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後宮に繋がれし王子と新たな妃
6 暴漢2
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「はな……っ」
離してと言いかけた口は、大きな手に塞がれて声にならなかった。あっという間の出来事で、手を避けることも逃げ出すこともできなかった。
知らない人は僕にとって不安の対象でしかない。しかも見慣れない真っ黒な軍服姿の人たちだ。慌てて部屋に戻ろうとしたけれど、一人に腕を掴まれ、声を出そうとしたら別の軍人に口を塞がれ、さらにもう一人に腰を掴まれて動けなくなった。
(この人たちは、誰なんだろう)
僕はいま、四阿に敷かれた植物製の敷物の上に体を押さえつけられている。僕を見下ろしている軍人の向こう側には、いま起きていることが現実なのか夢なのかわからなくなるくらい綺麗な青空が広がっていた。
「思った以上の上玉だぞ」
「あの軍帝が囲っているぐらいだ、よっぽどの奴だろうと思っていたが……。こりゃあ、こっちが金を積んででもやりたくなるような上玉だな」
何の話をしているのだろう。“じょうだま”というのは、もしかして僕のことだろうか。金を積んでという意味もわからない。
「もうここでヤッちまってもいいんじゃねぇか? 誰も来ないようにしてあるんなら、どこでヤッても同じだろ」
「滅んだ国の王子とは言え王子様だ、青姦なんてしたことねぇだろうなぁ。興奮してすげぇ乱れるかもしれねぇな」
「わからねぇぞ? あの軍帝のことだから、とっくに後宮のあちこちで経験済みって可能性もある」
「ははっ、違いねぇ!」
「もとは俺たちと同じ平民出身の軍人様だからな。青姦も拷問性交も調教もお手のものだろうよ」
耳障りな笑い声が聞こえる。僕を抑えつけている男たちが、笑いながら乱暴な手つきで上着をめくり上げた。
(あぁ、あのときと同じだ)
塔で衛兵に襲われたときとそっくりだと思った。あのときは衛兵一人か、従僕がいても見ているだけだった。いま僕を抑えつけているのは三人の軍人だけれど、ギラギラした目はあの人たちと変わらない。
軍人の一人が上着の下のシャツを破くように引っ張った。首が引っ張られて痛かったけれど、痛みを感じた直後に肌に触れられて気持ち悪さが上回る。
(あのときと、全部同じだ)
あのときもギラギラした目で見られた。同じようなギラギラした三人の目が僕を見下ろし、そうして胸やお腹を撫で回している。身をよじろうとしても、すぐに押さえつけられて動けなくなった。
足を押さえつけていた手がズボンに掛かるのがわかった。そうして下着ごと剥ぎ取るのもあのときと同じだ。
(祖国でも帝国でも同じなんだ)
まるで他人事のようにそう思った。
「こりゃあ、とんでもねぇ上玉だな」
「肌つやと言い白さと言い、そこら辺の高級娼婦よりよっぽど上玉だぞ」
「おいおい、こっちの毛は髪より薄い金色だ。それにやたら初心な色じゃねぇか。こりゃあたまんねぇな」
気がつけば両手を頭上に押さえつけられ、めくり上げられた上着が首に巻きついて少し苦しかった。中に着ていたシャツのボタンは飛んでいき、はだけた上半身はゴツゴツした手に執拗に撫で回されている。
何も身につけていない下半身も似たようなものだった。太ももを撫で回され、萎えたままの前を執拗にいじられた。
(気持ち、悪い)
知らない手の感触が気持ち悪くてたまらない。男たちの荒い息が体のあちこちに触れるだけで吐きそうになる。口を手で塞がれていなければ、ひどい声で叫びながら嘔吐したかもしれない。けれど、それさえも叶わない。
