ビッグデータ探偵

なかの

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第35話 事件?

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「そもそもこれって事件なの?」
僕がそもそも論を高崎くんに聞いた。
警察に置いての事件の定義がわからない。
動いているもの全てが事件であるわけではないと思ったからだ。

「はい。正確にいうとまだ相談段階です。きらりさんから突然人に腕を掴まれたというところから始まっています。相田きらりさんが正式に被害届を出せば事件として成立します」
高崎くんが丁寧に説明してくれる。そうそもそも僕らは単純な警察の仕事とは違う、少し浮いた状態だ。事件にならないものも調べ、今後の捜査に活かせるかどうかを調べるのにも時間が使える。

「なるほどね。どうするきらりちゃん」
僕はきらりちゃんに聞いた。
始まりは彼女からの相談だが、まだ事件になっていない状態のようだった。このタイミングで今の彼女の意思を確認する必要がある。

「どうするもなにも、佐々木先生の娘さんなら届けを出す理由がありません。誤解を生んでしまった。私にも原因がありますので」
きらりちゃんはそう説明した。最初はもっと自分のファンのストーカーだと思っていたのだから、前提がここまで異なればそういうことになるようだった。

「よし、解決!」
僕が言う。

「え、解決ですか??」
高崎くんが驚く。
彼女はそもそもは純粋な警察官なので、そう思うようだった。

「後は佐々木家の問題でしょ。次から起きないように話し合ってもらえばいいんじゃない」
僕は佐々木の方を見ながらそう言った。
そうこれは彼の家族の問題。
嫁と娘ときちんと話し合ってもらえれば済む問題だ。
たまたま僕らが調べてそこに立ち会ってしまったので少しややこしくなってしまったけれども。

「確かに」
高崎くんが引き下がる。

「我々にも警察にもできることはもうやったでしょ」
僕はそう言う。そう多分ここにいる全員が自分の仕事をしっかりとこなした。その結果特に誰も傷つかなさそうならそれで良いと思う。

「わかった、きちんと話し合っておく」
佐々木が言う。迷惑をかけた事実を受け止めどうすればいいのかしっかり考えているのだろう。ここからは彼に任せて置けばいい。

「頼むよ。うまく落とし所が決まったらうちの研究室に入れるようにしておくよ。共同研究とかやる方法ある気がするな、調べておくよ」
僕は佐々木にそう言った。僕にとってはこっちの方が大事な問題だ。才能のある人間がそれを活かせる場にいないのは人類にとって損失だ。

佐々木の方を見ると、あとは大丈夫と言っていた。

「それは助かる。さて、僕らは帰るかな。ヒカルちゃん送って帰ったほうがいい?」
僕が佐々木に言った。僕らは車できているから、ついでに送ることもできる。

「いや、大丈夫だ。迷惑かけたな」
佐々木はそう言った。

「いや、全然迷惑じゃない。これが仕事だからね。やり方わかったしね。むしろありがたいぐらいだ」
僕は佐々木に答える。そう調査の仕方もだいたいわかってきた、知り合いで楽だったとも言える。

「ご迷惑かけました」
きらりちゃんが深々と頭を下げてそう言った。

「うん、嘘は良くないね。コンピュータに嘘をつくのは難しいよ」
僕は言った。
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