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045 神様の貯金箱?
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ゴスロリ服の店を出た後も、私たちは乙女通りの店を冷かして回った。雑貨屋を何件もはしごしたり、屋台を覗いてみたり、アクセサリーショップやランジェリーショップも見て回った。
もちろん見るだけじゃなくて気に入った物があれば買い物もした。3人でお揃いのピンキーリングを買ったり、ランジェリーショップでは、2人にそれぞれちょっと攻めたデザインの下着を贈った。ミレイユには紐パン。ディアネットには黒のスケスケだ。2人がこれを身に着ける日が楽しみである。
店を回っている最中、私たちは注目の的だった。3人ともゴスロリ服で上から下まで揃えているからね。しかも、3人ともタイプの違う美人だから、よけいに人の目を集めた。ミレイユとディアネットは、注目されることに慣れていないのか、少し恥ずかしそうにしていた。それでも、私の檄が利いたのか、背を丸めることはなくなった。
幾人かの女の子に、服のことを訪ねられたりもした。この街では、ゴスロリ服は物珍しいらしい。女の子たちには、ゴスロリのお店のことも教えておいたので、もしかしたら、この街でゴスロリ服が流行るかもしれないな。
買った物は、全て私のマジックバッグに入っているので手荷物は無しだ。楽ちんだし、後先考えずに買い物ができるので、とても助かっている。やはり下界に来る時はマジックバッグは必須だな。マジックバッグが無ければ、今頃買った荷物で身動きが取れなくなっていただろう。
「それにしても……」
ミレイユが、口の端に付いたクリームをペロリと舐め取って言う。その姿は、幼い外見には不釣り合いなほど艶があった。
今は皆で、喫茶店のテラス席で昼食代わりにパンケーキを食べているところだ。ふわふわの大きなパンケーキには、クリームやアイスがトッピングされていて、食べきれるか心配になるほどボリュームがある。
「結局、ほとんどルーが支払いしちゃったわね。私も払うって言ったのに……」
ミレイユは不満なのか、頬をぷくっと膨らませる。その外見相応に子どもっぽい仕草に、ちょっとほっこりする。
「気にせず貰っておけ。2人がかわいらしい格好をすると、私のやる気が上がるからな」
それに、冒険者としての稼ぎがあまり良好ではない今、2人の懐具合は分かっているつもりだ。
「かわいい…」
ディアネットが照れたのか、その頬を薄く上気させる。ディアネットは、肌が透き通るように白いから、顔色がすぐに分かる。言葉以上にディアネットの顔は雄弁だ。
「またそんなこと言って…。あのね、お金は使えばすぐに無くなっちゃうのよ?」
ミレイユが、まるで幼い子どもに言い聞かせるように語る。私を見るその顔は、心配の色が強い。
「買ってもらった私が言うのもアレだけど。このペースで人に買い与えていたら、金貨100枚もすぐに無くなっちゃうんだから。ルーが変な男に捕まって、有り金全部貢いじゃうんじゃないかって、私は心配よ」
ミレイユが深刻そうに言うが……そんな心配してたのか。私を何だと思ってるんだ?失礼な。男に貢いで何が楽しんだ。どうせ貢ぐなら、かわいい女の子に貢ぐよ。例えばミレイユとか。ディアネットとか。リリムやエレオノールにも貢ぎたいな。つまり、私は【赤の女王】の皆に貢ぎたいのだ。
だが、ミレイユがいらない心配をしているということはよく分かった。ここは安心させてやろう。
「気を付けるよ。心配ありがとう、ミレイユ」
「分かってくれればいいのよ」
ミレイユはまだこちらを心配そうに見ている。ディアネットもだ。
「そんなに心配するな。今日の分は貰っておけ、私にはまだ金貨が100枚以上残っているからな。それに、貯金箱が2つも残っている」
「貯金箱?そんな物買ったかしら?」
ミレイユとディアネットが疑問を顔に浮かべる。この言い方では伝わらないのも無理はないか。
「『開かずの宝箱』のことだ」
冒険者ギルドの隅にひっそりと置かれた、『開かずの宝箱』。誰にも解錠することができないと諦めと共に放置されていた『開かずの宝箱』に、近頃はチャレンジャーが列を成しているらしい。
原因は、私が『開かずの宝箱』の1つを解錠したからだ。自分も後に続こうと、盗賊たちが一獲千金を夢見て挑戦しているらしい。
『開かずの宝箱』を解錠した時に貰える賞金は、チャレンジャーが増える毎に少しずつ上乗せされていく。チャレンジャーが群がっている今、賞金は少しずつだが、確実に増えている。
私は、時期が来たら『開かずの宝箱』を解錠して賞金を手にするつもりだ。言ってしまえば、今は他人の金で貯金中なのである。せっかく今は賞金が吊り上がっているのだ。ここは待ちの一手に限る。
今『開かずの宝箱』に群がっているチャレンジャーたちには礼を言わないとな。私の為に賞金を吊り上げてくれてありがとうと。
