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女の子には、気持ちよくさせるための技が必要なんだ。
ただ激しくすればいいんじゃない。
ただ強く擦ればいいわけでもない。
ただ指を膣に入れて、抜き挿しすればいいわけでもない。
安心感と気持ちいいポイントに気持ちいい力加減を一定に加え続けることが大事だ。
気持ち良さそうにしてるからと、力を強めてしまうと、途端に気持ちよさが半減してしまうこともある。
だから、私は自分の指先を機械かなにかだと思って、心はまるで座禅してるかのように静かだ。
男女ならきっと、お互いに気持ちよくなれる方法を模索するのは簡単だろう。
女同士だと、どうもそういうわけにはいかない。
方法が全くないわけではないけれど、私はそれを美しいとあまり思えない。
だから、私は一方的に相手を快楽へ導くようにしている。
自分は全く気持ちよくない。
でも、不思議と心は満たされる。
自分が気持ちよくされるよりも、ずっと、心が満たされるんだ。
瞬間的に、私の肩に爪が食い込むほど、彼女は力をいれる。
そして、すぐにぐってりして 私に全体重を預けた。
肩で息をして、若干過呼吸気味になっている。
シャワールームの扉を開けて新しい空気を入れてあげると、息が整い始めた。
彼女を床に座らせて、髪を洗ってあげる。
実結は気持ち良さそうに目を閉じた。
微笑んで出来た笑窪は、火照ってるのか 赤みをおびている。
「いっちゃん」
ふいに振り向いた。
真剣な眼差しに、ドキリとする。
「なに?」
「私たち、何も言わずにえっちなことしてるけどさ……いっちゃんは、私と付き合ってくれるの?」
一度目を伏せて「彼女にしてくれるの?」と、言い直す。
一瞬間があいて「当たり前じゃん」と答えた。
本当はもっとかっこよく答えられただろうし、違うことを言ってあげられたのかもしれない。
でも、このタイミングで言われると思っていなかった私は、動揺と照れくささで そう答えるのが精一杯だった。
「当たり前なの?」
綺麗な二重の目が、大きく開かれる。
すぐに細くなって、また笑窪ができる。
「そっかあ、当たり前か」
私に背中を向ける。
肩がリズムをとるように揺れて、嬉しさを体で表してくれる。
私はそのまま、彼女の髪を洗い続けた。
*
私が初めて女の人と付き合ったのは、高校に上がって間もない時だった。
10歳上の、お姉さんだった。
それまでは、せいぜい学校の同級生や先輩後輩としか付き合ったことがなかったし、当然のように相手は男子だった。
一度だけ女の子に告白されたことがあったけど、その時は混乱して、付き合わなかった。
大人と付き合うのも、女の人と付き合うのも、彼女が初めてだった。
母が泥酔して帰ってきたとき、家まで送り届けてくれたのが最初の出会い。
母の職場の後輩だった。
せっかく家まで来てくれたからと、お茶を淹れてあげて、話をした。
お姉さんも少し酔っていて、それが妙に色気を漂わせてるから、私は動揺していた。
他愛ない話をした。
彼女は 私の学校生活について聞いてくれたし、私は 彼女の仕事の愚痴を聞いた。
ただ、なんの変哲もない話をしただけなのに、同級生の友達と話すよりも、ずっと楽しかった。
なにがそんなに違うのか、当時の私にはさっぱりわからなかった。
今考えれば、わかる。
彼女は、なんとなく話をするのではなくて、私という人間の話を真剣に聞いてくれていたんだと思う。
友達との会話はどこまでも軽くて、10分すれば忘れてしまうような内容ばかりだった。
誰もがその場しのぎのような、その時さえ楽しければそれでいい…みたいな、そんな雰囲気だった。
誰かの話を真剣に聞こうなんて考えてないし、誰かのことをちゃんと知ろうなんて思いもしていない。
それは私も同じだった。
お姉さんと出会うまで、誰かのことを知りたいと思ったことすらなかったんだ。
帰途についたお姉さんの背中を走って追いかけて、息を切らしながら連絡先を聞いたのは、今でも鮮明に思い出せる。
