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第2章 冒険記

Chapter31 代償

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一息ついて。

「我々はロマール寺院に用事があるから君達は旅の準備なり好きにしてていい。今日はまだ行かないから」
アークトゥルスは言う。

「いっぱい買い物があるよ。食料と盗賊シーフの工具も買わないと俺の旧式だから最新の買わないと」
エルセンはそう言いエールをがぶ飲みする。

「俺は散歩がてらエルセンに付いて行くよ」
そう言うヴァルハラートは嫌な予感がしていたのでエルセンに付いて行く判断をした。

「私は部屋でもう一眠りするよ。昨日は寝るのが遅かったからね」
ルディースはあくびをする。

「私は今日は主人の所ヘ帰ります」
セナンディアスは笑顔で言う。

「私は部屋を借りて装備の手入れを…」
アリムレスは普段出来ない事をしようと思っての事でそう判断した。

「私は空間収納ストレージを買おうと思って…だがどこで売ってるのやら…」
ヴェルニクスは悩みながら言う。

「それなら俺が案内するよ!一緒に行こう」
エルセンは笑いながらヴェルニクスに言う。

「ありがとう」
ヴェルニクスは微笑む。

予定が決まり、それぞれイデア亭を出る。

ルディースとアリムレスは2階に上がりそれぞれの部屋に行く。

ルディースはベッドに入ると急な睡魔に襲われそのまま深い眠りについた。

その数時間後。
凄い音と叫び声がしてルディースは飛び起きる。

ドアを開け下に降りると全体に血溜まりと、肉片と内蔵が飛び散っていてどれが誰の死体だか分からなくなっていた。

ルディースはこみ上げてくる胃液を押さえながら服を確認する。
今朝着ていたロンドとアリムレスの服が見つかった。

外では爆発音や悲鳴が聞こえている。

「…奇襲か?どこの兵?」
ルディースは外に出ようとすると青い髪に金の眼をした涙ボクロの有る風を司るエリクトゥラドラゴンのシアルドグーンが入ってくる。

「アリム…アリムぅ!」
シアルドグーンは目を見開いて膝を付く。

「もう無理だ。こんな肉片になっては蘇生は出来ない」
ルディースはシアルドグーンに言う。

「お前は!陛下の…魔王の息子だろう?本当は出来るのだろう?お願いだ…出来ると言ってくれ!」
シアルドグーンはルディースの両腕を掴み泣いて懇願する。

「……………」
長い沈黙の末ルディースは頷きシアルドグーンの手を外す。

ルディースは光掛かりそして血溜まりの肉片に手を翳す。
温かい光と共にアリムやロンドがみるみる内に治っていく。

「おおっアリム!」
シアルドグーンは驚きながらアリムレスを見守る。

二人は完全回復した。

ホッとした束の間

「!っ…ぐあっ!」
ルディースは身体の中がグシャリと握り潰された様な激痛に倒れる。

シアルドグーンはそんなルディースに目もくれずアリムレスを連れて行く。

(こ、これが…〝導き手〟の…己の事に使った代償…気を失えもしないのか…っ!)
ルディースは苦痛な顔をしながらただ倒れていた。

「?」
ルディースは誰かが居る気配するがそれを見ることが出来ない。

誰かが自分を膝枕をして優しく頭を撫でる。

ルディースピオルス…」

聞き覚えのある懐かしく愛しい声。

ーーー双子の姉エレンディースだ!

ルディースは徐々に痛みが引いていく。
(ま、まさか!痛みを移して…)

私達双子は相手の痛みを自分に移す事が出来るのだ。

「やめっ…エレン…」
ルディースは動こうにもまだままならない。

「私は…っお前と違って…回復が効く…心配…するな」
エレンディースは痛みで顔が歪む。

「エレンディース様」
焦げ茶の髪に紫の目の少し歳を取った男がやってくる。

そしてルディースからエレンディースを引き離す。

「やっ…まだ!…っ…エステリスっ!離して!」
エレンディースはルディースに手を伸ばす。

「私は貴方を守る為にいるのです。さぁ行きますよ」
エステリスはそう言うとエレンディースを抱きかかえ瞬間移動の指輪を使う。

「やぁ…ルディースピオルスっ!」
叫ぶ声と共に二人は消える。

ルディースはよろけながらも立ち上がる。

「ん?何が…私は死んだのでは?ん?ルディース?」
ロンドがそう言い起き上がる。

「今から私は城に向かいます。ロンドさんは無理をせず隠れてて下さい!」
ルディースはふらつきながらも外に出た。

「無理をしてるのは…君の方だよ…」
ロンドは悲しそうにルディースの出たドアの方を見つめる。
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