オメガバース物語 ヤクザver.

本章

73話

-紬side-

抜け出そうとするも腕で落ちないようにとしっかり腰辺りでホールドされていて降りることが出来ない。

「渉さん…あの…」

「蓮の方がいいかい？」

困ったように渉さんが眉を下げながら尋ねる。
あ、やっぱり親子だ。
困った表情がそっくり。
オロオロと反応に困っているとグリグリと豪快に頭を撫でられパッと手が離され解放された。

「困らせてしまったね、冗談だよ。蓮とも話さないといけなかったし丁度良かった。」

渉さんから降りるとすぐに蓮さんが手を伸ばし腰に腕を回されストンと股の間に座る。

「紬くんは面通しと通達について蓮から聞いてるかな？」

「…？」

わからないといったようにふるふると首を横に振る。

「もう少し後でいいと思ってたんだが、面通しは紹介するってこと。あと通達ってのは簡単に言うとお前は俺のだから手を出すなっていうのを組関係者に連絡するってことだな。要するに番になる報告みたいなもんだ。」

「そ…そう…」

改めてそうはっきりと言われると少し恥ずかしくなった。
その様子を見てか、渉さんは終始楽しそうに微笑んでいた。