いたずらはため息と共に

常森 楽

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3.成長

181.まだまだ終わらなかった夏

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「優里ちゃん、そろそろ起きないと、遅刻しちゃうよ」
気持ちよさそうに寝ているところを起こすのは、忍びない。
でも遅刻されても困るし…。
優里ちゃんの頬を突いてみる。
「優里ちゃん」
「んー…あと5分…」
「もう5分経ったよ。7時過ぎたよ」
「…え!?やばい!」
優里ちゃんは飛び起きて、服を着替えた。
「あー、もう!」
「ご飯できてるからね」
「はーい!」
私は千陽の隣に座った。
千陽が伺うように私を見るから「食べていいよ?」と言うと、彼女は頷いて、食べ始める。
優里ちゃんがバタバタと洗面台から戻ってきて、席につく。
「いただきます!」
すごい勢いで口に入れていく。
お茶をゴクゴク飲んで、「ごちそうさまでした!」と言ってお皿をシンクに置いてくれる。

「ホント、こんなバタバタしてごめんねー!お皿も洗えなかったし…」
「全然、大丈夫だよ。気をつけてね」
優里ちゃんが瞬きをして、ジッと私を見る。
「私、穂ちゃんの家に住みたーい!」
「え!?」
「じゃあ!行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
優里ちゃんは走って飛び出して、エレベーターの前でも足踏みをしていた。
エレベーターに乗る前に手を振ってくれたから、私も振り返す。
ドアを閉めると、千陽が立っていた。
「あたしも、穂と一緒にいたい」
…永那ちゃんにも言われたな。
4人で住んだら、楽しいのかも。
リビングに戻ると、千陽はまた椅子に座って、食べかけのパンを口に運ぶ。
私もそれに倣う。
9時頃には永那ちゃんが家に来る。
あと1時間半くらい。

私がお皿を洗っていると、千陽に後ろから抱きしめられた。
「穂…好き」
「私も好きだよ、千陽」
お皿を洗い終えるまで、ずっと彼女は背中に引っ付いていた。
学校でもずっと、永那ちゃんが寝ていても背中に触れていたし、千陽は本当に、誰かと触れ合っていたい人なのだと知る。
でもその“誰か”は、誰でもいいわけではなく、安心できる相手でなければならない。
「穂、ベッド行こう?」
そう言われると下腹部が疼いて、早く永那ちゃんに会いたいと、目を閉じた。
深呼吸して、ベッドに向かう。
ドアを閉めて、千陽と抱き合う。
彼女の唇が私のに重なる。
すぐに離れて、また重なる。
やわらかい舌がなかに入ってくる。
私はそれに自分のを絡めたり、吸ったり、甘噛みしてみたりした。

彼女の胸に触れる。
まだ着替えていない彼女は、当然ブラもまだ着けていなかった。
シャツを捲って、朝日に照らされる彼女の胸を見る。
私はそれを優しく撫でて、彼女を見た。
目が合うと、千陽は耳を赤くした。
「あたし、また泊まりにきたい」
「…いいけど、あんまり多いと永那ちゃんが悲しむから、たまにね?」
彼女が頷いたのを確認して、肌を舐める。
やわらかい乳房を何度も舐めて、少し吸う。
もう主張している彼女の突起に舌を這わせて、甘噛みした。
「んっ」
あいているほうの乳房にも手を添えて、優しく揉む。
「穂、好き。…好き、好き」
フフッと笑う。
千陽に好かれると、こうなるのかあ…。
もちろん嬉しさもあるけど…これは、大変だ。

誉の部屋のドアが開く音がする。
それでも私は彼女の求めに応えるように、キスと触れ合いを止めなかった。
そろそろ永那ちゃんが来る時間になって、私は千陽に着替えさせた。
「着せて?」
上目遣いにお願いされて、“着替えさせた”というよりも“着替えさせてあげた”というほうが正しい。
その最中にも、彼女が何度もキスを迫ってくる。
…これ、永那ちゃんにどう言えばいいんだろう。
なんとか彼女の着替えを終えたタイミングで、永那ちゃんが来た。
彼女は鍵を持っているけれど、いつもインターホンを押してくれる。
部屋を出ようとしたら、千陽に手を掴まれる。
「最後…」
頭を撫でてから、触れるだけのキスをして、私は部屋を出た。

「永那ちゃん」
彼女を見た瞬間、私は永那ちゃんを抱きしめた。
永那ちゃんはそれを受け止めてくれて、背中をトントンと優しく叩いてくれる。
「穂、浮気したな?」
耳元で囁かれる。
上半身を離して、彼女を見つめる。
フッと笑って、頭を撫でてくれる。
「千陽の匂いがする」
…犬じゃないんだから。
やっぱり嫌だよね…と、不安になると、キスされる。
「私がいいって言ったんだから、穂は気にしなくていいよ。ただ、言いたいだけだから」
優しく微笑まれて、私は頷く。
「おはよー、永那」
「おー、おはよ」
誉が顔を出す。
その隣に、千陽もいた。
千陽は視線をそらしつつも、左腕を右手で擦っていた。

永那ちゃんは誉と少し話してから、私の手を引いて、一緒に部屋に入った。
2人でベッドに寝転ぶ。
「エッチはしてないよね?」
「うん。ちゃんと、キスと胸だけ。…私のは、さわらせてないよ」
「いい子、いい子」
「私、千陽の昔の話とか、いろいろ聞いた」
永那ちゃんの腕に抱かれながら、昨日のことを話した。
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