上 下
9 / 29

第九話『フェアリー』

しおりを挟む
「つまり「しゃべる」のスキルを持っていそうな種族を探せばいいのか」とライオンは言った。
「正解!」へびくんは笑顔で答えた。

「『しゃべる』スキルを持っていそうなモンスターってどんなのがいるんだ?」
とライオンが私達に訊ねる、サブカルチャーの知識は二人にお任せという感じだ。まぁ、これから覚えることも多そうだし、まあいいかなと思う。

「うーん、やっぱりボスクラスなのかな、魔王とかはしゃべるイメージよね」
と、私なりの意見を言ってみる。

「そうだね。あとはフェアリーとか!」
と、へびくんが付け加えてくれた。

「フェアリー!!」
と、私のテンションが上がる!!

それは乙女っぽい!!
それはいいじゃない!!
妖精とお話!!それはいいじゃない!!

そうだ、モンスターって言ったって、凶悪なモンスターばっかりじゃないんだった。
フェアリーかなりいい!!
私には癒やしが必要だわ!!

「フェアリー?妖精か?」
と、ライオンが反応した。妖精は知っているらしかった。
一般的なのかな、妖精は。
「妖精はわかるんだ?」
と私がサブカルチャーに詳しくないライオンに訊ねる。

「ああ、妖精は映画にでてくるからな。ゴブリンもわかる、しゃべるゴブリンもいるよな、お金大好きなやつ?」
と具体的なエピソードも付け加えるライオン。
映画は見るんだな。一般的な男子ってそんな感じなのかな?と思った。

「ああ、あの有名なファンタジー映画かぁ」
と私はなんとなくどの映画なのか分かった。

「ゴブリンも喋れるかもね、喋れない作品も結構あるんだけどね」とへびくんが言う。私のイメージだと、ゲームでは喋らなくて、映画だとしゃべる感じかしら。

「フェアリーとゴブリンどっちがいい?」
と、これから探しに行く、『しゃべる』スキルがあるモンスターどちらがいいか、私とライオンの二人に聞いた。

「フェアリー!フェアリー!フェアリー!!」
と私は連呼した。

「これで三票だから、決まりね!」
と、鏡で練習したスーパースマイルを見せた。
これが女子高生力!
しかし、いまはヤギなのだ。
どういう表情になってるのか、怖くて確認はできない。
そこは、深く考えないでおこう・・・。

「ゴブリンなんてわざわざ見たくないわよ!!妖精さんに会いたいわ!!」
と背景に花びら全開にして、乙女モードの私。

「その三票は一体どんなルールなんだよ・・・」
と呆れ顔の王子系イケメン風のライオン。

「まぁ、三票取られちゃったんじゃ仕方がないよね!」
とキラーンと歯を光らせながら言う、マイルドイケメン風のヘビくんが私のルールを採用してくれた!
キュンとするところだろう。私が女子高生で彼が男子高校生だったら。

残念ながらイケメンだけどヘビなのだ。
そして、もっと残念なことに私はヤギなのだ。
とても残念なことに、恋には落ちなかった。

「じゃあ、フェアリーを探しにいこっか!」
とへびくんは微笑んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。

木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。 そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。 ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。 そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。 こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。

政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。 しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。 相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。 そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。 無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!

処理中です...