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第1章 『最初の街』編
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騒動があった翌日、私は再び冒険者ギルトに顔を出していた。
何でわざわざ、とは思うかもだけどね。昨日とは違い、今回は仕事を探すためなのだよ。
イリオスに換金してもらったお金は当面の間、ただ暮らしていく分には不足はない。でも、新しい場所では何かと物要りだし、お金は大事だ。転生早々に文無しの素寒貧になるのは、さすがにマズい。それにこの世界には、たぶんまだ生活保護とかの概念ないでしょうし。
そもそも、健康なのにイイ歳して働かないとかニートじゃん。そんなの、私の精神衛生上よくないよ。元・社畜でしたし!
ギルド内の酒場スペースを抜けて、やや奥まった所にある掲示板の前に立つ。
なんでも、ほとんどの依頼状はここに貼り付けられるんだそうな。で、受けたい依頼があったら紙を剥がして、受付まで持っていって申請するんだそう。セルフサービスっぽいね!………あれ?違うっけ。
でもさぁ……やけにギルド内に人が少ないな?とか思ってたら、依頼状があんまり残ってないんだけど。あっても埃被ったのが二、三枚だけ。
もしかして、冒険者ギルトって思ったよか仕事ないの?供給過多の需要不足?
「───そこにいるの、昨日のお嬢か。こんな時間に、そこで何してるんだ?」
もんもんとしているところに、ギルドマスターさん!昨日ぶりですね。
本日も、とっても漢らしいです。いい筋肉ですね。……って、そんなこと思ってる場合じゃなかった。
「いやぁ、ちょっとですね。職探し(?)をしてました。……丁度いい依頼が、なかなか無いんですよ」
「……そりゃそうだ。めぼしいのは、みんな早朝に持ってかれるからな」
なんと、朝早くにとな?
まぁ、先着順ならそうだよね。誰だって、自分が有利なのを取りたいもの。
……それ、暗に私が出遅れてるってことですよね?
やだもー、恥ずかしーなー!!
「そうだな……昨日見た様子だと、お嬢ならいけるか?」
私が内心で羞恥にプルプルと震えているうちに、何か閃いたらしいギルドマスターが、カウンターのお姉さんに指示してたようで……気がつくと、私の目の前には一枚の紙っぺら。依頼書っぽいけど、あのこれ紙質違くない?もしや、噂の羊皮紙ってやつなんじゃ……。
「は、拝見します」
ギルドマスターから、割りとぞんざいに手渡された物を、おそろおそろ手に取り目を通すと、そこには……。
〈【急募】魔物退治
メリーディエースの丘に【水】、【風】二種のスライムが大量発生。至急退治されたし。
推奨ランク→B以上、最低でも+C。
推奨人数→三~五人。(Aランク以上なら、一人でも可)
達成条件→スライム百匹以上の討伐。(アイテム・スライムの欠片の数で判断)
追加報酬→+百匹討伐ごとに、償金の追加あり〉
……スライムって、あのスライムだよね?
ほら、私の初回戦闘の相手の。………え、あれ違うの?小スライムって言うんだっけ。そういや。
でも、スライムと小スライムの違いって、大きさだけなんじゃ?………あぁ、やっぱりね。でも、その大型種の大スライムは別格と。なるほどなるほど。
……つまり、私が行っても問題ない、よね?
「行けますね。昨日倒したの……小スライム【風】でしたっけ?蹴りで一発でしたし」
「…………は?」
や、もしかしたら昨日のヤツはオーバーキルっぽかったから、手でもイケたかも。こう……ぷちゅっとね!
──このとき、私は知らなかった。
まさか、小スライムを握り潰すには、黒鉛(←鉛筆の芯とかに使われるやつ)を握力だけでダイヤモンドに変えるぐらいの力が必要だったなんて。その力は、約三〇トンほど。
………スライム種には物理耐性があるなんて、聞いてないよ!私は、範○勇次郎じゃねえぇぇっ!!
ギルドマスターが、一見非力に見える私に依頼書を渡してきた理由?
それは、私が酔っ払いを投げ飛ばしたときに、魔法を使ってるように見えたかららしいよ。実際、私から魔力も漏れてたらしいし……加減をするためのだったけど。きっと、無意識に殺人を防いだんだねぇ。本能もバカにできないや。
……おっと、話が逸れそうだった。
とにかく、異例(←だったらしい)の新人抜擢の根拠は、無詠唱であのレベルの《身体強化》が使えるなら……と言うことだったそうな。見た目的にそれらしいから、魔法特化の冒険者──魔導師だと思われてたんだと。
あ、ちなみに《身体強化》は四元素魔法の【土】に属する魔法だよ。なんでも、【土】属性は土壌と力を司るんだそう。不思議な区分だよね~。
まぁ、多少(?)の認識の違い(←このときは互いに気づいてない)はありつつも、無事に仕事は入手できました。イエー((パチパチパチ☆
さて、このまま身一つで行っても良いけど、折角だし少し町で買い物でもしてこようかな。
……この町でまだ酒(←絡まれたとき飲んでたヤツ)しか買ってないんだよな、私。
「それでは、今から準備に行ってきまーす」
そうと決めたら、即行動だ!
