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第8話 ガゼルの夢

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  夜。白髪の青年ガゼルは、自身の経営する事務所の執務室にいた。


 (やっとすべてのピースが揃った)


 ガゼルは、今日の商談で手に入れた、魔鉱石の採掘できる鉱山に思い巡らす。

 ガゼルは、ずっとあそこの鉱山だけでしか手に入らない希少な魔鉱石が欲しかった。
 そのために、ガゼルは、商売をする上で、危ない橋をいくつも渡り、それを乗り越え、莫大な富を築いてきた。
 そして、今日、その魔鉱石も自分の手元に置くことに成功した。


 ガゼルは、執務室の椅子から立ち上がり、執務室の奥に保管してある金庫を開けた。

 ガゼルが、この金庫を開けるのは、何年ぶりだろうか。


 ガゼルは、その金庫の中に保管してあった、大量の古びた粘土板を一枚取り出し、机の上に置いた。


 「ジャック。お前が死んでからもう6年が経つよ」


 ガゼルは、懐かしそうにその粘土板に触れながら、亡き友に語りかけた。

 
 「俺たちの夢にやっと手の届くところまで来た。ここまで来るのに6年もかかってしまったよ。だが、ジャック。お前の残した設計図ゆめをあとは組み立てるだけのところまで来た」


 ガゼルは、笑う。


 「あと2年だけ待ってくれ。あと2年で完成させる。そして、2年後のお前の命日に、天国にいるお前にも届くぐらい派手なニュースにしてやる」


 ガゼルは、少し寂しげに笑っていた。


 

 
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