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第百二十四話『飛ぶように走る』

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「いやいや・・・一歩間違えれば・・・鎧がないところ・・・腕に当たったら吹き飛んでるから・・・」
と、ゆっくり地面に手を当てて僕は立ち上がりながら言った。

そう、無敵の防御力を誇るのは『神の鎧 - ゴッドメイル』と『神の脚具 - ゴッドメイル』をまとっている部分だけだった。頭に当たったら一撃だろう。

本当の無敵ではない。

「でもなんとか耐えたね」
と『大龍 - ワイバーン』の攻撃に耐えた僕は微笑んだ。

「よし!あとは、このまま私が、『大龍 - ワイバーン』ちゃんに『騎乗 - ライディング』するだけね!!」
とサラがそう言ってまた走りだした。

いつの間にか、『大龍 - ワイバーン』ちゃん呼ばわりだった。そのうちワイちゃんと呼び出すのではないだろうか。ワイちゃんだとなんとなく関西人みたいだが。サラならありえる・・・。

「確かに、今がチャンスかもしれない」
と、僕は立ち上がりながら言った。

今『大龍 - ワイバーン』は、僕を見て不思議そうな顔をしている。
実際には、ずっと怖い表情をしているので、顔色でわかったわけじゃなくて、振る舞いでそう感じた。

じっとこちらを見ている。

それはそうだろう。
だいたいの敵を一撃で倒すことが出来る攻撃力を持つ、『大龍 - ワイバーン』の攻撃を受けてケロッとしている人なんていない。

たぶん僕以外には!

「それにしても、ワイバーンの攻撃が『0』とは、「神衣 - カムイ」シリーズむちゃくちゃだな・・・」
「むちゃくちゃなのは、ジュンのくじ運だね」
と僕の声を走りながら聞くことが出来た、サラが笑った。

「確かに!」
と、僕は笑った。

「でも、それもジュンの力なんだよ!」
とサラは微笑んだ。

「うん、与えられた武器で楽しむ、だね」
と、サラの言葉を思い出した。

運動経験者っぽい、なかなか素敵な価値観だと思う。
そして、相変わらず、サラは楽しんでいる。
走りながらサラがスキルを発動した。

『雷迅 - ライトニング』
とサラが叫ぶ。

バチバチバチィィィィィと、サラは電撃を纏う。

『格闘家の籠手』に付いているスキルの方ではなく、『格闘家の靴』の方についてるスキル『雷迅 - ライトニング』を発動し、足に電撃を纏った。

「よっ!よっ!よっ!」
と言いながら、足に電撃を纏ったサラは、その力を利用して、地面を蹴る。

地面を蹴る瞬間に、電撃の出力を上げて、その反力を利用して、大きく、トンッ、トンッと走る。
それはもはや『飛ぶ』に近い走りだ。
羽がついていたら、浮いているのではないか。

そう、こちらもまた、通常ではありえない速度で、走っていた。そうしてサラは『大龍 - ワイバーン』反対に回りこんだ。

「いっくぞー!!」
とサラは言って、『雷迅 - ライトニング』で大きくジャンプして『大龍 - ワイバーン』の背中に跳びかかった!!

それに気がついた『大龍 - ワイバーン』が「グオオオオォォォ」とが吠えた。
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