「おい、もういいだろ。早く突っ込ませろよ」
「待てって。ちゃんとほぐさねぇと自分も痛いぞ」
目の前で男が自分の指を舐めている。僕の後ろに入れるための準備だろう。
最後に塔で僕が襲われたときも衛兵が同じことをしていた。あのときは前日に魔石を採取した日だったからか、乱暴に指を入れられても怪我はしなかった。けれど、まったく痛みがないわけじゃない。
そこで僕の記憶は途切れたけれど、今回も入れるところまでは意識があるに違いない。もしかすると、その先も気を失わないかもしれない。だって、ここには僕を守ってくれる兄上様の魔具はないのだ。
(……嫌だ、こんなの、もう嫌だ……)
ギラギラした軍人たちの目に、塔にいたときの恐怖を思い出した。僕を撫で回す手にどんどん恐怖が蘇ってくる。
この男たちも、ただ僕を犯したいだけの獣と一緒だ。僕は昔からそんな人たちを引き寄せてきた。きっと僕が卑しい“魔血”の血筋だからだ。卑しい方法で魔石を生み出す存在だから、こうした獣たちを呼び寄せるに違いない。
(もう、大丈夫だと、思っていたのに)
軍帝に出会って、軍帝に「俺の妃だ」と言われてようやく卑しい自分じゃないと思えるようになった。兄上様に素直に感じていいのだと言われ、魔石を生み出さなくてもいいと言われ、僕は生まれ変わったような気になっていた。
けれど、本当は何も変わっていなかった。やっぱり僕は“魔血”の錆で、とりわけその力を濃く受け継いだ“魔純の御子”だ。魔石を生み出さなくても、こうして延々と卑しい行為を強要されるだけの存在であることは変わりようがない。
「さぁて、まずは一本だな」
「……っ」
男の指が後ろに入ってきた。入れるというよりも突き刺すと表現したほうがいいくらい乱暴な仕草で、ズキッとした痛みが走る。思わず眉を寄せたけれど、そんな僕のことなどお構いなしに、ただ入れる穴だと言わんばかりに乱暴に指を動かし始める。
(こうされるのも、僕が卑しいからだ)
こんなことは嫌なのに、グチグチとぬめった音が聞こえ始めた。嫌で仕方がないのに、怖くてたまらないのに、僕の体は勝手に火照ってしまう。軍帝じゃないとわかっているのに、後ろが勝手に受け入れようとほころぶのがわかった。
(全部、僕が“魔血”で卑しいせいだ)
そうだ、僕はどこにいても“魔血”だ。魔石を生み出さなくても“魔純の御子”であることからは逃れられない。僕はこの先もずっと卑しい僕のままなのだろう。そう思うと心がスッと凍えるような気がした。
段々と何も感じなくなってきた。後ろをいじられる痛みも、これからされるであろう行為への恐怖も何も感じなくなっていく。
(まるで、本当に人形になったみたいだ)
自分が魔石で動く魔具人形になったような気がした。その証拠に、僕を押さえつけている軍人の向こう側に見える青空はいつまで経っても綺麗な空のままだった。涙で滲むことなんてまったくない。口を塞いでいた手はとっくに離れているのに、悲鳴さえ漏れなかった。
グルルルルル。
不意に獣の鳴くような声が聞こえた気がした。後宮のどこかに獣がいるのだろうか。
(……違う、僕の中から聞こえるんだ)
体の深くで獣の唸り声のような響きを感じる。澱んだ魔力が暴れ出そうとしている気配がした。澱みは溜まっていないはずなのに、明らかに膨大な魔力が渦巻くような感覚がする。
(そういえば、前にもこんなことがあったような……)
あれは衛兵に襲われそうになった三度目、いや四度目だっただろうか。ちょうど魔石を採取する直前で、とくに澱みが濃くなっていたときだった。あのときは従僕が手引きをしたようで、老齢の従僕の前で若い衛兵にのし掛かられた。いまと同じように上着を剥ぎ取られ、下半身を裸にされた。
