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第89話 ピザとコーラ
しおりを挟む「これで、全員見つけることができました!」
高崎くんが言った。
僕らは研究室に戻ってきていた。
留守番していた大和くんにもそのことを報告していた。
「いやー、うまく行ってよかったね」
僕は言う。めちゃくちゃ怖かったが、僕らのソフトウェアが働いて、逃げていた五人の脱走犯全てを捕らえることができた。大きな成果と言えるだろう。
「やりましたね。ちゃんと動いてよかったです!」
大和くんが言う。
そう、彼が作った、歩容認証システムがうまく働いて、整形していた犯人を探し出すことに成功した。
「大和さん凄かったんだね!」
ヒカルちゃんのテンションが上がる。
そう、今まで作ったことのないソフトウェアがこれだけ綺麗に動いたということがまずすごかった。
「うん、ヒカルちゃんがうまく抽出してくれたからですね」
大和くんが言う。
そう、その手前でヒカルちゃんが人物だけを抽出していたので、大和くんはその作業に集中することができた。
「これだけいい成果がでたら、あとは論文書くだけだね」
僕は言う。大和くんとヒカルちゃんに言った。
共著で面白いものがかけると思う。
論文的にも大きな成果を出して欲しい。
「あ、そうだった!書いてみたい!」
ヒカルちゃんが言う。
彼女は論文にも興味があるようだった。
父親である佐々木がたくさん書いて大きな成果を出しているからと言う面も多分にあるだろう。
「うん、書き方教えるよ」
大和くんが言う。
彼も色々賞をとり始めているから彼に聞けるならヒカルちゃんの大きな力となる。やはり実際に実績のある人からアドバイスがもらえるというのは大きい。
「やったね!」
ヒカルちゃんが喜ぶ。
彼女は向上心の塊だ。チャンスは逃さないし、しっかりと楽しんでいる。この姿勢が本当に大事でこれこそが彼女の天才性を担保していると言っていい。
「これでだいたい終わったかな」
僕は言う。
大きく伸びをして整理する。
僕たちにできることはだいたいやったはずだ。大和くんはしばらく寝ていないだろうし、僕もだいぶ頑張った。
「そうですね!今回脱走事件は先生たちの尽力により解決しました!」
高崎くんが言う。
一旦一件落着と言うことで良さそうだった。
長い戦いだったけれども、しっかりとした成果が出てよかった。
「よかったよかった!」
僕が言う。
「じゃあ、飲みに行きますか!」
高崎くんが言う。
「え?そういうのあるの?」
僕が聞く。
「ありますよ!!いくらでも付き合いますよ!!」
高崎くんが言う。彼女は体育会系だし、めちゃくちゃ酒に強いことが予測された。イベントごとにきっちりと打ち上がるのも大事なんだろうな体育会系では、と思った。
「うーん、それはそれは」
僕は言う。そんな酒に強いであろう若者に付き合えるはずがないことはわかっていたので、なんとかかわす方法を考えた。
「中学生もいるし、ピザとコーラがいいな」
僕は言った。
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