上 下
39 / 286

第三十九話『真実の女子のお買い物』

しおりを挟む
コブタのぬいぐるみの、お会計が終わり、満足してさらりと帰ろうとする格闘少女のサラを、ガシっと捕まえる、魔法使いの少女奈緒子。

「いやいや、まだ、お洋服までたどり着いてませんよ!!」
奈緒子が笑顔でたしなめる。真骨頂は、お洋服なんですよ、と言わんばかりの奈緒子。そして、そのまま捕まる形で、洋服ショップまで、連れてこられた。

「ほらほら、かわいい、お洋服がたくさんありますよ!!」
「う、うん」
奈緒子の迫力に頷かざるを得ないサラ。

「ほら、こんなに、かわいい水着がありますよ!」
「えー!!いきなり、露出高くない??」
と、テンションの高い奈緒子に突っ込むサラ。

「そもそも、なんで水着があるの?」
「灼熱のフィールドがあるからだね。冬服を着ていると、じわじわと、ダメージを受けるステージがあるんだ」
と、僕が口を挟んだ。

「あー、なるほど、それはちょっとおもしろそう」
体育会系のサラは、熱いところでスポーツなどをやるからか、熱いところで体を動かすことには、慣れているようでまったく抵抗がないようだった。

「水着、露出高すぎると思うけど。この面積で身を守れるの??」
「特殊な加工がしてあるものは、確かにあるけどね」
と、僕が応える。

「へー、なるほどね!特殊な技術が発達しているのね!」と、言いながら、サラが水着を、ひらひらさせるので、少し恥ずかしくなり、目をそらしてしまった。

その顔を見てサラが奈緒子に言う。
「ほら!!こういうエッチな人もいることだしね!水着はまだ早いわね!!」
「確かに、そうですね」
うんうん、と、同意する奈緒子。いや、そこは、もっとなんとかあるでしょ、奈緒子さん!

「ジュンさんのせいで、サラちゃんが水着きてくれなくなっちゃったじゃないですか!!」
「えー」
奈緒子が、キッ!!とこちらを睨むふりをする。ひどい!!犯人扱いされた。

「ジャージないの??ジャージ!!」と、サラが探しにいってしまった。

「ジャージも結構ありますよ!ただ、基本的には室内用ですね。戦闘時には着れない物が多いです」
と奈緒子は水着を諦めて、ジャージの説明をすることにしたようだ。この辺からこの辺がそうですね、と指差す。たしかにたくさんあるようだ。

「なるほど、結構良いのがあるなー。これも、これもかわいいかも」腕のところに白い横線の入った薄い水色一色のジャージと、紺をベースにした胸周りと半袖にあたる部分だけが白くなってるジャージを取り出した。

「この2つもいいけど、うーん、基本に忠実にやっぱり紺かなぁ」
「全部、試着して見ましょうよ!簡単にできますよ!!」とサラにレクチャーする奈緒子。

「ジュン、どれがいい??」
といいながら、三種類のジャージを順番に身にまとい、僕に訊ねた。

「え!?全部いいと思うけど!」
僕は素直に思ったことを言った。

「役に立たないなぁ」
と、サラが笑った。
「男の人はダメですね」
と奈緒子まで笑った。

君たち、ひどくない??と思いながら、これが女子の買い物か!!と納得する僕であった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

春空VRオンライン ~島から出ない採取生産職ののんびり体験記~

滝川 海老郎
SF
新作のフルダイブVRMMOが発売になる。 最初の舞台は「チュートリ島」という小島で正式リリースまではこの島で過ごすことになっていた。 島で釣りをしたり、スライム狩りをしたり、探険したり、干物のアルバイトをしたり、宝探しトレジャーハントをしたり、のんびり、のほほんと、過ごしていく。

運極さんが通る

スウ
ファンタジー
『VRMMO』の技術が詰まったゲームの1次作、『Potential of the story』が発売されて約1年と2ヶ月がたった。 そして、今日、新作『Live Online』が発売された。 主人公は『Live Online』の世界で掲示板を騒がせながら、運に極振りをして、仲間と共に未知なる領域を探索していく。……そして彼女は後に、「災運」と呼ばれる。

いや、一応苦労してますけども。

GURA
ファンタジー
「ここどこ?」 仕事から帰って最近ハマってるオンラインゲームにログイン。 気がつくと見知らぬ草原にポツリ。 レベル上げとモンスター狩りが好きでレベル限界まで到達した、孤高のソロプレイヤー(とか言ってるただの人見知りぼっち)。 オンラインゲームが好きな25歳独身女がゲームの中に転生!? しかも男キャラって...。 何の説明もなしにゲームの中の世界に入り込んでしまうとどういう行動をとるのか? なんやかんやチートっぽいけど一応苦労してるんです。 お気に入りや感想など頂けると活力になりますので、よろしくお願いします。 ※あまり気にならないように製作しているつもりですが、TSなので苦手な方は注意して下さい。 ※誤字・脱字等見つければその都度修正しています。

異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース
ファンタジー
主人公の青年、藤堂飛鳥(とうどう・あすか)。 彼は、新発売のVRMMOを購入して帰る途中、事故に合ってしまう。 だがそれは神様のミスで、本来アスカは事故に遭うはずでは無かった。 神様は謝罪に、チートスキルを持っての異世界転生を進めて来たのだが・・・。 アスカはそんなことお構いなしに、VRMMO! これは、神様に貰ったチートスキルを活用して、VRMMO世界を楽しむ物語。 異世界云々が出てくるのは、殆ど最初だけです。 そちらがお望みの方には、満足していただけないかもしれません。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

ーOnly Life Onlineーで生産職中心に遊んでたらトッププレイヤーの仲間入り

星月 ライド
ファンタジー
親友の勧めで遊び、マイペースに進めていたら何故かトッププレイヤーになっていた!? ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 注意事項 ※主人公リアルチート 暴力・流血表現 VRMMO 一応ファンタジー もふもふにご注意ください。

VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~

オイシイオコメ
SF
 75歳のおじいさん「ひろし」は思いもよらず、人気VRゲームの世界に足を踏み入れた。おすすめされた種族や職業はまったく理解できず「無職」を選び、さらに操作ミスで物理攻撃力に全振りしたおじいさんはVR世界で出会った仲間たちと大冒険を繰り広げる。  この作品は、小説家になろう様とカクヨム様に2021年執筆した「VRおじいちゃん」と「VRおばあちゃん」を統合した作品です。  前作品は同僚や友人の意見も取り入れて書いておりましたが、今回は自分の意向のみで修正させていただいたリニューアル作品です。  (小説中のダッシュ表記につきまして)  作品公開時、一部のスマートフォンで文字化けするとのご報告を頂き、ダッシュ2本のかわりに「ー」を使用しております。

処理中です...