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第4章 終幕戦編
第67話 最大の危機
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【クレジアントside】
「なっ………!!!」
扉を開けば大勢の魔人という地獄絵図、状況としてはあまりにも酷いけれど現実は逃がしてくれない。
「なんでこんなことに………」
そう言った瞬間、まさかと勘づく。今は、クライトが居ない………
きっと出張しているクライトの隙を突いて、レンメル領を先に潰しておこうとでも考えたのか………そうはさせない!!!
剣を抜く。〈節制〉・〈救恤〉・〈勤勉〉の属性効果も先に発動させておく。もちろん声は出さない。走る、そのまま、頸を撥ねる。
「なっ!?おい、クライトは今領内に居ないんじゃ………ガフッ!!!」
「いや違う!こいつ女だ!クライトというやつは男だから、そいつはクライトじゃない!!!!!」
「だったらなんでこんなに強………グハッ!?」
戯言をのたまう魔人を次々に斬り捨てていく。領民に被害が出ることの無いように、なるべく早く全体に目が届くように走り回りながら。幸いにも、倒れている領民は未だ発見していない。やはり奥の方に行けば行くほどに土地的被害は大きくなっていってはいるけれど。
「クソが!!!誰が攻めきれるっつったんだよ!!!全然無理じゃねぇか!!!」
「おい、撤退するぞ!!!こちら側が全滅することが何よりも問題だ!!!」
「撤退の途中に建造物の破壊でもしてからいけよ!!!」
「………ふっ」
息を吐き、前傾姿勢になって、踏み込む。
「撤退だ!てった………カフッ」!
「出会った領民を殺しても勿論大丈夫だ!!!今回はレンメル領にどれだけダメージを………ッアァ?」
一瞬で二十メートル程進み、その区間に居た魔人の頸が全て撥ねられている。
「ボクはね。抜刀術が一番得意なんだ」
「ヒッ!?に、逃げろ!!!余計な事やってちゃこっちが死ぬ!!!」
そういって、魔人達は空間の裂け目を開き次々と入っていく。追い打ちをかけようかと迷ったけれど………止めておいた。今回みたく、ボクが居なかったら対処しきれない事もあるだろうから。
「みんな~!!!大丈夫~?」
ボクがそう呼びかけると、建物や物陰に隠れていた皆が徐々に姿を現し始めた。良かった、皆無事みたいだ。
「それにしても………やってくれたね~」
魔人達が襲撃してきた被害は決して少ないとは言えない。荒れ地になってしまった事実は拭い切れない。だったら、どうするべきか。そんなのは決まってる。
「皆、また元に戻そう!」
「クレジアントさんが言うなら勿論!」
「いつもお世話になってるしな」
「クレジアントお姉ちゃん!わたしも手伝うよ!」
「ありがとう!!!」
クライトも、キュールちゃんも頑張ってるんだ。それなのに、ボクが頑張らないでどうするのか。ただ傍観しているだけなんて、そんなのは許されない。
「ボクも手伝うよ!!!」
クライトとキュールちゃんが帰ってきたら、最高の状態で保って居られるように。頑張ろう!!!
☆★☆★☆
【クライトside】
「はぁっ………はぁっ………!!!」
今、僕は相当なピンチに陥っている。
「くっそ………ふぅ、ふぅ………キリが無い!!!」
これまでに幾らの魔人の頸を撥ねてきたか、覚えていない。ただ、幾らは寝てもどうにも数が減らない。特に、レンメル領から離れれば離れる程にその傾向が顕著に表れるようになっている。
「追い込め!!!今だったら倒せないこともない!!!」
「くっ………このままだと、ま、まずい………!!!」
一人で戦い続けるのはキツイと最初から分かっていたけれど、限界が来ようとしている。眠ったら殺されてしまう可能性があるから、満足に寝れず。満足に眠れないせいで体力も魔力も回復が出来ていない。携帯魔力貯蔵パックだって、今何本開けたのか分からない。きっと、さっき飲んだもので指で収まりきらなくなっただろう。
「疲労が………抜けない」
頭がクラクラしてくる。あ、これは本格的にダメかも。
以前こうなったのは、まだ戦いに慣れていない時。そうだな………ユーリアを助けた時以来。あの時、結局僕は意識を失ってしまったんだった。今そうなったら………間違いなくこの世に居られることは無くなるだろう。
「死ねぇえ!!!!!」
「ぐぅうっ、はぁはぁ………!!!」
受け止める剣が重すぎる。いつもなら、受け流していたのだけれど、今はその元気が無い。でも受け流さないとかなり負荷がかかる………
そんなことを思っていると、ふと視界がぼやけた。
「ん?」
色の境界線が識別できない。それはまるで、あの注射器の中の液体みたいに。
「………あれ?」
今どういう状況なのか、認識できない。そうしているうちに突然体が宙に舞った。
僕が跳んだのではない。ただ、お腹を殴られて宙に放り出されたのだ。
「カハッ………」
声が出ない。相当な損傷を食らってしまった。
今、僕はどういう状況なんだ?もしかして、死にそうなんじゃないか?
あれ、嘘、僕ここで終わりなの?
