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後宮に繋がれし王子と新たな妃

1 突然の知らせ1

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「んっ、もう、……っ」
「ほとんど水みたいなものしか出ねぇな」
「ん……っ」

 ほんの少し離れた軍帝の口が、また僕のものを含んだ。そうしてじゅるりと吸い上げながら後ろをグチグチと指でいじる。
 前をいじられることに慣れていないからか、長くいじられると段々苦しくなってくる。さらに後ろも一緒にいじられると気持ちよさから逃げることができない。軍帝に抱かれるようになって、気持ちがよすぎると苦しくなるということを初めて知った。
 いまだってそうだ。すでに二度爆ぜている僕は、もうほとんど吐き出すものがない。その状態で口に含まれると苦しくてたまらなくなる。
 あまりにつらくて、軍帝の頭を指で何度も押し返した。くしゃりと髪の毛を掴んだりもした。それなのに軍帝は口を離すどころかますます深く咥えて、いまも喉を鳴らしながら笑っている。

「もう……っ、そこは、つらい、から……っ」

 息も絶え絶えにそう告げると、ようやく解放された。ずっと咥え続けていたからか、触れる空気が少し冷たく感じる。

「じゃ、今度はこっちを味わうことにするか」

 そう言った軍帝の両手が僕の太ももをグッと掴み上げた。仰向けだった僕の腰は簡単に浮き上がり、背中の半分ほどが寝台から離れる。そうして持ち上げられている尻たぶを大きな手がグイッと割り開いた。

「……っ」

 そんなことをされたら濡れて柔らかくなった後ろが軍帝の目に入ってしまう。さすがに恥ずかしくて腰を捩ったけれど、僕の抵抗が軍人である軍帝に通じるはずがない。案の定「可愛いことをするんじゃねぇよ」と言われ、押し開いている指にグッと力が入るのがわかった。

「最初は慎ましやかだったのに、赤くふっくらしてきたな。おぅおぅ、物欲しそうに必死にくぱくぱさせやがって、たまんねぇなぁ」

 尻たぶに熱い吐息が触れ、慌てて「駄目」と止めようとした。けれど軍帝の動きのほうが早く、熱い舌に濡れそぼった部分をべろりと舐め上げられてしまった。
 軍帝に抱かれるようになってから半年以上が経つけれど、この行為にはどうしても慣れることができない。それがわかっていて軍帝はこうするのだ。

「ぁ……やめ、……て……」

 震える手で軍帝の頭を押す。やめてほしくて、首を振りながら指で引っ掻くように押し続けた。
 そんな僕にやっぱり喉を鳴らしながら笑った軍帝は、しっかりと、それでいてゆっくりと舌を動かした。縁をなぞるように舐め、それに反応してひくつくと舌を差し込むように入れてくる。そうして唾液を注ぎ込むように細めた舌をヌクヌクと動かし始めた。

「やめ、て……っ」

 腰が震えた。後ろに軍帝の舌が触れていると思うだけで奥が疼いて発火したような熱を感じる。

「おね、がい……っ」

 頭を掴む指にクッと力を込めると、吸うような音を立てて軍帝の口がそこから離れた。

「やれやれ、我が妃は我が儘だな」
「だ、って、」
「わかったわかった。ここも早く咥えたいって言っているしな。さぁ……しっかり味わえ、よ!」
「ぁうっ」

 ズンと先端を突き入れられて、情けない声が出てしまった。もう何度も抱かれているのに、どうしても入ってくるときの感覚には慣れない。思わず体を強張らせてしまったけれど、軍帝はそうした様子もいいのだといつも笑っている。

「俺の雁首はエラが張っているってのに、おまえのここは、難なく咥えるようになった、なっ」
「ひっ! んっ、ぁ、あ……!」
「中もこんなに絡みついて……俺の妃は物覚えがよくて、辛抱するのが難しい、なっ」
「あぁ!」

 グンと突き上げられて背中が反った。そうするとますます腰が浮き上がり、ほとんど真上から突き入れられるような状態になる。苦しい体勢で頭がクラクラしているのに、それでも僕の耳は「俺の妃」という言葉をしっかり拾っていた。
 はじめは違和感ばかりだったのに、いまでは「妃」と言われるだけでうれしくなる。とくにこうして抱かれているときに呼ばれると、どうしようもなく気持ちがよかった。

