73 / 100
第七十三話『地味で最強』
しおりを挟む
油断していたわけじゃないんだけどなー。
エキドナは特に派手なバトルの伝説があるわけじゃないけど
普通に強いということが分かった。
「二回戦開始といきますか!!」
と、僕は走りだした。キョウちゃんに腕の治療をしてもらい、全快とはいかないまでも、大分楽になっていた。十分戦えるレベルまで回復したといえる。
走ってエキドナに近づくと、カナデが空中に浮くエキドナの、下半身のヘビと戦っている。空中に浮くエキドナにはなかなか、攻撃が当たらず、ヘビの攻撃は、カナデが剣で弾く。
つまり、どちらも、決定的なダメージを与えられないでいる状況が続いている。
「なかなか、致命傷を与えられない感じなんだよなー」
と、僕が呟く。エキドナの『今までの暴力的なボス』とはまったく違う戦いに戸惑っているともいえる。
「めちゃくちゃな火力とか、そういうのがあるわけじゃないんだけど、いままでの暴力系ボスと違って、かなり知能があって、攻撃を当てられない」
そう、分析した。
いままでの敵は、最高の攻撃力とか、不死身の肉体とか、シンプルな暴力的な戦い方に特化したものが多かったので、正直分かりやすかったといえる。
エキドナはかなり違う。
「目の動きを見ていると、四人の動きを一定のタイミングで確認しているんだよなー」
と、僕はエキドナの目の動きを追っていた。
エキドナはカナデと闘いながら定期的に、僕、キョウちゃん、ヒビキさんの四人を目で追っている。
そして、それは正しい。
キョウちゃんと、ヒビキさんは遠隔支援タイプなので、隙があったら、遠隔攻撃を仕掛ける、常にその準備をしている。
いまは、迂闊に攻撃すると、カナデにあたってしまうので、その機会を伺っている。
エキドナはそもそも、それすらわかっているようだ
「常に、カナデを挟むように位置とっている」と僕。
「そうなのよねぇ」とヒビキさんが僕の仮説に答える。
「おかげで、ずっと手が出せないでいるのよね」とヒビキさんは続ける。
「それがエキドナの知能のようですね」と僕が言う。
「まるで、凄腕のFPSプレイヤーのようだ」
と、ゲームを思い浮かべる。
「翼の機動力と、ヘビの攻撃で、隙を見つけるとがぶりといく感じ」
厄介な攻撃方法。
「つまり、地味に強い。」
エキドナの強さを実感していた。地味こそ最強かもしれない。
「そして、さっきから気になってたんだけど!!」
と僕がみんなに言う。
「魔王がいない!」
そう、一緒にお茶を飲んでいた、ハーデスちゃんがいなくなっているのだ!!
「あ、ほんとだ!」とカナデ。
「うん」
とキョウちゃんが頷く。彼女も気がついていたようだ。
「出口は通ってない」
キョウちゃんが言う。
出入りをしっかり確認していたのだろう。
「やっぱりそうか」
と、僕がキョウちゃんの言葉を受けて納得する。
「つまり、この階にいるはずなのに、見当たらない!!」
魔王の姿は消え。
依然エキドナは無傷のまま。
戦いは続いている。
「このままだジリジリやられる、魔王も気になる」
そう言って力を込める。
『覇竜の宝石』が光り出す。
僕の体が光に包まれる。
「出し惜しみしないで!総攻撃しよう!」
剣を構え、超常の力を身にまとい、僕は、エキドナに向かっていった。
エキドナは特に派手なバトルの伝説があるわけじゃないけど
普通に強いということが分かった。
「二回戦開始といきますか!!」
と、僕は走りだした。キョウちゃんに腕の治療をしてもらい、全快とはいかないまでも、大分楽になっていた。十分戦えるレベルまで回復したといえる。
走ってエキドナに近づくと、カナデが空中に浮くエキドナの、下半身のヘビと戦っている。空中に浮くエキドナにはなかなか、攻撃が当たらず、ヘビの攻撃は、カナデが剣で弾く。
つまり、どちらも、決定的なダメージを与えられないでいる状況が続いている。
「なかなか、致命傷を与えられない感じなんだよなー」
と、僕が呟く。エキドナの『今までの暴力的なボス』とはまったく違う戦いに戸惑っているともいえる。
「めちゃくちゃな火力とか、そういうのがあるわけじゃないんだけど、いままでの暴力系ボスと違って、かなり知能があって、攻撃を当てられない」
そう、分析した。
いままでの敵は、最高の攻撃力とか、不死身の肉体とか、シンプルな暴力的な戦い方に特化したものが多かったので、正直分かりやすかったといえる。
エキドナはかなり違う。