ギルドマスターに軽~く声をかけると、私はその足で町の中央通りへと出掛けていった。
……あ、迷子フラグはガチで困るから、もちろん地図は持っていくよ?基本だもの。
何でわざわざ、とは思うかもだけどね。昨日とは違い、今回は仕事を探すためなのだよ。
イリオスに換金してもらったお金は当面の間、ただ暮らしていく分には不足はない。でも、新しい場所では何かと物要りだし、お金は大事だ。転生早々に文無しの素寒貧になるのは、さすがにマズい。それにこの世界には、たぶんまだ生活保護とかの概念ないでしょうし。
そもそも、健康なのにイイ歳して働かないとかニートじゃん。そんなの、私の精神衛生上よくないよ。元・社畜でしたし!
ギルド内の酒場スペースを抜けて、やや奥まった所にある掲示板の前に立つ。
なんでも、ほとんどの依頼状はここに貼り付けられるんだそうな。で、受けたい依頼があったら紙を剥がして、受付まで持っていって申請するんだそう。セルフサービスっぽいね!………あれ?違うっけ。
でもさぁ……やけにギルド内に人が少ないな?とか思ってたら、依頼状があんまり残ってないんだけど。あっても埃被ったのが二、三枚だけ。
もしかして、冒険者ギルトって思ったよか仕事ないの?供給過多の需要不足?
「───そこにいるの、昨日のお嬢か。こんな時間に、そこで何してるんだ?」
もんもんとしているところに、ギルドマスターさん!昨日ぶりですね。
本日も、とっても漢らしいです。いい筋肉ですね。……って、そんなこと思ってる場合じゃなかった。
「いやぁ、ちょっとですね。職探し(?)をしてました。……丁度いい依頼が、なかなか無いんですよ」
「……そりゃそうだ。めぼしいのは、みんな早朝に持ってかれるからな」
なんと、朝早くにとな?
まぁ、先着順ならそうだよね。誰だって、自分が有利なのを取りたいもの。
……それ、暗に私が出遅れてるってことですよね?
やだもー、恥ずかしーなー!!
「そうだな……昨日見た様子だと、お嬢ならいけるか?」
私が内心で羞恥にプルプルと震えているうちに、何か閃いたらしいギルドマスターが、カウンターのお姉さんに指示してたようで……気がつくと、私の目の前には一枚の紙っぺら。依頼書っぽいけど、あのこれ紙質違くない?もしや、噂の羊皮紙ってやつなんじゃ……。
「は、拝見します」
ギルドマスターから、割りとぞんざいに手渡された物を、おそろおそろ手に取り目を通すと、そこには……。
〈【急募】魔物退治
メリーディエースの丘に【水】、【風】二種のスライムが大量発生。至急退治されたし。
推奨ランク→B以上、最低でも+C。
推奨人数→三~五人。(Aランク以上なら、一人でも可)
達成条件→スライム百匹以上の討伐。(アイテム・スライムの欠片の数で判断)
追加報酬→+百匹討伐ごとに、償金の追加あり〉
……スライムって、あのスライムだよね?
ほら、私の初回戦闘の相手の。………え、あれ違うの?小スライムって言うんだっけ。そういや。
でも、スライムと小スライムの違いって、大きさだけなんじゃ?………あぁ、やっぱりね。でも、その大型種の大スライムは別格と。なるほどなるほど。
……つまり、私が行っても問題ない、よね?
「行けますね。昨日倒したの……小スライム【風】でしたっけ?蹴りで一発でしたし」
「…………は?」
や、もしかしたら昨日のヤツはオーバーキルっぽかったから、手でもイケたかも。こう……ぷちゅっとね!
──このとき、私は知らなかった。
まさか、小スライムを握り潰すには、黒鉛(←鉛筆の芯とかに使われるやつ)を握力だけでダイヤモンドに変えるぐらいの力が必要だったなんて。その力は、約三〇トンほど。
………スライム種には物理耐性があるなんて、聞いてないよ!私は、範○勇次郎じゃねえぇぇっ!!
ギルドマスターが、一見非力に見える私に依頼書を渡してきた理由?
それは、私が酔っ払いを投げ飛ばしたときに、魔法を使ってるように見えたかららしいよ。実際、私から魔力も漏れてたらしいし……加減をするためのだったけど。きっと、無意識に殺人を防いだんだねぇ。本能もバカにできないや。
……おっと、話が逸れそうだった。
とにかく、異例(←だったらしい)の新人抜擢の根拠は、無詠唱であのレベルの《身体強化》が使えるなら……と言うことだったそうな。見た目的にそれらしいから、魔法特化の冒険者──魔導師だと思われてたんだと。
あ、ちなみに《身体強化》は四元素魔法の【土】に属する魔法だよ。なんでも、【土】属性は土壌と力を司るんだそう。不思議な区分だよね~。
まぁ、多少(?)の認識の違い(←このときは互いに気づいてない)はありつつも、無事に仕事は入手できました。イエー((パチパチパチ☆
さて、このまま身一つで行っても良いけど、折角だし少し町で買い物でもしてこようかな。
……この町でまだ酒(←絡まれたとき飲んでたヤツ)しか買ってないんだよな、私。
「それでは、今から準備に行ってきまーす」
そうと決めたら、即行動だ!
ギルドマスターに軽~く声をかけると、私はその足で町の中央通りへと出掛けていった。
……あ、迷子フラグはガチで困るから、もちろん地図は持っていくよ?基本だもの。
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