「ぁ………」
境界線の見えない中で、四人の魔人が現れたのが分かった。本能で分かった、今ここで死ぬんだって。
僕は、意識を失った。
「なっ………!!!」
扉を開けば大勢の魔人という地獄絵図、状況としてはあまりにも酷いけれど現実は逃がしてくれない。
「なんでこんなことに………」
そう言った瞬間、まさかと勘づく。今は、クライトが居ない………
きっと出張しているクライトの隙を突いて、レンメル領を先に潰しておこうとでも考えたのか………そうはさせない!!!
剣を抜く。〈節制〉・〈救恤〉・〈勤勉〉の属性効果も先に発動させておく。もちろん声は出さない。走る、そのまま、頸を撥ねる。
「なっ!?おい、クライトは今領内に居ないんじゃ………ガフッ!!!」
「いや違う!こいつ女だ!クライトというやつは男だから、そいつはクライトじゃない!!!!!」
「だったらなんでこんなに強………グハッ!?」
戯言をのたまう魔人を次々に斬り捨てていく。領民に被害が出ることの無いように、なるべく早く全体に目が届くように走り回りながら。幸いにも、倒れている領民は未だ発見していない。やはり奥の方に行けば行くほどに土地的被害は大きくなっていってはいるけれど。
「クソが!!!誰が攻めきれるっつったんだよ!!!全然無理じゃねぇか!!!」
「おい、撤退するぞ!!!こちら側が全滅することが何よりも問題だ!!!」
「撤退の途中に建造物の破壊でもしてからいけよ!!!」
「………ふっ」
息を吐き、前傾姿勢になって、踏み込む。
「撤退だ!てった………カフッ」!
「出会った領民を殺しても勿論大丈夫だ!!!今回はレンメル領にどれだけダメージを………ッアァ?」
一瞬で二十メートル程進み、その区間に居た魔人の頸が全て撥ねられている。
「ボクはね。抜刀術が一番得意なんだ」
「ヒッ!?に、逃げろ!!!余計な事やってちゃこっちが死ぬ!!!」
そういって、魔人達は空間の裂け目を開き次々と入っていく。追い打ちをかけようかと迷ったけれど………止めておいた。今回みたく、ボクが居なかったら対処しきれない事もあるだろうから。
「みんな~!!!大丈夫~?」
ボクがそう呼びかけると、建物や物陰に隠れていた皆が徐々に姿を現し始めた。良かった、皆無事みたいだ。
「それにしても………やってくれたね~」
魔人達が襲撃してきた被害は決して少ないとは言えない。荒れ地になってしまった事実は拭い切れない。だったら、どうするべきか。そんなのは決まってる。
「皆、また元に戻そう!」
「クレジアントさんが言うなら勿論!」
「いつもお世話になってるしな」
「クレジアントお姉ちゃん!わたしも手伝うよ!」
「ありがとう!!!」
クライトも、キュールちゃんも頑張ってるんだ。それなのに、ボクが頑張らないでどうするのか。ただ傍観しているだけなんて、そんなのは許されない。
「ボクも手伝うよ!!!」
クライトとキュールちゃんが帰ってきたら、最高の状態で保って居られるように。頑張ろう!!!
☆★☆★☆
【クライトside】
「はぁっ………はぁっ………!!!」
今、僕は相当なピンチに陥っている。
「くっそ………ふぅ、ふぅ………キリが無い!!!」
これまでに幾らの魔人の頸を撥ねてきたか、覚えていない。ただ、幾らは寝てもどうにも数が減らない。特に、レンメル領から離れれば離れる程にその傾向が顕著に表れるようになっている。
「追い込め!!!今だったら倒せないこともない!!!」
「くっ………このままだと、ま、まずい………!!!」
一人で戦い続けるのはキツイと最初から分かっていたけれど、限界が来ようとしている。眠ったら殺されてしまう可能性があるから、満足に寝れず。満足に眠れないせいで体力も魔力も回復が出来ていない。携帯魔力貯蔵パックだって、今何本開けたのか分からない。きっと、さっき飲んだもので指で収まりきらなくなっただろう。
「疲労が………抜けない」
頭がクラクラしてくる。あ、これは本格的にダメかも。
以前こうなったのは、まだ戦いに慣れていない時。そうだな………ユーリアを助けた時以来。あの時、結局僕は意識を失ってしまったんだった。今そうなったら………間違いなくこの世に居られることは無くなるだろう。
「死ねぇえ!!!!!」
「ぐぅうっ、はぁはぁ………!!!」
受け止める剣が重すぎる。いつもなら、受け流していたのだけれど、今はその元気が無い。でも受け流さないとかなり負荷がかかる………
そんなことを思っていると、ふと視界がぼやけた。
「ん?」
色の境界線が識別できない。それはまるで、あの注射器の中の液体みたいに。
「………あれ?」
今どういう状況なのか、認識できない。そうしているうちに突然体が宙に舞った。
僕が跳んだのではない。ただ、お腹を殴られて宙に放り出されたのだ。
「カハッ………」
声が出ない。相当な損傷を食らってしまった。
今、僕はどういう状況なんだ?もしかして、死にそうなんじゃないか?
あれ、嘘、僕ここで終わりなの?
「ぁ………」
境界線の見えない中で、四人の魔人が現れたのが分かった。本能で分かった、今ここで死ぬんだって。
僕は、意識を失った。
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