7 / 7
【声劇台本】夢見を求めて、救済す
しおりを挟む
僕 / 新 : 22歳会社員。今年からマンションを借りて一人暮らしを始める。とても穏やかな人。と思われている。
周りから信頼され、慕われている完璧人間、らしい。
天使 : 大天使より命を受けて下界に降りてきた見習い天使。救いを求めている人を探しては助ける修行をしている、らしい。見習い天使にしては既に物事を達観していて大人っぽいような気がする。
記憶の中の僕 : 『僕』の記憶の中だけの存在。イメージは少年。記憶の中の僕は『僕』に精神的に訴えかける。味方では無い。自分自身のはずなのにどこか嘲笑っている。
後輩 : 『僕』の後輩。とても『僕』のことを慕っている。兼役推奨。
宮本 : 『新』の後輩。とても『新』のことを慕っている。兼役推奨。
(いずれも性別不問)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕(N)「長い長い夢を見ていた。とても温かくて、優しくて。僕を取り巻く全てが、優しかったのだ。」
記憶の中の僕「ねえ僕、なぜそこでぼーっとしているんだい。」
僕「....?君は、」
記憶の中の僕「僕は、僕だよ。僕は僕のことを忘れてしまったの?」
僕「....ごめんね。僕は君のことは知らないな。だから初めまして、かな。」
記憶の中の僕「へえ、そっか。初めまして。僕は、僕。僕はね、僕自身を目覚めさせるために来たんだよ。」
僕「僕自身を?」
記憶の中の僕「そうさ。ずっと夢を見て目覚めないようだったからね。....僕は僕を覚えていないようだから、ここでは『君』と呼ぶことにするよ。」
僕「じゃあ、僕も『君』と呼ぼうか。それにしてもここはすごく温かいね、居心地がいい。」
記憶の中の僕「...はは。君は本当に何も覚えていないんだね。でも、目覚める時はすぐそこまで来ている。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(布団から飛び起きる)
僕 「.....っ!!」
僕「....なんだ、ただの....」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(場面切り替え。会社にて)
後輩「おはようございまーす!!」
僕「おはよう。」
後輩「先輩、今日は早めの出勤なんですね!!なんて言うか珍しいというか...。」
(笑いながら)
僕「そうかい?まあ今日はいつもより早く目が覚めてしまったんだよ。」
後輩「へえ~そんなこともあるんですね!!ささ、今日は会議がありますから早めに準備しないとですよ!!」
僕「はは。そうだな~、準備するか。」
僕(N)「僕の後輩。物覚えが良くて結構有能な上に、僕のことを慕ってくれている。僕にはもったいないくらいの、素敵な人。」
後輩「なーにぼーっとしてるんですか?早く行きますよ~!!」
僕「あ、ああごめんね、行こうか。」
僕(N)「僕を取り巻く全ては完璧だ。仕事も、人間関係も、金銭面においても。容姿についても、困ったことは1度もない。容姿端麗、眉目秀麗、質実剛健。そんな僕を誰もが信頼し、慕っている。」
後輩「先輩、準備終わりました?」
僕「うん、多分大丈夫だと思うよ。」
後輩「じゃあついでにこれもやってから行きましょ!そこの欄に私の名前と先輩の名前書いといてください!」
僕「了解。....君は、えっと、」
後輩「....もしかして先輩、また私の名前忘れたんですか!?」
僕「えっと...はは。」
後輩「はは。じゃないですよ!!!しっかりしてくださいよ!?私の名前は__。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(夕方。仕事終わり。)
僕(N)「今日も無事に仕事を終えた僕は、寄り道をすることなくすぐに家に帰る。点々と辺りを照らす街灯、生ぬるい風。少し薄暗いせいか不気味にも感じる。」
(玄関のドアを開ける)
僕「ただいま~。」
僕「....誰も居なくても言うのが癖になってしまったな。.....え。」
僕(N)「誰もいないはずの部屋。その奥。窓を見ている人影、いや、あれは.....。」
僕「なんだ...?」
天使「あら?」
僕(N)「人影がこちらを向く。奇妙なほどに整った顔立ちをしていた。肌は透き通るほどに白く、髪は艶やかな白銀。その姿は、この世のものとは思えないほどに美しかった。」
天使「おかえりなさい。」
僕「...貴方は?」
天使「ふふ、ごめんなさいね。勝手に入ってしまって。私は、天使。あなたの天使なのですよ。」
僕「天使?確かに貴方はこの上ない程に美しい。だけど、ありえないだろう。これは立派な不法侵入だ。」
天使「ご存知ですか?」
僕「え?」
天使「人の名前が出てこない理由は、色々あるのですよ。単なるワーキングメモリ不足、度忘れ、脳の過労、認知症。または高次脳機能障害、記憶障害などなど。」
僕「それがどうしたっていうんですか。」
天使「あなた、人の名前がわからないでしょう。」
僕「....!!!なぜ...。」
天使「言ったでしょう?わたしはあなたの天使なのですよ。だからあなたのことはずっと見ていた。」
僕「天使...?そんなものが本当に?」
天使「ええ、私はザラキエルと言います。神の命を受けて下界にやってきた見習い天使です。」
僕「ザラキエル?聞いたことの無い名前だ。」
天使「あら聞いた事がない、ですか?ほう。まあ、少しは天使であると信じて貰えたでしょうか。」
僕「一旦、信じることにします。」
天使「ふふ、ありがとうございます。」
僕「それで、天使さんは僕になんの御用でこちらに?」
天使「先程申した通り、あなたの人の名前がわからない件について。」
僕「それはさっき言ってたワーキングメモリ不足だとか、度忘れとかじゃないんですか。」
天使「いいえ、原因は先程申したどれにも当てはまりません。イレギュラーなのです。でなければ、私もここに用はありませんでした。」
僕「...ちゃんと教えて貰えますか。」
天使「今のあなたはあなたではなく、別の存在。まるで夢から覚めていない子供のよう。」
僕「...子供?そういえば...」
天使「なにか心当たりがあるのですか?」
僕「はい。夢の中で僕を名乗る子供に出会ったんです。」
天使「ほう、子供ですか。」
記憶の中の僕「ねえ、君。」
僕「!!!!」
僕「....君」
天使「....」
記憶の中の僕「また会ったね。」
僕「また、君か...。」
記憶の中の僕「僕は君で、君は僕。」
僕「僕は、君...。」
天使「今、誰とお話してらっしゃるのですか。」
僕「...!!」
僕「僕、僕は...。」
天使「ここには私とあなたの2人しかいない。なのに、あなたは私以外の誰かと話している。」
僕「....」
天使「その夢の中に出てきた子供とやらは、恐らく実際には存在しない。けれど、あなたの記憶に何らかの影響を及ぼしています。」
天使「その子供に真実を聞かない限り、あなたは真実に気づくことは無い。いや、気づかない方がいいのかもしれないけれど。」
僕「真実ですか。」
天使「しかし、どう足掻こうがあなたはいずれ気づいてしまう。その時、どうなってしまうのか。私はあなたのため舞い降りた天使、またここを訪れます。」
僕(N)「意味深な言葉を残し、自称天使ザラキエルは部屋から跡形もなく消えていった。少し開いた窓から入ってくる風が冷たくて、僕は静かに窓を閉じた。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(______夢の中)
僕「はっ.....!!!」
記憶の中の僕「こんにちは、君」
僕「き、みは....。」
記憶の中の僕「調子はどう?」
僕「すごく、元気だよ。大丈夫。」
記憶の中の僕「それは良かった!...ところでさ、突然だけど、君にはこの世界がどういう風に見える?」
僕「そうだね、僕にはこの世界はとても美しく見えるよ。人は優しい、食べ物は美味しい、住む場所にも困らない、とても慈愛に満ちた素敵な世界。」
記憶の中の僕「ふーん、そうなんだね。君にはそんな風に見えるんだ。逆にこの世界で嫌なこととかはあったりする?」
僕「...ないかな。僕に関わる人はみんな優しいし、慕ってくれているし、恋人もいて、友達もいて、両親や兄弟だってすごく仲がいいんだ。本当に不思議なくらい恵まれていると思うよ。」
記憶の中の僕「...君はまだ、気づけていないんだね。」
僕「え、?」
記憶の中の僕「君の天使さんも言ってたでしょ?真実がどうとか。まだ今の君には早いのかもしれないね。ふふふ。」
僕(N)「ザラキエルも、この子供も、揃いも揃って何を言っているのか全く分からない。真実?目覚め?馬鹿馬鹿しい。やはりこれは、悪質ないたずらなんだろう、そうだろう?でなければ、一体なんだと言うんだ。」
記憶の中の僕「ふふふ。いたずらではないよ。」
僕「...っ!!心の中も読めるのか、君は。」
記憶の中の僕「僕は君、君は僕。そういうことさ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(_____翌日、会社にて)
後輩「先輩~!!!おはようございまーす!!」
僕「おはよう。」
後輩「ん?先輩?ちゃんと寝てます?」
僕「ちゃんと寝てるさ、大丈夫大丈夫。」
後輩「それにしてはやつれたような感じに見えるんですけど....まあ気のせいか!!」
僕「そうそう。気のせい気のせい。」
後輩「それはそうと先輩!!今日は飲み会ですよ!!先輩いつも来ないのに今回は来るって言うから、みんなすごい楽しみにしてるんですからね!絶対来てくださいよ....!!!」
僕「はいはい。わかってるって~、行くよ。今日はどこに行くのか決めてるの?」
後輩「_____ですよ~!」
僕「え?なんて?」
後輩「だから、____ですって!」
僕「え...?」
後輩「えぇ!?先輩耳悪すぎません!?だから、_____ですよ!!!」
僕「あ、ああ、やっと聞こえたよありがとう...。」
後輩「もう~しっかりしてくださいよ?ほんと先輩ってば名前は忘れるし耳は悪いし~どうなってるんですか~笑」
後輩「その他は完璧なのにもったいないですよ~。」
僕「ははは。ごめんね、次から気をつけるよ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
記憶の中の僕「やあ。」
僕「...やあ。」
記憶の中の僕「飲み会、随分と楽しそうだったね。僕も行きたかったなあ。」
僕「はは、君は子供じゃないか。」
記憶の中の僕「ふふふ、確かにね。」
僕「....」
記憶の中の僕「どうしたんだい?」
僕「最近の僕は、なにかおかしいんだ。今日、後輩が言った言葉を聞き取れなかった。何回聞いても、まるでそこだけが切り取られたかのように何も聞こえなかったんだ。」
記憶の中の僕「へえ?」
僕「なあ、どうしてだ?君は何か知っているんだろう?僕は、一体どうしてしまったんだ、なんで、なんで、」
記憶の中の僕「さあ~なんでだろうねえ。ふふふふ。ひとつ君に聞くけど、後輩ちゃんの名前、なんだっけ?」
僕「後輩?後輩の名前?ああ、えっと.......あれ?なん、だっけ。おかしいな。つい最近聞いたのに、あいつ、あいつだよね。あれ?あれ?....あれ?」
記憶の中の僕「やっぱり、分からないんだね。後輩ちゃんの名前も、言葉も、まるでそこだけが切り取られたかのようで違和感を覚えただろう?君はね、聞き取れなかったんじゃない。最初から何も無かったんだ。」
僕「何も、無かった...?」
記憶の中の僕「そう。後輩ちゃんの名前も、何もかも全て無い。存在しないんだ。何故か?ふふ、それは君自身の幻想に過ぎないからさ。」
僕「僕自身の、幻想?冗談はよしてくれ、だって僕の家族や友人、恋人だって、みんなあんなに仲が良くて....!!」
記憶の中の僕「ふふふふ、あははははは!!その人達の名前はわかるかい?顔は?仕草は??...分からないだろう?」
僕「あ、ああ、は、ははは、え?なんで?どうして?僕、僕は?僕は一体、なに??」
記憶の中の僕「可哀想な君。いや、僕。ずっと君は君の意思で幻想に囚われていたんだ。今の君は、君であって君じゃない。」
僕「僕は僕であって、僕じゃない、」
記憶の中の僕「...本当に可哀想だね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(____翌日、起床)
(過呼吸気味で目覚める)
僕「っっ!!!!はあ、はあ、はあ....。」
天使「おはようございます。」
僕「...!ザラキエル...。」
天使「...知ってしまいましたか。」
僕「ああ、僕は僕であって僕じゃないらしいんだ、もう訳が分からないよ。」
天使「現実に、戻りたいですか。」
僕「え?」
天使「元のあなたの状態に戻りたいですか。」
僕「元の僕?ザラキエルは元の僕を知っているのか?現実の僕は、今どうなっているんだ?」
天使「.....」
僕「...なんで黙ってるの?」
天使「今のあなたには、少々酷かもしれません。」
僕「そ、か...。この世界がどういうものなのかは分かったんだけど、僕は僕自身のことを何も知らないんだ。....どんな現実であろうとそれが現実の僕なら、受け入れるしかない。受け入れなければならないんだ。だから、教えてくれ。ザラキエル。」
天使「...わかりました。それでは、今までの現実のあなたを幻想にてお見せいたします。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(____天使が作り出した幻想)
僕「これは....。」
僕(N)「真っ白な視界。その中から走ってくる子供がいた。ボールを持っている。友達と遊んでいたのだろうか。」
僕(N)「しばらくして、情景が切り替わる。今度は少し成長した子供が出てきた。そしてその横にいるのは、両親だろうか。」
(殴られながら必死に)
記憶の中の僕「...うっっ!!痛い!痛いよお父さん、ごめんなさい、いい子でいるから、もっと賢くなるから、殴らないでお願い.......。がっっ!!痛い!!ううぅぅ...(すすり泣く)」
僕(N)「父と思わしき人物が、子供をひたすらに殴っていた。そしてその横でただただ傍観するだけの母と思わしき人物。」
僕(N)「そしてまた情景は切り替わる。次は学校だ。生徒らしき子供達が廊下を歩いたり、校庭で遊んだりしている。その傍らに、またさっきの子供がいた。」
記憶の中の僕「え...?僕は何もしてないよ、君たちになにも悪いことはしていないじゃないか...!この傷?これは、僕がドジで...転んだんだ。沢山転んだだけ...!!僕は化け物じゃない!!やめて、やめてよ...。」
僕(N)「数人の生徒に囲まれていた。その中心で必死に助けを求めるように、訴えるかのように話していた。」
僕(N)「また、情景が切り替わる。今度はとても成長した子供の姿になった。パッと見、高校生くらいだろうか。暗い夜、港に車が1台止まっている。その方向に向かって歩く青年と、両親らしき人物達。」
(少し成長した、低めな感じの声で)
記憶の中の僕「ねえ、これからどうするの?何をするの?」
記憶の中の僕「...え?嫌だ、嫌だよ、僕はまだ.....。」
(強引に車に入れられ、腕を押さえつけられる)
記憶の中の僕「...え!?なに!?ひっ.....ごめんなさい、悪いことしないから、ごめんなさい、許してお願い、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい....」
(勢いよく殴られ続ける、力を緩めることなくひたすら殴られ続ける)
記憶の中の僕「があっ....!!お父、さん!!ごめ、なさっっ...!!ぐっ!かはっ...!やめ、て...!!お願い、ごめんなさい、助けて、お母さ、!!!あ''!!!」
僕(N)「車に無理やり押し込められ、身動きの取れない状態で殴られる青年。助けを求めようが意味の無い様(さま)。次第に青年の顔は腫れ上がり、皮膚が裂けて血が滲む。涙を流し、それは傷口に染みる。誰が見ても救いようがない姿だった。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
天使「これで終わりです。」
僕「...思い出したよ。僕は、最初から何も持っていなかった。幸せってなんだろう、普通って何なんだろう、そればかりが頭に浮かぶ。」
天使「皆が持っていて当たり前の幸せを、あなたは何も持ち合わせていなかった。これこそが、真実なのです。人間にも稀にこういった愚かな者がいる、あなたはそれに巻き込まれた可哀想な人、被害者。」
僕「僕は幸せになりたかった、普通の人間として生きたかった。」
天使「あなたの夢は何でしたか。」
僕「...僕の夢は、普通の会社員になって、一人暮らしをして、多くの人から信頼されて慕われる、そんな完璧な立派な大人になることだった。」
天使「...幻想のあなただったのですね。」
僕「うん。...現実の僕はもう、死んでいるのかな。」
天使「まだ死んではいない、けれどじきに死んでしまうでしょうね。」
僕「そっか。そうなんだね...。」
天使「ですが安心してください。私は天使、あなたを無事にあの世まで送り届け、愚かな者には制裁を下します。」
僕「でも君は、見習い天使なんだろう?」
天使「実は、本来の身分ではこちらでは少し都合が悪かったので隠していたのですが、改めまして私の名前はザラキエル、またの名をサリエル。七大天使の1人、アークエンジェルです。」
僕「アークエンジェル...?」
天使「だから、今世で報われなかったあなたを来世では必ず、普通の幸せを得た普通の人間として生まれ変わらせましょう。」
僕「......」
僕「だってさ、僕。」
記憶の中の僕「うん、良かったね、本当に。」
僕「辛かったね、苦しかったね、でももうそれも終わりなんだね。」
記憶の中の僕「うん。やっと僕も、解放されるんだね.....。」
天使「.....どうか来世では幸せに。おやすみなさい。」
僕(N)「長い長い夢を見ていた。とても温かくて、優しくて。僕を取り巻く全てが、優しかった。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
XXX年X月
(____とある会社にて)
