように、努力してきたのに。
よりにもよって、こんな、陽キャの頂点みたいな人に目をつけられるなんて…思いもしませんでした。
「確認だけど、相手が誰か、わかってるよね?」
心臓がかつてない程に働いています。
運動が苦手で、運動をするたびにぶっ倒れそうになりますが、それ以上に心臓が動いていて、うるさいです。
「ねえ、聞いてる?」
「あ、あ、あ、あ、あ…あの…わ、私、だ、だ、誰にも言いません」
「そうじゃなくて、あたしがキスしてた相手、誰かわかってるか聞いてるの」
空井さんです。
空井さんでした。
最近、あの両角さんとお付き合いされていると公表なさった、空井さんです。
佐藤さんの目の下がピクピクと痙攣して、怒りを表しています!
ギャー!やだー!いじめないでー!
「わかってるの?」
「そ、そ、そ、空井さ、ん…」
「ハァ」と大きくため息をつかれる。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
言いません、絶対に誰にも言いません。
許してください。許してください。
佐藤さんは机に乗っている椅子をおろして、足を組んで座ります。
私よりも低い位置にいるはずなのに、ものすごく見下ろされているような、そんな圧を感じます。
「ちなみに永那は、このこと、知ってるから」
…………え?
何度瞬きしても、景色は変わりません。
「空井さんは永那のだけど、あたしは空井さんのなの」
バッコンバッコン心臓が鳴って、意識が朦朧としてきました。
全く理解が追いつきません。
「だから永那に告げ口しても意味がないし…もしあなたがみんなにこのことを言ったら、あなたの秘密も…」
「はい!はい!絶っ対に、絶っっっ対に言いません。ど、どんな拷問を受けようとも、私は口を開きません!」
過去一大きな声が出たと思います。
それくらい、私の覚悟は決まっているということです。
どうか、伝わってください。
どうか、どうか…。
プッと彼女が笑いました。
…綺麗な顔。
ハッ…!調子に乗りました。すみません。
「拷問ってなに?」
優しく微笑まれて、私の心臓が、違う意味で、ドキドキ…しているような…。
「…じゃあ、まあ…これは、2人だけの秘密、ね?」
2人だけの…。
佐藤さんは唇に人差し指をつけて、私を見ます。
「空井さんにも、永那にも、言わないで?…お願い」
美女の上目遣い…!!!くはっ……!
こんな…こんな…お願いのされかた…反則、ですね。
「は、はい…もちろんです」
「よかった」
ようやく私は解放されて、彼女が教室を出るのと同時に膝から崩れ落ちました。
中学のとき、私は友達とBLについて話すのがとても楽しみでした。
お店でBL本を探しているとき、たまたま目に入った百合の漫画。
なんとなく買ってみて、どハマりしました。
友達に言うと“百合はちょっと…”と言われ、ショックでした。
それからはBLは友達と、百合は1人で楽しむようになりました。
高校に入って、2人の友人ができました。
彼女達は百合好きで、私は興奮しました。
私はリアルでの推しカプはいなかったのですが、2人が両角さん×佐藤さんカプを推しているという話を楽しそうにするので、自然と私もリアルに興味を持つようになりました。
…私は、空井さん派でした。
空井さんと両角さん、あるいは、空井さんと佐藤さんがくっつけばいいな…なんて思っていました。
でも友人の2人からは賛同を得られそうになかったので、その想いはひっそりと、自分の頭のなかだけであたためていたのです。
3
お気に入りに追加
195
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる