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番外編

俺の妻は可愛い

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 俺が中佐から少将に昇進するとき、周りは大いにざわついた。
 それもそうだろう。俺はただの商人の息子ないのに貴族階級である少将の地位に就くのだから、期待する下士官以上におもしろくないと思った輩も多かったはずだ。
 俺自身は地位や名誉なんてものに興味はない。ないが、どうしてもまとまった金が必要で、それを知った大将閣下から「少将にならんか」と言われて飛びついたのは否めなかった。少将になるには面倒な手続きやなんかが山のようにあり、途中で投げ出したくなることが多々あったが、ツバキのことを思い出してはグッと耐えて無事に少将の地位に就くことができた。
 そうして金を手に入れ、ようやく男娼だったツバキを身請けした。

「少将、この本、読んでもいいですか?」
「あぁ」

 壁一面を使った大きな書棚の前で、愛しいツバキが本を取ろうと背伸びをしている。取ってやろうと立ち上がったが、俺が側に行く前にツバキは目的の本を手にしていた。
 そうだ、俺ほどではないが、ツバキは一般的な軍人と同じくらいの背丈がある。書棚の本も、よほど上に並んでいるものでない限り自力で取れるのはわかっているはずなのに、つい手を貸したくなるのは彼の雰囲気がそうさせるからだろうか。

「今度は何を読むんだ?」
「ええと、貴族の系譜? っていう本です」

 最近、ツバキは貪欲に読書をしている。おそらく職場に届け物をしてくれた日の夜、俺がしつこく「ツバキは俺の妻だ」と言い続けたからだろう。翌日、「僕、少将の、その、……奥さんに、相応しい男になります!」と真っ赤になりながら宣言した姿はあまりに可愛くて、そのまま貪るように抱いてしまった。

 元男娼だからか、ツバキは自分を必要以上に貶めて考える癖があるように見える。もしくは、自分に自信が持てないのだろうか。そんなツバキを見るたびに、幼い頃からの経験ゆえだろうかと思うことがある。
 身請けしたいと申し出たとき、高級娼館の主人から「ひたすらに甘やかすことができるなら、身請けさせてやってもいい」と言われた。
 ツバキは自分のことをあまり話さないから詳しくは知らないが、娼館にいる者の多くは人買いに買われて王都に来たというのが一般的だ。ツバキの故郷は王都から離れているらしいから、きっとそういった経験をしているに違いない。
 五歳から娼館にいたとは聞いている。ということは、小さい頃、親兄弟に甘えることがほとんどなかったのだろう。だから「ひたすらに甘やかすことができるなら」という条件がつけられたに違いない。

「言われなくても、当然甘やかすがな」
「え? 少将、何か言いました?」
「いや。それにしても、結構な量を読んだな」
「はい、本を読むのは好きなんです。っていうか僕、不器用だから雑用とか下手で、ちゃんとできたのが本を読むことくらいだったんですよね」

「えへへ」と恥ずかしそうに笑っているが、本を読むというのは案外難しいことだ。
 ただ読むだけなら、文字さえ理解していれば誰にでもできる。しかしツバキは本の内容をきちんと理解し、自分の中に取り込み、さらにその先を考えることができるように思う。
 物語のような本ならば、文字だけで描かれる世界を具体的に想像するのはツバキにとって無意識にできることのようだった。実用書のような本でも、一度読むだけで時系列をきちんと理解するし、難解な言い回しでも俺に噛み砕いて説明してくれるから、ほとんど正確に理解できているのだろう。
 商人の家に生まれた俺は、小さい頃から文字や数字を覚えさせられた。しかしツバキほど熱心に本を読まなかったし、何より覚えるという行為自体が苦手だった。読書や計算よりも体を動かすことが好きだったから、誘われるまま軍人になった。
 体を動かして給金をもらえる軍人という職業は、自分にとって天職とも呼べる仕事だ。これまで何度となく危険な任務に就くことがあったが、困難とは思ってもやれないと感じたことはない。
 だが、今回の昇進では少しばかり辟易していることがある。そういう煩わしいことに巻き込まれるのが嫌で昇進したくなかったのだが、いまさら言ったところで仕方がない。それに、こうして毎日ツバキと過ごせる日常を手に入れた代償だと思えば、大したことではないと思えるようにもなった。

「伸びたな」
「ふぇ?」

 無意識に触れていた金髪を指先で撫でながら、そんな言い訳をするのは何度目だろうか。
 髪が伸びたからか、本を読むときに下を向くと金髪が頬を隠すようになった。それを耳にかけ直すツバキの仕草が好きだ。ただ髪の毛をいじっているだけなのに、なんともいえない色香を感じる。
 その仕草を目にするたびに、こうして髪に触れてしまう。そうして読書の邪魔をしてしまったことに気づき、毎回同じ言い訳をしていた。

「髪、長いのは嫌いですか?」

 緑がかった碧眼が俺を見つめている。おそらく「嫌いだ」といえば、すぐに切るのだろう。ツバキはいつも俺の気持ちを優先させようとする。

「いや、こうしてそのままなのも、結んでいるのも、可愛いと思う」
「……っ」

 ツバキの頬が赤くなった。毎日これほど可愛いと言っているのに、まだ慣れないらしい。こういうところはまるで幼子のように純粋で、本当に男娼だったのかと思うくらいだ。
 ふと、胸元に視線が向いた。今日は薄手の白いシャツを着ているからか、俺がつけた金色の輪っかがうっすらと見えている。それは抗いがたいほど淫靡な姿で、思わず指でその部分をカリッと引っ掻いてしまっていた。

「ひぅっ」

 体をビクンと震わせて、ツバキが可愛い声を上げる。そうなると、もう俺の指は止まらなかった。クルクルと乳首を撫でながら、不意打ちのように輪っかを引っ張ったり先を爪でグリグリ潰したりしながらツバキの性感を高めていく。

 そうしながら、この金の装飾品を買うに至った経緯を思い出した。同時に、助言をくれた上官の息女であり妃殿下となった少女のことを思い出す。
 俺とツバキのことを自分のことのように応援してくれた彼女は、俺の上官である大将閣下の末娘だった。婚約適齢期の十五歳から多くの貴族の申し入れを受けてきた彼女は、それでも頑なに婚約を断っていた。本人いわく「好きでもない人と結婚するのは嫌」ということらしいが、いよいよ十七歳を過ぎ、父親の大いなる野望への第一歩として第一王子に嫁ぐことになった。

 大将閣下は、自分の血筋を王家に入れることを望んでいる。そしていずれは外祖父として自分が国の頂に立ちたいと考えていた。
 大将閣下の野望は一部の上級士官も知るところだが、どうやら第二王子も気づいているらしい。だから俺とツバキを呼び出したのだろう。大将閣下の口添えで少将になった俺があちら側にくみしないか、取り込まれる可能性がどのくらいあるか、それを見極めたかったに違いない。
 どうしてか俺は部下たちに人気があるらしく、俺が動くと大勢の軍人たちも動いてしまう。そんな俺が大将閣下の野望に乗ってしまえば、王家と軍との争いに発展しかねないこと危惧されているのだ。
 俺は権力闘争などという面倒なことに巻き込まれたくはないし、権力なんてものに興味も関心もなかった。だから誰それにくみする、ということは起こりえないのだが、あの謁見で第二王子が納得してくれたかはわからない。

 ツバキも一緒に呼ばれたのは、俺が妻にぞっこんだと軍でも有名だからだろう。俺自身が動かないのなら、身内に近づいてどうにかしようというのは権力闘争ではよくあることだ。元男娼であるツバキならそそのかしやすいと考える輩もいるだろうし、俺を大将閣下側に引き込むための罠として利用しようと考える輩もいるだろう。それにツバキが乗るような人物か、直接見て確かめたかったに違いない。
 だから、第二王子の腹心であり懐刀と言われるヒイラギ中将もあの場に現れたのだ。

 まぁ、ツバキを見れば俺の考えに反することは決してしないと、すぐにわかったはずだ。そもそも俺がツバキを危険な目にあわせることは絶対にあり得ないし、もしよけいなことをする輩が近づこうものなら、その場で首を刎ねるだけのことだ。

「ツバキは、いまのまま俺の側にいてくれるだけでいいんだがな」
「んっ。それじゃ、僕、いつまで経って、も……、ぁん、少将の、奥さんに、なれません……ンッ」
「いまでも十分に、俺の愛しい奥方だ」
「……ッ、ぁ、は、ぁ、どうし、よ……。少将が、すごく、好き……」
「それは光栄だ。俺もツバキのことを愛している」
「……もう、がまんできない……少将、シよ……?」

 ツバキの顔がトロリと蕩け、表情が一気に幼さを増した。どうしてそうなるのかわからないが、ツバキは気持ちよくなるとまるで子どものように無邪気な、それでいてとんでもない色気を振りまき出す。それは初対面のときにも感じたことで、まるで飴玉をしゃぶるように俺の逸物を咥える姿に一発でやられた。
 純粋に、しかし貪欲に快感を求める姿に、是が非でも手に入れたいと思った。周りから「王城門の巨石」と揶揄されるほど恋愛ごとに関心のなかった俺が、一瞬にして堕ちた瞬間だった。

「ね、はやく、挿れて、……ぁ、はやく、」

 ベッドに移動し、互いの服を脱がしあっている間からツバキはグズグズだった。上半身を起こし枕に背を預けている俺を見たツバキは、唇を舐めながら腰に跨がってきた。そうしてすでにトロトロに濡れている性器を自分で抜きながら、尻の奥をいじり始めた。
「気持ちいいことが大好き」ということは男娼時代に何度も聞いたが、妻にしてからさらに快楽に貪欲になったような気がする。本人いわく「好きって思うだけで気持ちよくて、いろいろ止まらなくなっちゃうんです」ということらしいが、俺にしてみれば大歓迎な状況だ。

「ぁ、ァンッ、や、もう、がまんできな、あ、アッ、や、ナカ、もぅ、きもちい……ッ」

 自分の手でいじるだけでもたまらないらしい。潤んだ瞳で俺を見ながら、尻をグジュグジュといじり続けている。

「こら、勝手にイくな。俺をナカに挿れてくれるんじゃないのか?」

 そう告げれば、潤んだ瞳で俺を見つめながら後ろ手に凶悪な俺の逸物を握った。そうして尻孔をいじっていた指で窄まりを広げながら、ゆっくりと俺の逸物の上に腰を下ろす。
 孔と先端が触れ、チュウッとキスをするようにピタリとくっつくのがわかった。そのまま何度かキスをし、グプゥ、ヌチュ、といやらしい音を立てながら窄まりが先端を飲み込んだ。

「あっ、や、おっき、ぃ……」

 小刻みに腰を揺すりながら逸物を迎え入れる姿は、まさしく手慣れた男娼そのものだ。それなのに眉を寄せて快感に耐える顔は初心な幼さを垣間見せて、俺の男心をいたく刺激する。

「これでは、ますます心配に、なるな……ッ」
「ァンッ! やだ、きもち、ぃい……ッ」

 職場で軍人らに囲まれていた様子を思い出し、つい、腰を突き上げてしまった。一気に奥深くに挿入はいり込んだ衝撃からか、ツバキの性器から先走りがトピュッ、ピュピュッと吹き出すのが見える。
 そうなると、あとはもう欲望のままに交わることしかできなかった。俺がズンズンと奥深くを穿てば、ツバキが俺の上で跳ねるように踊る。目の前でキラキラと揺れる金の輪を口に含み装飾品ごと乳首を優しく噛めば、細い体をビクビクと震わせながら「イく、イッちゃう」と可愛く啼いた。

 真っ白な首すじをピタリと覆っている漆黒の首飾りは、行為の最中に見るとたしかに首輪のように見える。最初にそれを指摘したのはツバキだった。たしかにツバキを繋ぎとめたいという俺の気持ちを表しているようで、この形の首飾りを思い浮かべて手配した当時の自分を褒めたいといまでも思っている。
 そういえば、職場で指輪の代わりに首飾りを贈ったと話したところ、ほとんどの部下から「それは首輪というものでは」と言われた。たしかに形状としては似ているが、俺の故郷ではよく見る形のものだ。何度かそう説明したが、部下たちは「少将閣下がつけられたとなると、首輪にしか見えませんから」と言われたが……たしかに、首輪に見えなくもないか。

「……しかし、それなら鎖をつけるべきだろうな」

 首飾りを撫でながら思わず出たつぶやきだったが、ツバキの耳にも届いたのだろう。ビクン! と激しく体が跳ね、ナカがギュウウッと締まって思わず爆ぜてしまうところだった。

「ぁ、やだ、……きちゃ、ぅ、おおき、の……きちゃ、……やだ、ァ、イく、イッちゃ、ひ、アァ――――ッ」

 ブルブル震えながら仰け反ったツバキの体を慌てて抱きしめる。急激に蠢き出したナカの動きと熱さに、俺は思い切り奥を突き上げて今度こそ精を吐き出した。腹に当たっているツバキの性器は勃起しているが吐精はしていないようで、ただピクピクと小刻みに震えている。顔を見れば口は半開きで涎を垂らし、目は天井あたりを見ているが虚ろな様子をしていた。

 こうしてナカだけで絶頂に至ると、しばらく戻ってこない。戻って来ても次々と快感に飲まれて果てしなく乱れていく。今回の絶頂のきっかけは、首に鎖をつける、という俺の言葉だったに違いない。
 ツバキは自分のことを「ちょっと変わってるんです」と恥ずかしそうに言っていたが、なるほど少し変わった性癖の持ち主なのだろう。ただ、俺のしたいことも少々変わっているらしいから、似たもの同士ということだ。
 ツバキいわく、俺は「理想的な逸物と絶倫具合」の持ち主らしいし、ツバキは俺にとって「理想的な体力と名器」の持ち主だ。体の相性はもちろんのこと、お互いのことを好きだという気持ちもピタリと合っていて、ツバキほど俺にふさわしい相手はいないと断言できる。ツバキにとっての俺もそうであってほしいと願っているが、そうだと断言できるほど俺は自惚れていないし、現状に満足するだけではいけないとも思っていた。
 もっともっと、ツバキを甘やかしたい。ツバキのすべてを満たしてやりたい。俺しか見えないくらい、堕としたい――俺の欲望は際限なくわき上がる。

「……しょ、しょう、……まだ、おっきぃ、です……」

 トロトロに蕩けたツバキが、嬉しそうに腰を揺らしている。少し飛んでいたはずなのに、戻ってきたらすぐに俺をねだる。……なんと淫らで、愛おしいのだろうか。

「次は、後ろから挿れたい」
「……ん、いっぱい、奥、突いて、ください……ァンッ!」

 一旦逸物を抜いたツバキが俺に背を向け、尻だけを高く上げた。それだけでなく両手で窄まりを広げて、ナカを見せつけるように挑発してくる。ヒクついている縁は真っ赤に熟れていて、開いた奥の白濁に汚れた肉の色があまりにいやらしく、思わずゴクリと喉を鳴らしてしまった。
 そんな姿を見せられたら、無言で一気に貫いてしまったとしても仕方がないだろう。一度果てたとは思えないほどいきり勃った凶悪な逸物を、思い切り腹の奥に突き入れた。
 途中、ツプッと狭い部分を通過し、その奥にある熱く淫らな肉壁に先端がぶつかった。ソコをトントンとつつくと、狭い部分がギュウッとカリに絡みついてきて信じられないほど気持ちがいい。ツバキも相当気持ちがいいようで、「ヒィヒィ」と啼きながら腰を振り、「イくの、イッちゃうの」と幼い言葉を紡ぎ出す。

