君の行く末

常森 楽

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「いいの?」

いっちゃんが、困惑と驚きと期待が混ざった顔で、私を覗き込む。

「嫌な気持ちにならない?」

不安そうに、上目遣いになる。

「そりゃあ、まだ付き合ったばっかりだし、不安だよ。もしいっちゃんが、お姉さんに対する気持ちを思い出して、すぐ振られちゃったら……って思うとさ」
「本当は、これを解決してから 実結に告白するつもりだったんだ……」

いっちゃんは慌てて弁明する。
でも『お姉さんへの気持ちが戻ることはない』とは、ハッキリ言わない。

「けど、ここでいっちゃんがお姉さんに会わなかったら、私たちはずっとモヤモヤした気持ちを抱えたまま付き合っていくことになるって思った」

いっちゃんの弁明は無視する。

「お互いがモヤモヤした気持ちを抱えたまま、関係が長く続くとは思えない」

私は不安で揺れる自分の心に鞭を打つ。

「私は、いっちゃんと なるべく長く一緒にいたい」

ゴクリと唾を飲んで、彼女を見据える。

「『ずっと一緒にいようね』とか、可愛らしいことは言えないけど、いっちゃんと 少しでも長く一緒にいられたら嬉しい」


*


ふたり旅から ひと月経った。

いっちゃんはお姉さんと会って、戻ってきた時には、特に感情を出すこともなく 落ち着いた雰囲気を漂わせていた。

どうしてもじっとしていられなくなって、お姉さんと会った直後だったいっちゃんのところに走っていくと、いっちゃんは嬉しそうに笑った。

「実結は、ペットみたいで可愛いね」
「ペット!?全然嬉しくないー!」

いっちゃんの一人暮らしの家に行く。

道中、ざわめく心を隠しながら 他愛ない話をする。
きっといっちゃんも 私にどう話そうか考えて、忙しなく思考を巡らせていることだろう。

いっちゃんの部屋には、あんまり物がない。服は、たぶん10着くらいしかない。
あとは、テーブルと椅子とベッドと、少し多めの本だけ。

私は、いっちゃんが本を読んでいるときの、真剣な顔が好き。
紙を優しく捲る、細長い指が好き。

そして、彼女はいつもそんな目で私を見て、そんな手で私に触れる。

だけど、今日は、なんだか違った。

ドアを閉めると、いっちゃんはそのまま私を壁に押しやって、キスをした。

急なことに驚いて、頭が真っ白になる。
お姉さんのこと、いろいろ聞こうと思ってたのに、忘れちゃいそう。

薄暗い玄関で、いっちゃんの呼吸を感じる。
少し荒い息が混じりながら、舌を絡ませた。
それだけで、とろけてしまいそうになる。

いっちゃんの腰に手をまわす。

いっちゃんは私の胸に左手をそえてから、少し強めに包み込んだ。

いじわるだけど、繊細な物に触れるように、優しかった" 最初の日 "を思い出す。
あの日よりも、少し強引だけど、恐怖心は全然なかった。

服の上からでも、揉まれながら、ピンポイントに気持ちいいところに触れてくる。

下半身に熱っぽさを感じながら、とろりと蜜が出てしまいそうな感覚に、戸惑う。

いっちゃんはシャツのなかに手を忍ばせて、さらに激しく乳房を揉んだ。

唾液は既に混ざり合い、口のなかに目一杯いっちゃんを感じた。

壁に押し当てた右手を離して、頭を撫でられる。
優しくではなく、髪がぐしゃぐしゃになるように、激しく。

より深くいっちゃんの舌が入ってくる。

すぐに右手は頭から離れて、太ももに移動した。
ゆっくりとなぞるように上がっていって、お尻を揉まれる。

ショーツが食い込んでしまいそうなくらい、強く揉みしだかれる。
お尻の穴を開かされる感覚が、恥ずかしさを生む。

ズボンのボタンが外されて、チャックもおろされた。
その隙間から、窮屈そうに 手が入ってくる。
スキニーのズボンに締め付けられるように、いっちゃんの手が入ってきた瞬間に、敏感になってる 小さな種子が擦れる。

「ん…っ」

下腹部が一瞬、ビクッと反応する。

そのままつつくように、いっちゃんの指に何度も刺激された。
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