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第1部
47ロール様のお茶会1
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「いやあ、帝国皇子と皇女が来て下さって、本当に嬉しく思います。なあ、ロール」
四角い顔のホッリュウ伯爵様が、本当に嬉しい、とガッハッハッと大声で笑いながら隣に座るロール様に言った。
今日は、ロール・ホッリュウ様のお茶会に来ている。
クレス様のお茶会の様子を聞いているのがよく分かった。
挨拶も私から始まりフィー、カレン。
そうして、お茶の配り方も完璧。
茶葉も他の缶に入れ直し、産地がわからないようにしている。
分かりやすくて、3人で笑いそうだった。
今日のドレスもカレンの色違いを着てきた。
私は藍色、カレンは金糸雀色。
クレス様のお茶会と同じだが、いつも私は茶会の席は端の方に案内され、王妃派から馬鹿にされ、最後はお茶を零され帰る、と言う流れだった。
だが、今回のお茶会も前回と同じように中央席に案内され、1度たりとも参加も挨拶もされた事のない、ホッリュウ伯爵様が席におり、愛想良く笑っている。
クレス様のお茶会にしても、殿下の事にしても、少しでもフィーとカレンに王妃派の印象を挽回しようと見え見えだ。
先日の殿下に対する私の態度も王妃様には伝わっている筈だ。私の動きも気になっているだろう。
「スティング様、最近学園でフィー皇子様とカレン皇女様と御一緒ですが、どのようなお話をされているのですか?」
「それは私も聞きたいですな」
聞いて、すぐ報告するのでしょうね。
1口お茶を飲んだ。
さて、どう答えて、どう対応すべきなのだろうか?
普通に考えて浅い答えを言って、のらりくらりとすり抜けるのは簡単だけれど、引っ掛けて何か聞き出せないだろうか?
ホッリュウ伯爵様が王妃様にどれだけ近しい関係かは分からないが、古い関係でなく、恐らく捨て駒としてレインに声を掛けられた程度だろうが、誰かしらは近しい立場になっている筈だ。
それを見抜かないといけない。
「そうで」
「いつから私達を名で呼んでもいいと言ったのかしら?」
すね、と私の言葉を思いっきり踏み潰し、威圧的な声でカレンが腕を組んだ。
この言い方・・・。
はあ、とフィーの溜め息が聞こえ見たが、どうもフィーもやる気満々だ。
初めから気に入らないと言っていたものね。
「そ、それは申し訳ありません。帝国皇女カレン様。その、参加頂いた事があまりに嬉しくて、つい、呼んでしまいました。いつも遠くから眺めていた憧れの方が目の前におられるので」
大袈裟な声と笑いで、大袈裟に腕を振る。
「嬉しくて?憧れ?へえ。面白いこというねえ。本当に憧れているなら敬い、軽々しく名前など呼ばないわ。ああ、この家では、人を敬う時には名前で呼ぶようにしているのね」
「丁度そこにご当主がいるから聞いてみればいいのじゃないか?俺は気分悪いがな」
カレンとは真逆に冷静な表情が空気をより重たくする。
2人ともスイッチ入ったな。
これはこれでいい勉強になるわ。
こくり、とお茶を飲んだ。
「そ、それはその・・・。申し訳ありません!こちらの教育不足でした!」
ホッリュウ伯爵様が立ち上がり、すぐ様頭を下げた。
沈黙が流れた。
勿論、謝罪が受け入れない限り、頭を上げることは出来ないから、ずっと頭を下げたままだ。
フィーもカレンも寛ぐようにお茶を飲むだけで、許す素振りはない。
ここだけ重たい空気が流れる中、周りの賑やかな声が、こちらの様子がおかしい事に気づき、少しずつ声が小さくなり、
ざわめきの方が大きくなる。
ロール様は青ざめ、おろおろとするばかりだった。
「申し訳ありません!!」
あまりに返事無いので、ホッリュウ伯爵様は堪りかね、もう一度、先程より大きな声で言った。