「目の動きを見ていると、四人の動きを一定のタイミングで確認しているんだよなー」
と、僕はエキドナの目の動きを追っていた。
エキドナはカナデと闘いながら定期的に、僕、キョウちゃん、ヒビキさんの四人を目で追っている。
そして、それは正しい。
キョウちゃんと、ヒビキさんは遠隔支援タイプなので、隙があったら、遠隔攻撃を仕掛ける、常にその準備をしている。
いまは、迂闊に攻撃すると、カナデにあたってしまうので、その機会を伺っている。
エキドナはそもそも、それすらわかっているようだ
「常に、カナデを挟むように位置とっている」と僕。
「そうなのよねぇ」とヒビキさんが僕の仮説に答える。
「おかげで、ずっと手が出せないでいるのよね」とヒビキさんは続ける。
「それがエキドナの知能のようですね」と僕が言う。
「まるで、凄腕のFPSプレイヤーのようだ」
と、ゲームを思い浮かべる。
「翼の機動力と、ヘビの攻撃で、隙を見つけるとがぶりといく感じ」
厄介な攻撃方法。
「つまり、地味に強い。」
エキドナの強さを実感していた。地味こそ最強かもしれない。
「そして、さっきから気になってたんだけど!!」
と僕がみんなに言う。
「魔王がいない!」
そう、一緒にお茶を飲んでいた、ハーデスちゃんがいなくなっているのだ!!
「あ、ほんとだ!」とカナデ。
「うん」
とキョウちゃんが頷く。彼女も気がついていたようだ。
「出口は通ってない」
キョウちゃんが言う。
出入りをしっかり確認していたのだろう。
「やっぱりそうか」
と、僕がキョウちゃんの言葉を受けて納得する。
「つまり、この階にいるはずなのに、見当たらない!!」
魔王の姿は消え。
依然エキドナは無傷のまま。
戦いは続いている。
「このままだジリジリやられる、魔王も気になる」
そう言って力を込める。
『覇竜の宝石』が光り出す。
僕の体が光に包まれる。
「出し惜しみしないで!総攻撃しよう!」
剣を構え、超常の力を身にまとい、僕は、エキドナに向かっていった。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。
何とか言ったらどうなんだ!
杜野秋人
ファンタジー
「そなたとの婚約を、今この場で破棄する!」
王妃陛下主催の夜会の会場にて、王子は婚約してわずか3ヶ月の婚約者に婚約破棄を通告した。
理由は『婚約者たる王子に対して無視を続け愚弄した』こと。
それに対して婚約者である公爵家令嬢は冷静に反論するも、王子にその『言葉』は全く届かない。
それもそのはず。令嬢は王子の思いもよらぬ方法で語りかけ続けていたのだから⸺。
◆例によって思いつきでサクッと書いたため詳細な設定はありません。主人公以外の固有名詞も出ません。
比較的ありがちなすれ違いの物語。ただし、ちょっと他作品では見ない切り口の作品になっています。
◆仕様上選択しなくてはならないし女性主人公なので「女性向け」としていますが、本来は性別問わず広く問われるべき問題です。男女問わず読んで頂き向き合って下さればと思います。
◆話の都合上、差別的な表現がありR15指定しております。人によってはかなり不快に感じるかと思いますので、ご注意願います。
なお作者およびこの作品には差別を助長する意図はございませんし、それを容認するつもりもありません。
◆無知と無理解がゆえにやらかしてしまう事は、比較的誰にでも起こり得る事だと思います。他人事ではなく、私(作者)も皆さん(読者)も気をつけましょうね、という教訓めいたお話です。
とはいえ押し付ける気はありません。あくまでも個々人がどう考えどう動くか、それ次第でしかないと思います。
◆なろう版で指摘頂いたので恋愛ジャンルからファンタジージャンルに変更します。恋愛ものと思って読んで下さった皆さまごめんなさい。
◆この話も例によって小説家になろうでも公開致します。あちらは短編で一気読み。
◆なろう版にて多くの感想を頂いています。
その中で「声が出せない以外は健康で優秀」という設定に違和感があるとご指摘を頂きました。確かに障碍というものは単独で発現するものではないですし、そのあたり作品化するにあたって調べが足りていなかった作者の無知によるものです。
ですので大変申し訳ありませんが、現実世界ではない「魔術もある異世界」の話ということで、ひとつご容赦願えればと思います。誠に申し訳ありません。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる