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010 神様、パーティに入る
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「えー、今から女王会議を始めます」
騒がしかった夕食も終わり、食後のお茶でゆっくりといったところで、唐突にエレオノールが宣言する。皆、慣れているのか、エレオノールに拍手を送っていた。
しかし、会議って何を話し合うんだ?
「議題はもちろん」
エレオノールがこちらを向く。ん?私?
「そうです、ルーちゃんのことです。ルーちゃんのパーティ加入についてどう思いますか?」
そうだったな。もうすっかり入った気でいたが、今の私は、エレオノールに誘われてきただけの宙ぶらりんな状態だ。他のメンバーの了承を貰ったわけではない。
悪い感触は無かったと思うが、ここでさよならということもあり得るのか。
「良いんじゃない?悪い子じゃなさそうだしー」
真っ先に賛成してくれたのは、リリムだった。リリムいい奴だな。加護あげちゃうぞ。
「私も賛成よ。優秀な盗賊が入ってくれるのは嬉しいわ」
「賛成…」
ミレイユとディアネットも賛成してくれた。これで過半数の賛成は得られたな、やったね。
全員の目がアリスへと向かう。アリスは賛成してくれるだろうか?
「何だい?皆して」
「アリスさんは、ルーちゃんのパーティ加入についてどう思いますか?」
「あたしゃパーティの部外者だよ。パーティのことはパーティで決めな」
「おばちゃんも【赤の女王】の仲間だよ」
「そう言ってくれるのは嬉しいけどねぇ。あたしゃもうとっくの昔に引退した身だよ。自分たちのことは、自分たちで決めな。いちいち婆に確認してくるんじゃないよ」
アリスは部外者と言う立ち位置を守るようだ。厳しい言い方だが、パーティの自立を促しているのだろう。
「分かりました。では、全員賛成ということで、良いですか?」
「異議なーし」
「良いわよ」
「うん…」
「うむ、皆よろしくたのむぞ」
こうして私は正式に【赤の女王】へと加入したのだった。
「では、次の議題です」
「まだあるの?」
ミレイユが不満そうな声を上げる。早く宝具が見たいのだろう。頬杖をつき、テーブルの下で足をプラプラと振っている姿は、本当に幼い子どものようだ。
「あります。それも、とても大事な議題です」
大事な議題か。何かあっただろうか?
「このパーティのリーダーを決めなくてはいけません」
「エルがリーダーではないのか?」
先程から司会進行しているし、てっきりリーダーだと思い込んでいた。
「あーしもエルエルが良いと思うなー」
「そうねー」
ディアネットもコクリと頷いて同意している。
「皆さん…。でも、こういうのは目上の方がした方が収まりが……」
「あーしはパース。柄じゃないし」
「私も…ムリ…」
「それに、パーティメンバーは皆対等っしょ。上も下も無いって」
結局、皆に押される形でエレオノールがリーダーに決まった。
「わたくしがリーダーで本当に良いのでしょうか…」
「期待してるよ、リーダー。よっ!パーティリーダー!」
「もう、プレッシャーをかけないでください!」
騒がしかった夕食も終わり、食後のお茶でゆっくりといったところで、唐突にエレオノールが宣言する。皆、慣れているのか、エレオノールに拍手を送っていた。
しかし、会議って何を話し合うんだ?
「議題はもちろん」
エレオノールがこちらを向く。ん?私?
「そうです、ルーちゃんのことです。ルーちゃんのパーティ加入についてどう思いますか?」
そうだったな。もうすっかり入った気でいたが、今の私は、エレオノールに誘われてきただけの宙ぶらりんな状態だ。他のメンバーの了承を貰ったわけではない。
悪い感触は無かったと思うが、ここでさよならということもあり得るのか。
「良いんじゃない?悪い子じゃなさそうだしー」
真っ先に賛成してくれたのは、リリムだった。リリムいい奴だな。加護あげちゃうぞ。
「私も賛成よ。優秀な盗賊が入ってくれるのは嬉しいわ」
「賛成…」
ミレイユとディアネットも賛成してくれた。これで過半数の賛成は得られたな、やったね。
全員の目がアリスへと向かう。アリスは賛成してくれるだろうか?
「何だい?皆して」
「アリスさんは、ルーちゃんのパーティ加入についてどう思いますか?」
「あたしゃパーティの部外者だよ。パーティのことはパーティで決めな」
「おばちゃんも【赤の女王】の仲間だよ」
「そう言ってくれるのは嬉しいけどねぇ。あたしゃもうとっくの昔に引退した身だよ。自分たちのことは、自分たちで決めな。いちいち婆に確認してくるんじゃないよ」
アリスは部外者と言う立ち位置を守るようだ。厳しい言い方だが、パーティの自立を促しているのだろう。
「分かりました。では、全員賛成ということで、良いですか?」
「異議なーし」
「良いわよ」
「うん…」
「うむ、皆よろしくたのむぞ」
こうして私は正式に【赤の女王】へと加入したのだった。
「では、次の議題です」
「まだあるの?」
ミレイユが不満そうな声を上げる。早く宝具が見たいのだろう。頬杖をつき、テーブルの下で足をプラプラと振っている姿は、本当に幼い子どものようだ。
「あります。それも、とても大事な議題です」
大事な議題か。何かあっただろうか?
「このパーティのリーダーを決めなくてはいけません」
「エルがリーダーではないのか?」
先程から司会進行しているし、てっきりリーダーだと思い込んでいた。
「あーしもエルエルが良いと思うなー」
「そうねー」
ディアネットもコクリと頷いて同意している。
「皆さん…。でも、こういうのは目上の方がした方が収まりが……」
「あーしはパース。柄じゃないし」
「私も…ムリ…」
「それに、パーティメンバーは皆対等っしょ。上も下も無いって」
結局、皆に押される形でエレオノールがリーダーに決まった。
「わたくしがリーダーで本当に良いのでしょうか…」
「期待してるよ、リーダー。よっ!パーティリーダー!」
「もう、プレッシャーをかけないでください!」
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