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第11話 これは、一体どういう状況?

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 シャロンは、口を開けて、白髪の青年ガゼルを見ていた。

 ガゼルは、倒した大男が気絶しているのを確認すると、シャロンを見た。

 「怪我はないか」

 ガゼルは、シャロンに問いかけた。

 「な、ないわ」

 シャロンは、背中から汗が止まらなかった。
 今すぐガゼルから逃げ出したい。そんな思いでいっぱいだった。


 すると、


 「いたぞ!!あそこだ!!」


 シャロンを追っていた憲兵たちが、迫ってきた。


 「ちっ」

 ガゼルは、嫌そうな表情を浮かべながら、外れたフードをもう一度被り、素顔を隠す。

 シャロンは、先程の大男に絡まれて、完全に腰が抜けていた。
 
 (駄目だ。立てない。これじゃ捕まっちゃう)

 

 「そこの黒髪の娘!!止まりなさい!!」


 シャロンは、今度こそもう駄目だと思った矢先。
 白髪の青年ガゼルが意外なことを口にした。


 「なんだ。追われているのか」


 はい?
 きょとんとし顔でシャロンはガゼルを見た。


 ガゼルは、不敵に笑っていた。


 「なら、ついでだ」


 瞬間。

 ガゼルは、シャロンの身体をお姫様のように抱きかかえた。
 


 「え?えええ!?」
 

 シャロンは、あまりの展開の速さに頭がついていけない。


 シャロンを抱きかかえたガゼルは、軽く跳躍したと思うと、ガゼルとシャロンの身体を風が包み込み、気づけば、凄い距離を跳躍していた。

 ガゼルとシャロンは、余裕で、地上から、建物の屋根に着地していた。

 
 「逃げるぞ」



 ガゼルは、シャロンの顔を見ながら、笑う。


 ガゼルは、シャロンをお姫様のように抱きかかえながら、屋根から屋根へと飛び移り、夜の闇へと消えていった。

 

 シャロンは、ガゼルの腕の中で、内心焦りまくっていた。


 (え?これは、どういう状況なの!?)



 
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