3 / 100
第3話 地下アイドルの学歴
しおりを挟む
そして、僕らは、車に乗った。現場に向う。
「そして全く、話が進んでないね」
と僕は思い出す。
今回の事件のあらすじを聞こうとしていたはずだったが、理系のコミュニケーション能力の話になっていたのだった。
「今回の事件は何だったんだっけ」
と、僕は無理やり話を戻した。
「ああ、はいはい、そうでした。って最初に説明してるんですけどね!仕方がないからもう一回やってあげます!」
と片目をつぶった。
可愛かったけど運転中だからやめてね。僕は思った。
大変可愛らしかったけども。
そう、この車は僕ではなく、彼女、高崎菜々が運転している。
そういうようなことは、彼女に任せるように、上司から言われている。
「今回の事件はストーカー事件ですね。秋葉原の地下アイドルが、ストーカーに暴行された事件です。まぁ暴行と言っても、手を握られたくらいのものなのですが、ちょっと、ストーカーの域に達しているので、なんとかしたいとのことです」
「なるほど、特殊な手法を使っているんじゃないか、というところで僕のところにきたのか」
そう、僕たちの仕事は、事件の規模ではなく、その方法を解明することにある。
犯人を探すことなどは、そんなにメインではない。
僕達の仕事の結果、犯人が見つかることはもちろんあるけれども。
「はい、そうです。地味な事件で申し訳ないですが」
と、高崎くんは残念そうに言った。
警察感というのは派手な事件が好きらしい。
「君の言う、派手な事件って、殺人事件とかのことだろ?」
と僕は言う。
そう、派手な事件というのは、社会的影響の高い事件だ。
「僕は一般人だから、そういうのはちょっとなぁ・・・血とか見たくないよ」
と僕は言う。
「先生はだらしないなぁ」
と、高崎くんは笑っていた。
「だらしなくていいよ、できるだけR18の映像は僕にみせないでくれよ・・・」
と僕は言った。
ほんとにお願いしたい。
なんだったら、数字のデータだけ見ていたいけど・・・。
「ああ、今流行の人の死なないミステリーですか」
と彼女は言った。
彼女は体育会系だが本も読むようだった。
そういえば文学部だったかな。
「そうそう。そういうのが良いよ」
と僕が言う。
あまり人が死なないミステリーは読んだことがないけど、昔のバンバン人が死ぬミステリーよりは良いだろう。
「ははは、そういうのだけだといいですね」
と、彼女は乾いた笑いで返事をした。
「それでなんだっけ?地下アイドルのストーカー?だっけ?」
「そうです!そして、その方法はさっき先生が教えてくれました」
「ああ、目に現在地を知る手がかりがあったというやつだね」
「そうですそうです。犯人は地下アイドルのブログを見て、本人がいる場所を特定して待ち構えていたのです」
「ああ、で、今回はとりあえず向かってみるってわけだね」
「はい、そうです。」
というやり取りをしていると、車の動きが緩やかになった。
ゴールに近づいたのだろう。
「そして、つきました。ここが、彼女の目に移っていた場所です」
と彼女が言った。もちろん僕も良く知っている場所だ。
「私達の母校の『日本で一番いい大学』です。」
そういうわけだった。
今時の地下アイドルは学歴もすごいらしい。
「そして全く、話が進んでないね」
と僕は思い出す。
今回の事件のあらすじを聞こうとしていたはずだったが、理系のコミュニケーション能力の話になっていたのだった。
「今回の事件は何だったんだっけ」
と、僕は無理やり話を戻した。
「ああ、はいはい、そうでした。って最初に説明してるんですけどね!仕方がないからもう一回やってあげます!」
と片目をつぶった。
可愛かったけど運転中だからやめてね。僕は思った。
大変可愛らしかったけども。
そう、この車は僕ではなく、彼女、高崎菜々が運転している。
そういうようなことは、彼女に任せるように、上司から言われている。
「今回の事件はストーカー事件ですね。秋葉原の地下アイドルが、ストーカーに暴行された事件です。まぁ暴行と言っても、手を握られたくらいのものなのですが、ちょっと、ストーカーの域に達しているので、なんとかしたいとのことです」
「なるほど、特殊な手法を使っているんじゃないか、というところで僕のところにきたのか」
そう、僕たちの仕事は、事件の規模ではなく、その方法を解明することにある。
犯人を探すことなどは、そんなにメインではない。
僕達の仕事の結果、犯人が見つかることはもちろんあるけれども。
「はい、そうです。地味な事件で申し訳ないですが」
と、高崎くんは残念そうに言った。
警察感というのは派手な事件が好きらしい。
「君の言う、派手な事件って、殺人事件とかのことだろ?」
と僕は言う。
そう、派手な事件というのは、社会的影響の高い事件だ。
「僕は一般人だから、そういうのはちょっとなぁ・・・血とか見たくないよ」
と僕は言う。
「先生はだらしないなぁ」
と、高崎くんは笑っていた。
「だらしなくていいよ、できるだけR18の映像は僕にみせないでくれよ・・・」
と僕は言った。
ほんとにお願いしたい。
なんだったら、数字のデータだけ見ていたいけど・・・。
「ああ、今流行の人の死なないミステリーですか」
と彼女は言った。
彼女は体育会系だが本も読むようだった。
そういえば文学部だったかな。
「そうそう。そういうのが良いよ」
と僕が言う。
あまり人が死なないミステリーは読んだことがないけど、昔のバンバン人が死ぬミステリーよりは良いだろう。
「ははは、そういうのだけだといいですね」
と、彼女は乾いた笑いで返事をした。
「それでなんだっけ?地下アイドルのストーカー?だっけ?」
「そうです!そして、その方法はさっき先生が教えてくれました」
「ああ、目に現在地を知る手がかりがあったというやつだね」
「そうですそうです。犯人は地下アイドルのブログを見て、本人がいる場所を特定して待ち構えていたのです」
「ああ、で、今回はとりあえず向かってみるってわけだね」
「はい、そうです。」
というやり取りをしていると、車の動きが緩やかになった。
ゴールに近づいたのだろう。
「そして、つきました。ここが、彼女の目に移っていた場所です」
と彼女が言った。もちろん僕も良く知っている場所だ。
「私達の母校の『日本で一番いい大学』です。」
そういうわけだった。
今時の地下アイドルは学歴もすごいらしい。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
最後の一行を考えながら読むと十倍おもしろい140文字ほどの話(まばたきノベル)
坂本 光陽
ミステリー
まばたきをしないうちに読み終えられるかも。そんな短すぎる小説をまとめました。どうぞ、お気軽に御覧ください。ラスト一行のカタルシス。ラスト一行のドンデン返し。ラスト一行で明かされる真実。一話140字以内なので、別名「ツイッター小説」。ショートショートよりも短いミニミニ小説を公開します。ホラー・ミステリー小説大賞に参加しておりますので、どうぞ、よろしくお願いします。
【完結】アリスゲーム
百崎千鶴
ミステリー
(🌸約10年前に書いた作品のリメイク版です)
記憶を失った主人公・アリスが目を覚ますと、見知らぬウサギが立っていた。
初めてやって来たはずの世界で住民達は「おかえり」と出迎え、「大好き」だと言いながら自身の命を狙う住民達にアリスは恐怖する。
「私は、殺してほしいだなんて願ったことは一度もないわ!」
――……少女は嘘をついていた。
元の世界へ帰るためには『ジョーカー』を探すしかないとウサギが急かし、君を待っていたと花は笑う。
狂っているとしか思えない世界の裏側とアリスの過去には、悲しい『真実』が隠されていた。
「アリスのこと、すき?」
「もちろん大好きだよ」
「それじゃあ……アリスを、ころしてくれる?」
「……うん、いいよ」
この狂ったゲームを始めたのは、他の誰でもない……アリス自身である。
「さあ、アリス。ジョーカー探しを始めよう」
この国では、誰も信じてはいけない。
血に塗れた真実が明かされた時、アリスは大きな決断を迫られる。
An endless & sweet dream 醒めない夢 2024年5月見直し完了 5/19
設樂理沙
ライト文芸
息をするように嘘をつき・・って言葉があるけれど
息をするように浮気を繰り返す夫を持つ果歩。
そしてそんな夫なのに、なかなか見限ることが出来ず
グルグル苦しむ妻。
いつか果歩の望むような理想の家庭を作ることが
できるでしょうか?!
-------------------------------------
加筆修正版として再up
2022年7月7日より不定期更新していきます。
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―
鬼霧宗作
ミステリー
窓辺野コトリは、窓辺野不動産の社長令嬢である。誰もが羨む悠々自適な生活を送っていた彼女には、ちょっとだけ――ほんのちょっとだけ、人がドン引きしてしまうような趣味があった。
事故物件に異常なほどの執着――いや、愛着をみせること。むしろ、性的興奮さえ抱いているのかもしれない。
不動産会社の令嬢という立場を利用して、事故物件を転々とする彼女は、いつしか【ロンダリングプリンセス】と呼ばれるようになり――。
これは、事故物件を心から愛する、ちょっとだけ趣味の歪んだ御令嬢と、それを取り巻く個性豊かな面々の物語。
※本作品は他作品【猫屋敷古物商店の事件台帳】の精神的続編となります。本作から読んでいただいても問題ありませんが、前作からお読みいただくとなおお楽しみいただけるかと思います。
記憶さがし
ふじしろふみ
ミステリー
(長編・第3作目)
見知らぬ屋敷で、失った記憶を探す物語。
目が覚めると、記憶を失っていた———。
記憶喪失状態の関口が目覚めたその場所は、見知らぬ屋敷だった。
背負ったリュックサックに入っていた封筒より、自分が「九月二十日に起きたこと」を思い出すため、『記憶さがし』をしていることを知る。
一人記憶の散策を始める関口だったが、「息子の死の原因が自分にあること」「複数の女性と関係があること」「包丁で刺されたこと」「数ヶ月前に同僚が殺害されていること」等、身に覚えのない記憶達が彼を翻弄する。
さらには謎の怪物が現れ、訳もわからぬうちに襲われる。
いったいここはどこなのか?
なぜ、記憶探しをしているのか?
そして九月二十日に起きたこととは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる