上 下
4 / 4

2

しおりを挟む
翌日、目が覚めても昨日見た光景は頭から離れることはなかった。
使用人たちにうまく誤魔化し昨晩と同じく地下室へと続く階段を降りる。
扉を開けるとそこには昨晩と同じ男性が全裸で壁の端に座り込んでいた。
その男性は目隠しをされており両腕もしっかりと頭上で固定されているため身動きはほぼ制限されているようだった。
唯一出来るとすれば声を発することと、近くにぶら下げてあるペットボトルに刺さっているストローから水を摂取することだろうか。
まるで…飼育小屋だな。

「旦那様…?」

微かな足音を感じ取ったのか、かなり困惑した様子で口を開いた。
その男性が言う旦那様というのがきっと父さんの事だろう。
そっと近づき目隠しを取ってやると、その男性と目が合う。

「ん…あ、昨日の…」

父さんだと思っていたらしく一瞬驚いたように目をパチパチと瞬きさせるも、目が慣れればぼんやり見つめてくる。

「おい、お前名前は?」

「はぁ…貴族様はまず自分から名乗るのが礼儀なんじゃないの?」

得体の知れない者に自ら名乗れと皮肉混じりに生意気な口ぶりで言われ無性に苛っとくる。

「ふ…そんないかにも不機嫌にならなくても。嘘々、君のこと知らないわけが無いよ。ジュンくん…だったかな?旦那様が時々君のことを話してくれるんだ。」

「あっそう。で、名前は?」

「ハル、…なんか女みたいな名前でしょ。旦那様が付けてくれたんだ。」

そいつは何故か誇らしそうにへラっと笑った。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

助けの来ない状況で少年は壊れるまで嬲られる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

処理中です...