「あんたさあ、何で謝ってるの?謝るの、あんたじゃないし。フィーは聞いてみたら、と言ったけれど謝れ、とは言っていないわ。何、子離れ出来ないご当主なの?子供のやった事はぜんぶ自分が謝ればそれでいいと思っている?」
苛立つように突き刺した言葉に、ロール様が急いで立ち上がった。
はあ。
やっと気づいたのね。
「も、申し訳ありません!!」
震える声で必死にそう言うと、よろめきながら頭を下げた。
また、沈黙となった。
今度は、お茶会が静寂に変わった。周りを見ると何人か、クレス様のお茶会に招待された方々が、扇子で顔を隠し震えていた。
何が起こっているかは分からないだろうが、只ならぬ状況で、また、という不安が襲っているだろう。
その中に、嬉しそうに微笑む人もいる。
公爵派だ。
さて、と目線を戻すとまだ頭を下げ、フィーとカレンは、我関さず、と言う態度だ。
このままでもいいけれど、意心地悪いわね。
その上チラチラとホッリュウ伯爵様とロール様が私に助けを求めるように見てき出した。
仕方ないわね。
「フィー皇子様、カレン皇女様、ロール様はホッリュウ伯爵様は、とても子供を大事にされておられて、少し甘やかして育ててしまったのだと思います」
助けましょうか。
「子供を大事にするのはいい事よね。でも、子離れしないな」
「フィー皇子様今回は良い社会勉強になったと思いますので、これくらいで許して上げてください」
「スティング様がそう言うなら、仕方ないか。なあ、カレン?」
「そうね、仕方ないわね」
また、2人の下手くそな棒読みに、必死に笑うのを堪えた。
「恐れ入ります。ホッリュウ伯爵様、ロール様お許しが出ました、お戻り下さい」
「ありがとうございます」ホッリュウ伯爵様
「・・・ありがとうございます」ロール様
2人とも無理に微笑みながら席に戻った。
「お茶が冷めましたね、新しく入れ直しましょう」
ホッリュウ伯爵様の言葉に控えていたメイド達が動き出しお茶を全て片付け、新しいお茶を用意し出した。
カタカタとカップが揺れる音をさせながら、メイドが私のお茶をデーブルに置こうとした、
その時!
「あ!!申し訳ありません!!」
上手く、そのお茶を私のドレスに零してきた。
ふうん。
やはりこれは、どの状況にも鉄板なのね。
四角い顔のホッリュウ伯爵様が、本当に嬉しい、とガッハッハッと大声で笑いながら隣に座るロール様に言った。
今日は、ロール・ホッリュウ様のお茶会に来ている。
クレス様のお茶会の様子を聞いているのがよく分かった。
挨拶も私から始まりフィー、カレン。
そうして、お茶の配り方も完璧。
茶葉も他の缶に入れ直し、産地がわからないようにしている。
分かりやすくて、3人で笑いそうだった。
今日のドレスもカレンの色違いを着てきた。
私は藍色、カレンは金糸雀色。
クレス様のお茶会と同じだが、いつも私は茶会の席は端の方に案内され、王妃派から馬鹿にされ、最後はお茶を零され帰る、と言う流れだった。
だが、今回のお茶会も前回と同じように中央席に案内され、1度たりとも参加も挨拶もされた事のない、ホッリュウ伯爵様が席におり、愛想良く笑っている。
クレス様のお茶会にしても、殿下の事にしても、少しでもフィーとカレンに王妃派の印象を挽回しようと見え見えだ。
先日の殿下に対する私の態度も王妃様には伝わっている筈だ。私の動きも気になっているだろう。
「スティング様、最近学園でフィー皇子様とカレン皇女様と御一緒ですが、どのようなお話をされているのですか?」
「それは私も聞きたいですな」
聞いて、すぐ報告するのでしょうね。
1口お茶を飲んだ。
さて、どう答えて、どう対応すべきなのだろうか?
普通に考えて浅い答えを言って、のらりくらりとすり抜けるのは簡単だけれど、引っ掛けて何か聞き出せないだろうか?
