ビッグデータ探偵

なかの

文字の大きさ
上 下
34 / 100

第34話 院生のスキル

しおりを挟む
「え?いいの?佐鳥先生も大好き!」
ヒカルちゃんのテンションが上がる。
僕の事を好きと言ってくれていた。
昔遊んでいた時のことを思い出す。

「え?そうなんですか?」
高崎くんが驚いてこちらを見ている。
こどもと遊ぶようには見えないですよ、と言う顔でこちらを見ている。

「昔よく遊んだからね。奥さんも知り合いだし」
僕は答えた。そう、僕も佐々木もその奥さんも古くからの知り合いだ。佐々木が離婚してしまってからしばらくヒカルちゃんには会っていなかったが、小さいころはよく遊んでいた。

「それはマジでお願いしたいな。ヒカルのそのスキルセットならうちより佐鳥のところの方がバリュー出そうだ」
佐々木が僕に真剣な表情を向けて説明した。
ヒカルちゃんのスキルの方向性を理解した上でうちの研究内容も考えてそう言ったのだろう。

「そう思ってたところだ。うちに来たらサーバも好きなだけ使っていいし、論文も書いたらいいよ」
僕が言う。明らかに彼女のスキルとうちの研究室の状態の相性がいい。うちはビッグデータを使った研究をするには最高の場所だ、色々便宜が図られている。

「え?そんなことできるんですか?」
高崎くんが驚いている。
彼女が驚いている理由は色々あると思うが、一番気になっているであろう中学生にそう言う事ができるのかに付いてまず答える。

「出来る出来る。そもそもこれだけでも論文出せるよ。ある程度賞も取れるんじゃないか?」
僕は軽く答えた。
そう彼女のスキルはもう間違いなく院生レベルだ。今までにないこの世の問題の解決方法を提案するところまでいっている。学部生でこれができている人はいないだろう。

「え?そんな凄いんですか」
高崎くんは驚く。彼女はエンジニアや工学部の院生ではないから、ヒカルちゃんのスキルがどういったものなのか想像するのは難しい。

「すごいです。私にはできないです」
きらりちゃんが答える。彼女は工学部の院生だから、その差がわかるようにわかり安くいってくれたのだろう。一般の院生と比べた時、彼女のスキルもそんなに低くはない。

「まあ、必要なスキルがメディアアートとはまた違うからね。それはそれで難しいんだ。ただの相性の問題」
僕が説明する。この辺りのことは中にいないとなかなかわかりづらいとは思うけど、彼女だって天下の佐々木研究室のメンバーだ、日本を代表するスキルがあるといっていいだろう。

「え?でもこの事件はどうするんですか?」
高崎くんがもう一つの疑問を口にする。
そう、そういえばこれがあったのだ。
僕としてはそんなに大事な話ではないので、軽くスルーしたいところだったが。

「そういえばそうだった、忘れてた」
僕はとぼけてみた。

「忘れちゃダメですよ!」
高崎くんに怒られた。

「事件を解決するのは僕の仕事じゃないからねぇ」
僕は正直に思っていることを口に出した。

「先生!」
高崎くんにまた怒られた。

「さて、どうするかな」
僕は呟いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

綾町奈々子はいかにして毒島奇麗を落としたか?

奥野とびら
ミステリー
ドジっ娘新人編集者の綾町奈々子が自分が担当する高飛車な美人作家・毒島綺麗に恋をして、やがては結ばれる物語です。ミステリです。

名前を書くとお漏らしさせることが出来るノートを拾ったのでイジメてくる女子に復讐します。ついでにアイドルとかも漏らさせてやりたい放題します

カルラ アンジェリ
ファンタジー
平凡な高校生暁 大地は陰キャな性格も手伝って女子からイジメられていた。 そんな毎日に鬱憤が溜まっていたが相手が女子では暴力でやり返すことも出来ず苦しんでいた大地はある日一冊のノートを拾う。 それはお漏らしノートという物でこれに名前を書くと対象を自在にお漏らしさせることが出来るというのだ。 これを使い主人公はいじめっ子女子たちに復讐を開始する。 更にそれがきっかけで元からあったお漏らしフェチの素養は高まりアイドルも漏らさせていきやりたい放題することに。 ネット上ではこの怪事件が何らかの超常現象の力と話題になりそれを失禁王から略してシンと呼び一部から奉られることになる。 しかしその変態行為を許さない美少女名探偵が現れシンの正体を暴くことを誓い…… これはそんな一人の変態男と美少女名探偵の頭脳戦とお漏らしを楽しむ物語。

🌟真理の扉

鏡子 (きょうこ)
エッセイ・ノンフィクション
2022年10月 真理の扉を閉じました。 前世に誘われ、様々な霊体験を通して、現存するダ・ヴィンチやフェルメール絵画に導かれながら、様々な謎解きをします。 実体験をベースにしていますが、 ジャンルは、フィクションでもなく、ノンフィクションでもありません。 過去世の記憶は、科学的には証明されるものではないし、曖昧です。 この話が、真実か真実でないかの判断は、読者の感性に委ねます。 絵画を鑑賞するように、含みを持たせ奥行きを感じる、読者の方に向けて、そんなストーリーを作り上げれたらと思っています。 2009年秋頃より、GREEの日記内で私小説を書いていましたが、執筆途中で退会した為、続きが書けていませんでした。 この場所で、完結出来ることを希望します。 ◆ 私が、投稿する文書は、別サイトからの転載が多くなっております。勿論、転載元のURLを張り付けて、著作権違反がないよう気を付けていますが、それでも、苦情等、何かあるようであれば、即、削除致しますので、なにぶんよろしくお願い致します。 2021.02.12 一旦完結

タイは若いうちに行け

フロイライン
BL
修学旅行でタイを訪れた高校生の酒井翔太は、信じられないような災難に巻き込まれ、絶望の淵に叩き落とされる…

10秒で読めるちょっと怖い話。

絢郷水沙
ホラー
 ほんのりと不条理なギャグが香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)

【完結】真実の行方 悠々自適なマイライフを掴むまで

との
恋愛
結婚記念日に、義妹を連れて夫が帰ってきた。数ヶ月ぶりの帰還だと言うのに、やりたい放題の二人に呆れ顔の主人公アイラ。 近々離婚しようと思っていたのに、夫にとある疑惑が判明。離婚は一時停止する事に。 良い領主になろうと、仕事人間に徹していた主人公が、ちょっとしたキッカケから、猪突猛進。周りのハラハラを他所目に、真相究明に突き進みます。 「嘘じゃありません。あれはハッタリですの」 「俺いつか絶対禿げる」 ーーーーーーーーーー 全89話、完結。 “人気の完結” リストに載せていただいています。 ありがとうございます。 所々、胸糞表現や悪辣な表現があります。 設定他かなりゆるいです。 ご理解いただけますようお願いいたします。

人狼ゲーム『Selfishly -エリカの礎-』

半沢柚々
ミステリー
「誰が……誰が人狼なんだよ!?」 「用心棒の人、頼む、今晩は俺を守ってくれ」 「違う! うちは村人だよ!!」  『汝は人狼なりや?』  ――――Are You a Werewolf?  ――――ゲームスタート 「あたしはね、商品だったのよ? この顔も、髪も、体も。……でもね、心は、売らない」 「…………人狼として、処刑する」  人気上昇の人狼ゲームをモチーフにしたデスゲーム。  全会話形式で進行します。  この作品は『村人』視点で読者様も一緒に推理できるような公正になっております。同時進行で『人狼』視点の物も書いているので、完結したら『暴露モード』と言う形で公開します。プロット的にはかなり違う物語になる予定です。 ▼この作品は【自サイト】、【小説家になろう】、【ハーメルン】、【comico】にて多重投稿されております。

処理中です...