 あぁ、たまらない。もっと押さえつけて、思う存分犯したい。腹のナカを俺の精液で満たし、歩けばあふれ出るくらいにしてしまいたい。全身にぶちまけて、俺の匂いでいっぱいにしてしまいたい。
 ツバキを抱くたびに、俺の中に凶悪な獣が生まれるような気がする。

「っと、あぁ、またやり過ぎたな……」

 気がつけば、俺の下でツバキがグッタリとしていた。両足をつかみ上げ、ほとんど真上から逸物を突き入れていたのだから、気を失っても仕方がないか。
 ゆっくりと逸物を抜けば、大きく開いたままの窄まりから白濁が溢れんばかりにこぼれ出た。それを見るだけでまた穿ちたくなるが、なんとか踏み留まってツバキの体をきれいに拭ってやる。自分の体も拭い、ツバキをそっとカウチに移してから敷布を剥がし、新しい敷布を適当に敷いてからツバキを横たわらせた。
 以前はツバキのナカに注ぎ込んだ精液を掻き出していたが、ナカに留めておきたい欲望が優ってからはそれもしなくなった。ツバキからは「……まぁ、お腹、下すこともなくなったんで、いいですけど」と真っ赤な顔で了承を得たので構わないだろう。俺の精液がツバキのナカで吸収されひとつになるのかと思うと、得体の知れない興奮を感じる。

「……やはり、俺も相当な変態、ということなんだろうな」

 乱れた長い髪を指で梳きながら、ふと、第二王子を前に一瞬怯えた様子を見せたツバキを思い出した。あれはもしかしなくとも、あの方の腹黒さを感じ取ったのかもしれない。
 ツバキは相手の本質を見抜く目を持っているのではと思うことがたびたびある。本人に自覚はないのだろうが、過去にもそういうことがあった。
 あのときは、なぜかツバキが近づこうとしない使用人がいることを執事が不審に思ったことがきっかけだった。調べてみれば大将閣下の息のかかった人物で、何かしらの工作をしようと潜り込んでいたのだろう。
 おそらくツバキは、自分が近づいてはいけない人物を無意識に嗅ぎわけているに違いない。それは男娼だったから身についたものなのか、元々ツバキが持っているものなのかはわからないが、そういった意味でも俺にとってツバキは最高の相手だった。相手が自分にとってよくないものだと本能で嗅ぎわけられるなら、最大の自衛にもなる。

「……んぅ、少将、……かわい……です」

 不意に聞こえたツバキの寝言に、思わず苦笑してしまった。こんなに大きくて厳つい俺を可愛いと言うのは、ツバキくらいなものだ。可愛いというのは俺にとって褒め言葉ではなかったはずなのに、いまではツバキに言われるたびに胸がくすぐったくなる。

「ツバキのほうが可愛いがな」

 後ろからそっと抱きしめる。あぁ、人肌というのはたまらなく落ち着く。いや、俺の逸物は落ち着くどころか、またいきり勃ってしまった。さて、これをどうしようか。
 ツバキは抜かずの五発が理想だと、おもしろいことを言っていた。妻の望みを叶えるのが夫の役目だ。となれば、答えは一つしかない。

「……んぁ、や、……おく、ぅ……」

 たっぷり潤んでいる窄まりに先端を押しつければ、クプゥと音を立てて簡単に飲み込んでしまった。そのまま奥まで挿れれば、「もっと奥にほしい」と可愛らしい寝言を言う。
 まったく、なんて淫乱で可愛い妻だろうか。グッと奥を穿ったまま、愛しいツバキを抱きしめて目を瞑る。抜き挿ししなくても、ただツバキに包まれているというだけで気持ちがいい。
 さて、目が覚めたときにどんな反応をするか楽しみだ。俺はいやらしい笑みを浮かべながら、眼が覚めたときを楽しみにしつつ、しばしの休息を取ることにした。
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