(そして、同じように後ろに指を入れられた)
あのときも痛くてたまらなかった。兄上様とはまったく違う熱と感触に恐怖を感じた。それなのにすぐに熱くなる自分の体が嫌で、そう思うだけで体の底に澱む魔力が膨らむのを感じた。
(そうだ、あのときと同じだ)
違う、あのときだけじゃない。襲われたときはいつも魔力が暴れ出そうとするのを感じていたような気がする。いまと同じように唸り声のようなものも聞こえた。
唸り声が聞こえると、僕はいつも気を失った。そうして目が覚めると傍らには必ず兄上様がいて、つらそうな目で僕を見た。「大丈夫、何もなかったからね」と言う兄上様を見るたびに、己の身一つ守れない自分を情けなく思った。
グルルルルル。
あぁ、また唸り声が聞こえている。あのときもこうして澱みが渦巻き唸るように動いていた。その澱みが段々膨らんでいくのがわかる。そうして真っ黒なそれが大きくて真っ赤な口を開き、僕の中を掻き混ぜている指に……。
「うぎゃあっ」
叫び声とともに後ろに感じていた圧迫感が消えた。
「な、なんだよ、これ……!」
「ひ、ひぃっ! 化け物……!」
また叫び声が聞こえた。それだけじゃなく、何か柔らかなものが潰れるような音も聞こえた。熟した果物がブチュッと潰れるような音がして、果汁のようなものが滴るのを感じる。
「ひぃ……!」
「や、やめろ……!」
耳障りな軍人たちの声と同時に、僕を押さえつけていた重みが消えた。
(一体どうしたんだろう)
こういう声を聞くのは初めてだ。もしかして、後宮にも兄上様の魔具が仕掛けられていて僕を守ってくれたのだろうか。
青空を見ながらそんなことを思っていると、誰かが近づいて来る足音がした。
「俺がもっとも大事にしているものに手ぇ出して、そのくらいで済んだんだ。よかったじゃねぇか」
聞こえて来た声にゆっくりと顔を動かす。そこには、会いたくないけれど一番会いたかった軍帝の姿があった。
離してと言いかけた口は、大きな手に塞がれて声にならなかった。あっという間の出来事で、手を避けることも逃げ出すこともできなかった。
知らない人は僕にとって不安の対象でしかない。しかも見慣れない真っ黒な軍服姿の人たちだ。慌てて部屋に戻ろうとしたけれど、一人に腕を掴まれ、声を出そうとしたら別の軍人に口を塞がれ、さらにもう一人に腰を掴まれて動けなくなった。
(この人たちは、誰なんだろう)
僕はいま、四阿に敷かれた植物製の敷物の上に体を押さえつけられている。僕を見下ろしている軍人の向こう側には、いま起きていることが現実なのか夢なのかわからなくなるくらい綺麗な青空が広がっていた。
「思った以上の上玉だぞ」
「あの軍帝が囲っているぐらいだ、よっぽどの奴だろうと思っていたが……。こりゃあ、こっちが金を積んででもやりたくなるような上玉だな」
何の話をしているのだろう。“じょうだま”というのは、もしかして僕のことだろうか。金を積んでという意味もわからない。
「もうここでヤッちまってもいいんじゃねぇか? 誰も来ないようにしてあるんなら、どこでヤッても同じだろ」
「滅んだ国の王子とは言え王子様だ、青姦なんてしたことねぇだろうなぁ。興奮してすげぇ乱れるかもしれねぇな」
「わからねぇぞ? あの軍帝のことだから、とっくに後宮のあちこちで経験済みって可能性もある」
「ははっ、違いねぇ!」
「もとは俺たちと同じ平民出身の軍人様だからな。青姦も拷問性交も調教もお手のものだろうよ」
耳障りな笑い声が聞こえる。僕を抑えつけている男たちが、笑いながら乱暴な手つきで上着をめくり上げた。
(あぁ、あのときと同じだ)
