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とはいえ私も、教会のことにばかりかまけているわけではない。より良い生贄になるべく、日々努力中なのだ。
いや、何がどう生贄らしいとか、神さまに聞いたわけじゃないからあくまで予想だけれど。でもわざわざ貴族の娘を要求したってことは、ある程度容姿が整っていたり、グラマラスな体型をしているほうが、食べ応えもあって美味しいんだろうな。
まあ私が神さまなら、領主の娘は食べないけどね。血が半分繋がっている相手に言うのも失礼だけれど、性格の悪さがうつりそう。あと、苦くてまずそう。悪食なのかな。
「レベッカ」
「ひゃっ」
急に話しかけないでよ! 呼吸が乱れるじゃん!
生贄として貧相な娘はふさわしくないと実父に啖呵をきった手前、一日も疎かにはできない。今日も今日とて、やるのは筋トレだ。
「その謎のポーズは何ですか?」
「……胸筋を鍛える体操です」
「バストアップの体操ですか……」
なぜバレた!
庶民の生活じゃあ、無駄に太ることなんてないんだよねえ。貧相って言うな! スレンダーと言え!
別の場所から寄せてあげようにも、そもそも肉がないんだよ。足りない脂肪は筋肉でカバーしてやるぜ!
「脂肪と筋肉はそもそも違うのでは?」
「うるさいっ」
「僕は、小さくても大きくてもみんな尊いと思いますけれどねえ」
「神父さまの好みは聞いてないから」
「大事なのは誰の持ち物かでしょう。あとはかん」
「いいからもう黙って!」
なんか今、聖職者としてあるまじき言葉が聞こえたような。なんだこれ、ワンチャンあるのか? こちとら崖っぷちの生贄なんだから、わりと本気で期待するからな!
「レベッカ、その体操はひとまず置いておいて、おやつを食べませんか」
「神父さま、まさかまた買い食い?」
「いえいえ、大丈夫ですよ。これは教会に対して、日頃のお礼ということで持ってきていただいたものなので」
「それならいいか」
あっさり認める私を現金だと言ってはいけない。甘味は貧乏人には貴重なのだ。
「甘いっ! 幸せ!」
「僕もその顔が見れて嬉しいです」
さつまいもって蒸すだけで十分美味しいけれど、お砂糖や牛乳、卵を使って一手間かけると、さらに美味しさが増すよね!
「美味しそうに食べますね」
「だって美味しいんだもん」
あー、もう残り一個か。やっぱり一般的な乙女としてはここで遠慮するべきなんだろうな。手を出せずにいると、笑顔の神父さまが最後のひとつを私の口に押し込んだ。
「ふわ、お、おいひい」
「いつまでもこんな風に美味しいものを一緒に食べたいですね」
「……うん、そうだね」
神父さまは、ひどい。私が生贄になるのを知っているくせに、そんなことを言うんだ。でもそんな意地悪な神父さまが好きなんだから、私もたいがいバカなんだよね。
いや、何がどう生贄らしいとか、神さまに聞いたわけじゃないからあくまで予想だけれど。でもわざわざ貴族の娘を要求したってことは、ある程度容姿が整っていたり、グラマラスな体型をしているほうが、食べ応えもあって美味しいんだろうな。
まあ私が神さまなら、領主の娘は食べないけどね。血が半分繋がっている相手に言うのも失礼だけれど、性格の悪さがうつりそう。あと、苦くてまずそう。悪食なのかな。
「レベッカ」
「ひゃっ」
急に話しかけないでよ! 呼吸が乱れるじゃん!
生贄として貧相な娘はふさわしくないと実父に啖呵をきった手前、一日も疎かにはできない。今日も今日とて、やるのは筋トレだ。
「その謎のポーズは何ですか?」
「……胸筋を鍛える体操です」
「バストアップの体操ですか……」
なぜバレた!
庶民の生活じゃあ、無駄に太ることなんてないんだよねえ。貧相って言うな! スレンダーと言え!
別の場所から寄せてあげようにも、そもそも肉がないんだよ。足りない脂肪は筋肉でカバーしてやるぜ!
「脂肪と筋肉はそもそも違うのでは?」
「うるさいっ」
「僕は、小さくても大きくてもみんな尊いと思いますけれどねえ」
「神父さまの好みは聞いてないから」
「大事なのは誰の持ち物かでしょう。あとはかん」
「いいからもう黙って!」
なんか今、聖職者としてあるまじき言葉が聞こえたような。なんだこれ、ワンチャンあるのか? こちとら崖っぷちの生贄なんだから、わりと本気で期待するからな!
「レベッカ、その体操はひとまず置いておいて、おやつを食べませんか」
「神父さま、まさかまた買い食い?」
「いえいえ、大丈夫ですよ。これは教会に対して、日頃のお礼ということで持ってきていただいたものなので」
「それならいいか」
あっさり認める私を現金だと言ってはいけない。甘味は貧乏人には貴重なのだ。
「甘いっ! 幸せ!」
「僕もその顔が見れて嬉しいです」
さつまいもって蒸すだけで十分美味しいけれど、お砂糖や牛乳、卵を使って一手間かけると、さらに美味しさが増すよね!
「美味しそうに食べますね」
「だって美味しいんだもん」
あー、もう残り一個か。やっぱり一般的な乙女としてはここで遠慮するべきなんだろうな。手を出せずにいると、笑顔の神父さまが最後のひとつを私の口に押し込んだ。
「ふわ、お、おいひい」
「いつまでもこんな風に美味しいものを一緒に食べたいですね」
「……うん、そうだね」
神父さまは、ひどい。私が生贄になるのを知っているくせに、そんなことを言うんだ。でもそんな意地悪な神父さまが好きなんだから、私もたいがいバカなんだよね。
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