バカみたいに緊張したのを、覚えてる。
ただ激しくすればいいんじゃない。
ただ強く擦ればいいわけでもない。
ただ指を膣に入れて、抜き挿しすればいいわけでもない。
安心感と気持ちいいポイントに気持ちいい力加減を一定に加え続けることが大事だ。
気持ち良さそうにしてるからと、力を強めてしまうと、途端に気持ちよさが半減してしまうこともある。
だから、私は自分の指先を機械かなにかだと思って、心はまるで座禅してるかのように静かだ。
男女ならきっと、お互いに気持ちよくなれる方法を模索するのは簡単だろう。
女同士だと、どうもそういうわけにはいかない。
方法が全くないわけではないけれど、私はそれを美しいとあまり思えない。
だから、私は一方的に相手を快楽へ導くようにしている。
自分は全く気持ちよくない。
でも、不思議と心は満たされる。
自分が気持ちよくされるよりも、ずっと、心が満たされるんだ。
瞬間的に、私の肩に爪が食い込むほど、彼女は力をいれる。
そして、すぐにぐってりして 私に全体重を預けた。
肩で息をして、若干過呼吸気味になっている。
シャワールームの扉を開けて新しい空気を入れてあげると、息が整い始めた。
彼女を床に座らせて、髪を洗ってあげる。
実結は気持ち良さそうに目を閉じた。
微笑んで出来た笑窪は、火照ってるのか 赤みをおびている。
「いっちゃん」
ふいに振り向いた。
真剣な眼差しに、ドキリとする。
「なに?」
「私たち、何も言わずにえっちなことしてるけどさ……いっちゃんは、私と付き合ってくれるの?」
一度目を伏せて「彼女にしてくれるの?」と、言い直す。
一瞬間があいて「当たり前じゃん」と答えた。
本当はもっとかっこよく答えられただろうし、違うことを言ってあげられたのかもしれない。
でも、このタイミングで言われると思っていなかった私は、動揺と照れくささで そう答えるのが精一杯だった。
「当たり前なの?」
綺麗な二重の目が、大きく開かれる。
すぐに細くなって、また笑窪ができる。
「そっかあ、当たり前か」
私に背中を向ける。
肩がリズムをとるように揺れて、嬉しさを体で表してくれる。
私はそのまま、彼女の髪を洗い続けた。
*
私が初めて女の人と付き合ったのは、高校に上がって間もない時だった。
10歳上の、お姉さんだった。
それまでは、せいぜい学校の同級生や先輩後輩としか付き合ったことがなかったし、当然のように相手は男子だった。
一度だけ女の子に告白されたことがあったけど、その時は混乱して、付き合わなかった。
大人と付き合うのも、女の人と付き合うのも、彼女が初めてだった。
母が泥酔して帰ってきたとき、家まで送り届けてくれたのが最初の出会い。
母の職場の後輩だった。
せっかく家まで来てくれたからと、お茶を淹れてあげて、話をした。
お姉さんも少し酔っていて、それが妙に色気を漂わせてるから、私は動揺していた。
他愛ない話をした。
彼女は 私の学校生活について聞いてくれたし、私は 彼女の仕事の愚痴を聞いた。
ただ、なんの変哲もない話をしただけなのに、同級生の友達と話すよりも、ずっと楽しかった。
なにがそんなに違うのか、当時の私にはさっぱりわからなかった。
今考えれば、わかる。
彼女は、なんとなく話をするのではなくて、私という人間の話を真剣に聞いてくれていたんだと思う。
友達との会話はどこまでも軽くて、10分すれば忘れてしまうような内容ばかりだった。
誰もがその場しのぎのような、その時さえ楽しければそれでいい…みたいな、そんな雰囲気だった。
誰かの話を真剣に聞こうなんて考えてないし、誰かのことをちゃんと知ろうなんて思いもしていない。
それは私も同じだった。
お姉さんと出会うまで、誰かのことを知りたいと思ったことすらなかったんだ。
帰途についたお姉さんの背中を走って追いかけて、息を切らしながら連絡先を聞いたのは、今でも鮮明に思い出せる。
バカみたいに緊張したのを、覚えてる。
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