我ながら意地の悪いことだが、想像するとニヤけてしてしまう。
ニマニマする私を、2人は呆れたように見ていた。
もちろん見るだけじゃなくて気に入った物があれば買い物もした。3人でお揃いのピンキーリングを買ったり、ランジェリーショップでは、2人にそれぞれちょっと攻めたデザインの下着を贈った。ミレイユには紐パン。ディアネットには黒のスケスケだ。2人がこれを身に着ける日が楽しみである。
店を回っている最中、私たちは注目の的だった。3人ともゴスロリ服で上から下まで揃えているからね。しかも、3人ともタイプの違う美人だから、よけいに人の目を集めた。ミレイユとディアネットは、注目されることに慣れていないのか、少し恥ずかしそうにしていた。それでも、私の檄が利いたのか、背を丸めることはなくなった。
幾人かの女の子に、服のことを訪ねられたりもした。この街では、ゴスロリ服は物珍しいらしい。女の子たちには、ゴスロリのお店のことも教えておいたので、もしかしたら、この街でゴスロリ服が流行るかもしれないな。
買った物は、全て私のマジックバッグに入っているので手荷物は無しだ。楽ちんだし、後先考えずに買い物ができるので、とても助かっている。やはり下界に来る時はマジックバッグは必須だな。マジックバッグが無ければ、今頃買った荷物で身動きが取れなくなっていただろう。
「それにしても……」
ミレイユが、口の端に付いたクリームをペロリと舐め取って言う。その姿は、幼い外見には不釣り合いなほど艶があった。
今は皆で、喫茶店のテラス席で昼食代わりにパンケーキを食べているところだ。ふわふわの大きなパンケーキには、クリームやアイスがトッピングされていて、食べきれるか心配になるほどボリュームがある。
「結局、ほとんどルーが支払いしちゃったわね。私も払うって言ったのに……」
ミレイユは不満なのか、頬をぷくっと膨らませる。その外見相応に子どもっぽい仕草に、ちょっとほっこりする。
「気にせず貰っておけ。2人がかわいらしい格好をすると、私のやる気が上がるからな」
それに、冒険者としての稼ぎがあまり良好ではない今、2人の懐具合は分かっているつもりだ。
「かわいい…」
ディアネットが照れたのか、その頬を薄く上気させる。ディアネットは、肌が透き通るように白いから、顔色がすぐに分かる。言葉以上にディアネットの顔は雄弁だ。
「またそんなこと言って…。あのね、お金は使えばすぐに無くなっちゃうのよ?」
ミレイユが、まるで幼い子どもに言い聞かせるように語る。私を見るその顔は、心配の色が強い。
「買ってもらった私が言うのもアレだけど。このペースで人に買い与えていたら、金貨100枚もすぐに無くなっちゃうんだから。ルーが変な男に捕まって、有り金全部貢いじゃうんじゃないかって、私は心配よ」
ミレイユが深刻そうに言うが……そんな心配してたのか。私を何だと思ってるんだ?失礼な。男に貢いで何が楽しんだ。どうせ貢ぐなら、かわいい女の子に貢ぐよ。例えばミレイユとか。ディアネットとか。リリムやエレオノールにも貢ぎたいな。つまり、私は【赤の女王】の皆に貢ぎたいのだ。
だが、ミレイユがいらない心配をしているということはよく分かった。ここは安心させてやろう。
「気を付けるよ。心配ありがとう、ミレイユ」
「分かってくれればいいのよ」
ミレイユはまだこちらを心配そうに見ている。ディアネットもだ。
「そんなに心配するな。今日の分は貰っておけ、私にはまだ金貨が100枚以上残っているからな。それに、貯金箱が2つも残っている」
「貯金箱?そんな物買ったかしら?」
ミレイユとディアネットが疑問を顔に浮かべる。この言い方では伝わらないのも無理はないか。
「『開かずの宝箱』のことだ」
冒険者ギルドの隅にひっそりと置かれた、『開かずの宝箱』。誰にも解錠することができないと諦めと共に放置されていた『開かずの宝箱』に、近頃はチャレンジャーが列を成しているらしい。
原因は、私が『開かずの宝箱』の1つを解錠したからだ。自分も後に続こうと、盗賊たちが一獲千金を夢見て挑戦しているらしい。
『開かずの宝箱』を解錠した時に貰える賞金は、チャレンジャーが増える毎に少しずつ上乗せされていく。チャレンジャーが群がっている今、賞金は少しずつだが、確実に増えている。
私は、時期が来たら『開かずの宝箱』を解錠して賞金を手にするつもりだ。言ってしまえば、今は他人の金で貯金中なのである。せっかく今は賞金が吊り上がっているのだ。ここは待ちの一手に限る。
今『開かずの宝箱』に群がっているチャレンジャーたちには礼を言わないとな。私の為に賞金を吊り上げてくれてありがとうと。
我ながら意地の悪いことだが、想像するとニヤけてしてしまう。
ニマニマする私を、2人は呆れたように見ていた。
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