塔で衛兵に襲われたときとそっくりだと思った。あのときは衛兵一人か、従僕がいても見ているだけだった。いま僕を抑えつけているのは三人の軍人だけれど、ギラギラした目はあの人たちと変わらない。
軍人の一人が上着の下のシャツを破くように引っ張った。首が引っ張られて痛かったけれど、痛みを感じた直後に肌に触れられて気持ち悪さが上回る。
(あのときと、全部同じだ)
あのときもギラギラした目で見られた。同じようなギラギラした三人の目が僕を見下ろし、そうして胸やお腹を撫で回している。身をよじろうとしても、すぐに押さえつけられて動けなくなった。
足を押さえつけていた手がズボンに掛かるのがわかった。そうして下着ごと剥ぎ取るのもあのときと同じだ。
(祖国でも帝国でも同じなんだ)
まるで他人事のようにそう思った。
「こりゃあ、とんでもねぇ上玉だな」
「肌つやと言い白さと言い、そこら辺の高級娼婦よりよっぽど上玉だぞ」
「おいおい、こっちの毛は髪より薄い金色だ。それにやたら初心な色じゃねぇか。こりゃあたまんねぇな」
気がつけば両手を頭上に押さえつけられ、めくり上げられた上着が首に巻きついて少し苦しかった。中に着ていたシャツのボタンは飛んでいき、はだけた上半身はゴツゴツした手に執拗に撫で回されている。
何も身につけていない下半身も似たようなものだった。太ももを撫で回され、萎えたままの前を執拗にいじられた。
(気持ち、悪い)
知らない手の感触が気持ち悪くてたまらない。男たちの荒い息が体のあちこちに触れるだけで吐きそうになる。口を手で塞がれていなければ、ひどい声で叫びながら嘔吐したかもしれない。けれど、それさえも叶わない。
「おい、もういいだろ。早く突っ込ませろよ」
「待てって。ちゃんとほぐさねぇと自分も痛いぞ」
目の前で男が自分の指を舐めている。僕の後ろに入れるための準備だろう。
最後に塔で僕が襲われたときも衛兵が同じことをしていた。あのときは前日に魔石を採取した日だったからか、乱暴に指を入れられても怪我はしなかった。けれど、まったく痛みがないわけじゃない。
そこで僕の記憶は途切れたけれど、今回も入れるところまでは意識があるに違いない。もしかすると、その先も気を失わないかもしれない。だって、ここには僕を守ってくれる兄上様の魔具はないのだ。
(……嫌だ、こんなの、もう嫌だ……)
ギラギラした軍人たちの目に、塔にいたときの恐怖を思い出した。僕を撫で回す手にどんどん恐怖が蘇ってくる。
この男たちも、ただ僕を犯したいだけの獣と一緒だ。僕は昔からそんな人たちを引き寄せてきた。きっと僕が卑しい“魔血”の血筋だからだ。卑しい方法で魔石を生み出す存在だから、こうした獣たちを呼び寄せるに違いない。
(もう、大丈夫だと、思っていたのに)
軍帝に出会って、軍帝に「俺の妃だ」と言われてようやく卑しい自分じゃないと思えるようになった。兄上様に素直に感じていいのだと言われ、魔石を生み出さなくてもいいと言われ、僕は生まれ変わったような気になっていた。
けれど、本当は何も変わっていなかった。やっぱり僕は“魔血”の錆で、とりわけその力を濃く受け継いだ“魔純の御子”だ。魔石を生み出さなくても、こうして延々と卑しい行為を強要されるだけの存在であることは変わりようがない。
「さぁて、まずは一本だな」
「……っ」
男の指が後ろに入ってきた。入れるというよりも突き刺すと表現したほうがいいくらい乱暴な仕草で、ズキッとした痛みが走る。思わず眉を寄せたけれど、そんな僕のことなどお構いなしに、ただ入れる穴だと言わんばかりに乱暴に指を動かし始める。
(こうされるのも、僕が卑しいからだ)
