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幸運を運ぶ猫は、雨の日に傘をさしてやってくる(4)
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黒猫と一緒にアパートで暮らすようになってから、奈々美さんはいろいろな男の人に声をかけられるようになりました。
もともと奈々美さんは、いわゆるダメンズと呼ばれる男の人ばかり好きになっていました。そのせいで、お金を騙しとられたり、他の女の人と浮気をされたり、たくさん嫌な目に遭ってきたのです。
ところが、男の子と女の子に会ってからというもの、奈々美さんはダメンズに引っかからなくなりました。
きらきらした奈々美さんには、気がつかないうちに良くない男の人を跳ね返す力ができていたのかもしれません。
そんな奈々美さんは、本屋さんで素敵な男の人に出会いました。びっくりするくらい趣味があう男の人で、ふたりはどんどん仲良くなりました。
奈々美さんが冷蔵庫の残り物でご飯を作ってあげると、魔法みたいだねと喜んでくれます。貧乏くさいと嫌がっていた、奈々美さんのお姉さんやお兄さんとは大違いです。
男の人は奈々美さんが何をしたいのかを聞いてくれます。奈々美さんがちゃんと言えるようになるまで、しっかり待ってくれます。奈々美さんのことを、ワガママで気がきかないと怒ってばかりいたお父さんとは大違いです。
奈々美さんは、どんどん男の人のことが好きになりました。
けれど奈々美さんには、ひとつだけ心配なことがありました。男の人が、黒猫と仲良くできるのかわからなかったのです。
初めて男の人を家に招待したとき、黒猫は、怖がって物陰に隠れてしまうこともなく、ちゃんと挨拶をしてくれました。そして、男の人の上で丸くなりちゃっかり昼寝までしたのです。
それからとんとん拍子で、奈々美さんと男の人は結婚することになりました。ふたりは、男の人のご両親と、大切な友人を招待して、こぢんまりとした式を挙げました。
奈々美さんの結婚式の日は、少しだけ雨が降りました。一日お天気の予定だったのにです。
神社の参道を歩いていた白無垢姿の奈々美さんは、鳥居の影にいた男の子と女の子に気がつきました。参列できなかったはずの黒猫も、ご機嫌な様子で女の子の腕に抱かれています。
奈々美さんは、この幸せを運んでくれた男の子と女の子、そして黒猫にしっかり頭を下げたのでした。
もともと奈々美さんは、いわゆるダメンズと呼ばれる男の人ばかり好きになっていました。そのせいで、お金を騙しとられたり、他の女の人と浮気をされたり、たくさん嫌な目に遭ってきたのです。
ところが、男の子と女の子に会ってからというもの、奈々美さんはダメンズに引っかからなくなりました。
きらきらした奈々美さんには、気がつかないうちに良くない男の人を跳ね返す力ができていたのかもしれません。
そんな奈々美さんは、本屋さんで素敵な男の人に出会いました。びっくりするくらい趣味があう男の人で、ふたりはどんどん仲良くなりました。
奈々美さんが冷蔵庫の残り物でご飯を作ってあげると、魔法みたいだねと喜んでくれます。貧乏くさいと嫌がっていた、奈々美さんのお姉さんやお兄さんとは大違いです。
男の人は奈々美さんが何をしたいのかを聞いてくれます。奈々美さんがちゃんと言えるようになるまで、しっかり待ってくれます。奈々美さんのことを、ワガママで気がきかないと怒ってばかりいたお父さんとは大違いです。
奈々美さんは、どんどん男の人のことが好きになりました。
けれど奈々美さんには、ひとつだけ心配なことがありました。男の人が、黒猫と仲良くできるのかわからなかったのです。
初めて男の人を家に招待したとき、黒猫は、怖がって物陰に隠れてしまうこともなく、ちゃんと挨拶をしてくれました。そして、男の人の上で丸くなりちゃっかり昼寝までしたのです。
それからとんとん拍子で、奈々美さんと男の人は結婚することになりました。ふたりは、男の人のご両親と、大切な友人を招待して、こぢんまりとした式を挙げました。
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奈々美さんは、この幸せを運んでくれた男の子と女の子、そして黒猫にしっかり頭を下げたのでした。
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