「ぁ……!」

 気持ちがいいと思った途端に目の前が弾け飛んだ。魔力も弾けるように吐き出してしまったから、僕が気をやったことに軍帝も気づいただろう。

「ははっ。すこぶる感度がいい妃に、なった、もんだ」
「んっ」

 奥をズンと突いた硬いものがズルズルと抜けていく。ギリギリまで抜けたかと思ったら、また勢いよく深い場所を突き上げられた。軍帝が大きく動くと隙間からとろりとした液体がこぼれ落ちる。それが僕の腰や背中を濡らす感触に肌がぞわりとした。
 香油のようなぬめり気のあるそれは、兄上様が開発した閨用の魔石だ。「わたしが何度も試したものだから安心して使うといいよ」と言って、魔石がぎっしり入った大きな瓶を抱えて現れたのは先月のことだった。
 魔石をもらったとき、僕はホッとした。これがあれば、お付きの人たちに冷たい管で後ろを洗われる必要がなくなる。この魔石を後ろに入れれば中を洗浄し、さらに受け入れやすくしてくれると聞いて真っ先に安堵した。
 小さな植物の種のように見える薄紅色の魔石は、人の熱で少しずつ溶けるのだと教えてもらった。だから、軍帝が来ると聞いてから自分で入れておくだけでいい。コツはビリッと感じるところまで押し込むことで、初めて魔石を入れるときは二度失敗してしまった。

(まさか、自分の指を入れることになるなんて……)

 抵抗はあったものの、兄上様もこうしているのだと思って勇気を出した。あの優しくて美しい兄上様も、自分の指で準備してからボクト様との夜を迎えるのだ。僕だってがんばればできる。そう思うことで何とか一人で準備できるようになった。

(こういう魔石を開発するくらい、兄上様はボクト様を慕っているんだろうな)

 最近の兄上様は、ますます美しくなったような気がする。きっと長く想いを寄せていたボクト様の近くにいられるからだ。ボクト様も兄上様のことを大切にしているように見える。
 そんな二人だけれど、想いを告げた兄上様にボクト様はなかなか首を縦に振らなかったのだそうだ。それでも諦めなかった兄上様は、何度もボクト様に気持ちを伝えたのだという。
 優しく美しいだけでなく優秀な魔術士でもある兄上様は、祖国では誰からも愛される王子だったと聞いている。そんな兄上様のことを、なぜボクト様は受け入れようとしなかったのだろう。
 そういえば、軍帝も「オオルリは苦手だ」と話していた。いまでもそれは変わらないそうだけれど、兄上様を苦手に思う人は軍帝くらいしかいないに違いない。
 そんなことを思い出していたら、ゆっくり動いていた太いものが急に激しく動き出した。これまでよりずっと深いところを何度も抉るように突き上げてくる。

「や、あ……っ」
「何か別のことを考えていただろ。俺を咥えながらよそ見をするなんざ、仕置きが必要だな」
「んっ、んぅっ、もぅ、むり、……っ」

 ずるりと抜けた太いものが、今度は手前のひどく感じるところを執拗なくらい擦り始めた。そこは魔石を生み出すときに暗示に使っていた場所だからか、いまでも怖くなるほど感じてしまう。擦られる気持ちよさに震えていると、軍帝の指が二つの袋と後ろの間にある場所をグイッと押した。

「ひぃ……っ」

 そこがこんなに感じる場所だなんて知らなかった。僕の新しい泣き所を知った軍帝は、ことあるごとにそこを刺激するようになった。

「やめ……も、むり……」

 泣きながら頭を振っていると、ようやく指と腰が止まった。ところが今度は胸の粒をこねるように指先でいじられる。

「そこ、も、だめ、」
「我が妃は我が儘がすぎるぞ?」

 笑いながらそんなことを言われても、胸の先を摘まれるだけでジンジンしてしまうのだ。最初は痛かっただけなのに、いまでは先端を撫でられるだけで気持ちよくなってしまう。

「まぁいいさ。感じやすいのも、すぐに泣いてしまうのも最高に可愛いしな。おまえだけが俺の唯一の妃だ、我が儘も許してやる」

 背中を逞しい腕に抱え上げられた。突き出した胸に温かい吐息が触れる。「あっ」と思ったときには、胸の粒を優しく噛まれていた。同時に体の深くを硬い切っ先で突き上げられ、僕は爆ぜることなく気を飛ばしながら残りの魔力を放出した。
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