こんなことは嫌なのに、グチグチとぬめった音が聞こえ始めた。嫌で仕方がないのに、怖くてたまらないのに、僕の体は勝手に火照ってしまう。軍帝じゃないとわかっているのに、後ろが勝手に受け入れようとほころぶのがわかった。
(全部、僕が“魔血”で卑しいせいだ)
そうだ、僕はどこにいても“魔血”だ。魔石を生み出さなくても“魔純の御子”であることからは逃れられない。僕はこの先もずっと卑しい僕のままなのだろう。そう思うと心がスッと凍えるような気がした。
段々と何も感じなくなってきた。後ろをいじられる痛みも、これからされるであろう行為への恐怖も何も感じなくなっていく。
(まるで、本当に人形になったみたいだ)
自分が魔石で動く魔具人形になったような気がした。その証拠に、僕を押さえつけている軍人の向こう側に見える青空はいつまで経っても綺麗な空のままだった。涙で滲むことなんてまったくない。口を塞いでいた手はとっくに離れているのに、悲鳴さえ漏れなかった。
グルルルルル。
不意に獣の鳴くような声が聞こえた気がした。後宮のどこかに獣がいるのだろうか。
(……違う、僕の中から聞こえるんだ)
体の深くで獣の唸り声のような響きを感じる。澱んだ魔力が暴れ出そうとしている気配がした。澱みは溜まっていないはずなのに、明らかに膨大な魔力が渦巻くような感覚がする。
(そういえば、前にもこんなことがあったような……)
あれは衛兵に襲われそうになった三度目、いや四度目だっただろうか。ちょうど魔石を採取する直前で、とくに澱みが濃くなっていたときだった。あのときは従僕が手引きをしたようで、老齢の従僕の前で若い衛兵にのし掛かられた。いまと同じように上着を剥ぎ取られ、下半身を裸にされた。
(そして、同じように後ろに指を入れられた)
あのときも痛くてたまらなかった。兄上様とはまったく違う熱と感触に恐怖を感じた。それなのにすぐに熱くなる自分の体が嫌で、そう思うだけで体の底に澱む魔力が膨らむのを感じた。
(そうだ、あのときと同じだ)
違う、あのときだけじゃない。襲われたときはいつも魔力が暴れ出そうとするのを感じていたような気がする。いまと同じように唸り声のようなものも聞こえた。
唸り声が聞こえると、僕はいつも気を失った。そうして目が覚めると傍らには必ず兄上様がいて、つらそうな目で僕を見た。「大丈夫、何もなかったからね」と言う兄上様を見るたびに、己の身一つ守れない自分を情けなく思った。
グルルルルル。
あぁ、また唸り声が聞こえている。あのときもこうして澱みが渦巻き唸るように動いていた。その澱みが段々膨らんでいくのがわかる。そうして真っ黒なそれが大きくて真っ赤な口を開き、僕の中を掻き混ぜている指に……。
「うぎゃあっ」
叫び声とともに後ろに感じていた圧迫感が消えた。
「な、なんだよ、これ……!」
「ひ、ひぃっ! 化け物……!」
また叫び声が聞こえた。それだけじゃなく、何か柔らかなものが潰れるような音も聞こえた。熟した果物がブチュッと潰れるような音がして、果汁のようなものが滴るのを感じる。
「ひぃ……!」
「や、やめろ……!」
耳障りな軍人たちの声と同時に、僕を押さえつけていた重みが消えた。
(一体どうしたんだろう)
こういう声を聞くのは初めてだ。もしかして、後宮にも兄上様の魔具が仕掛けられていて僕を守ってくれたのだろうか。
青空を見ながらそんなことを思っていると、誰かが近づいて来る足音がした。
「俺がもっとも大事にしているものに手ぇ出して、そのくらいで済んだんだ。よかったじゃねぇか」
聞こえて来た声にゆっくりと顔を動かす。そこには、会いたくないけれど一番会いたかった軍帝の姿があった。
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