ホッリュウ伯爵様が王妃様にどれだけ近しい関係かは分からないが、古い関係でなく、恐らく捨て駒としてレインに声を掛けられた程度だろうが、誰かしらは近しい立場になっている筈だ。
それを見抜かないといけない。
「そうで」
「いつから私達を名で呼んでもいいと言ったのかしら?」
すね、と私の言葉を思いっきり踏み潰し、威圧的な声でカレンが腕を組んだ。
この言い方・・・。
はあ、とフィーの溜め息が聞こえ見たが、どうもフィーもやる気満々だ。
初めから気に入らないと言っていたものね。
「そ、それは申し訳ありません。帝国皇女カレン様。その、参加頂いた事があまりに嬉しくて、つい、呼んでしまいました。いつも遠くから眺めていた憧れの方が目の前におられるので」
大袈裟な声と笑いで、大袈裟に腕を振る。
「嬉しくて?憧れ?へえ。面白いこというねえ。本当に憧れているなら敬い、軽々しく名前など呼ばないわ。ああ、この家では、人を敬う時には名前で呼ぶようにしているのね」
「丁度そこにご当主がいるから聞いてみればいいのじゃないか?俺は気分悪いがな」
カレンとは真逆に冷静な表情が空気をより重たくする。
2人ともスイッチ入ったな。
これはこれでいい勉強になるわ。
こくり、とお茶を飲んだ。
「そ、それはその・・・。申し訳ありません!こちらの教育不足でした!」
ホッリュウ伯爵様が立ち上がり、すぐ様頭を下げた。
沈黙が流れた。
勿論、謝罪が受け入れない限り、頭を上げることは出来ないから、ずっと頭を下げたままだ。
フィーもカレンも寛ぐようにお茶を飲むだけで、許す素振りはない。
ここだけ重たい空気が流れる中、周りの賑やかな声が、こちらの様子がおかしい事に気づき、少しずつ声が小さくなり、
ざわめきの方が大きくなる。
ロール様は青ざめ、おろおろとするばかりだった。
「申し訳ありません!!」
あまりに返事無いので、ホッリュウ伯爵様は堪りかね、もう一度、先程より大きな声で言った。
「あんたさあ、何で謝ってるの?謝るの、あんたじゃないし。フィーは聞いてみたら、と言ったけれど謝れ、とは言っていないわ。何、子離れ出来ないご当主なの?子供のやった事はぜんぶ自分が謝ればそれでいいと思っている?」
苛立つように突き刺した言葉に、ロール様が急いで立ち上がった。
はあ。
やっと気づいたのね。
「も、申し訳ありません!!」
震える声で必死にそう言うと、よろめきながら頭を下げた。
また、沈黙となった。
今度は、お茶会が静寂に変わった。周りを見ると何人か、クレス様のお茶会に招待された方々が、扇子で顔を隠し震えていた。
何が起こっているかは分からないだろうが、只ならぬ状況で、また、という不安が襲っているだろう。
その中に、嬉しそうに微笑む人もいる。
公爵派だ。
さて、と目線を戻すとまだ頭を下げ、フィーとカレンは、我関さず、と言う態度だ。
このままでもいいけれど、意心地悪いわね。
その上チラチラとホッリュウ伯爵様とロール様が私に助けを求めるように見てき出した。
仕方ないわね。
「フィー皇子様、カレン皇女様、ロール様はホッリュウ伯爵様は、とても子供を大事にされておられて、少し甘やかして育ててしまったのだと思います」
助けましょうか。
「子供を大事にするのはいい事よね。でも、子離れしないな」
「フィー皇子様今回は良い社会勉強になったと思いますので、これくらいで許して上げてください」
「スティング様がそう言うなら、仕方ないか。なあ、カレン?」
「そうね、仕方ないわね」
また、2人の下手くそな棒読みに、必死に笑うのを堪えた。
「恐れ入ります。ホッリュウ伯爵様、ロール様お許しが出ました、お戻り下さい」
「ありがとうございます」ホッリュウ伯爵様
「・・・ありがとうございます」ロール様
2人とも無理に微笑みながら席に戻った。
「お茶が冷めましたね、新しく入れ直しましょう」
ホッリュウ伯爵様の言葉に控えていたメイド達が動き出しお茶を全て片付け、新しいお茶を用意し出した。
カタカタとカップが揺れる音をさせながら、メイドが私のお茶をデーブルに置こうとした、
その時!
「あ!!申し訳ありません!!」
上手く、そのお茶を私のドレスに零してきた。
ふうん。
やはりこれは、どの状況にも鉄板なのね。
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