宮本「せんぱーーーい!!!!やばいです!この資料ミスりまくってて、今日提出だったのに絶対間に合わないです~!!」
新「お前な~...絶対やらかすだろうと思ってチェックしておいて良かったよ、直せるだけ直しておいたから、はいこれ。」
宮本「えーーー!?先輩神ですか!?半端ないです!!さすが、社内で1番優秀と言われるだけありますねえ~!ありがとうございます!」
新「いいえ~、その代わり!今日は1杯付き合えよな。」
宮本「もちろん!!もちろんですよお!!まかせてくださーーい!!」
新「ははは!調子いいな、さて今日も頑張ろうかね~。」
宮本「そういえばまた先輩、お母さんからいっぱい仕送り貰ったんですって~??愛されてますねえ!」
新「そうなんだよね~、仕送りはいいっていったのにさ。ほんと困った母さんだよ。」
宮本「でもいいじゃないですかあ!素敵なお母さんですよ!!幸せすぎますよ先輩~!」
新「うん、幸せだよ本当に。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
終
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《後書き》
非常に長い台本でしたがここまで読んで頂きありがとうございます。
最後にでてきたキャラ以外が天使を除いて名前がわからなかったことに疑問を抱いた方ももしかするといるかもしれませんが、それはあくまで主人公の幻想の世界で作り出された架空の人物だったからです。
存在しないものに名前なんてつきませんものね。
同時に幻想の中の『僕』も偽りの『僕』だったので存在しないものでした。
今度はちゃんと幸せになってね。
周りから信頼され、慕われている完璧人間、らしい。
天使 : 大天使より命を受けて下界に降りてきた見習い天使。救いを求めている人を探しては助ける修行をしている、らしい。見習い天使にしては既に物事を達観していて大人っぽいような気がする。
記憶の中の僕 : 『僕』の記憶の中だけの存在。イメージは少年。記憶の中の僕は『僕』に精神的に訴えかける。味方では無い。自分自身のはずなのにどこか嘲笑っている。
後輩 : 『僕』の後輩。とても『僕』のことを慕っている。兼役推奨。
宮本 : 『新』の後輩。とても『新』のことを慕っている。兼役推奨。
(いずれも性別不問)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕(N)「長い長い夢を見ていた。とても温かくて、優しくて。僕を取り巻く全てが、優しかったのだ。」
記憶の中の僕「ねえ僕、なぜそこでぼーっとしているんだい。」
僕「....?君は、」
記憶の中の僕「僕は、僕だよ。僕は僕のことを忘れてしまったの?」
僕「....ごめんね。僕は君のことは知らないな。だから初めまして、かな。」
記憶の中の僕「へえ、そっか。初めまして。僕は、僕。僕はね、僕自身を目覚めさせるために来たんだよ。」
僕「僕自身を?」
記憶の中の僕「そうさ。ずっと夢を見て目覚めないようだったからね。....僕は僕を覚えていないようだから、ここでは『君』と呼ぶことにするよ。」
僕「じゃあ、僕も『君』と呼ぼうか。それにしてもここはすごく温かいね、居心地がいい。」
記憶の中の僕「...はは。君は本当に何も覚えていないんだね。でも、目覚める時はすぐそこまで来ている。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(布団から飛び起きる)
僕 「.....っ!!」
僕「....なんだ、ただの....」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(場面切り替え。会社にて)
後輩「おはようございまーす!!」
僕「おはよう。」
後輩「先輩、今日は早めの出勤なんですね!!なんて言うか珍しいというか...。」
(笑いながら)
僕「そうかい?まあ今日はいつもより早く目が覚めてしまったんだよ。」
後輩「へえ~そんなこともあるんですね!!ささ、今日は会議がありますから早めに準備しないとですよ!!」
僕「はは。そうだな~、準備するか。」
僕(N)「僕の後輩。物覚えが良くて結構有能な上に、僕のことを慕ってくれている。僕にはもったいないくらいの、素敵な人。」
後輩「なーにぼーっとしてるんですか?早く行きますよ~!!」
僕「あ、ああごめんね、行こうか。」
僕(N)「僕を取り巻く全ては完璧だ。仕事も、人間関係も、金銭面においても。容姿についても、困ったことは1度もない。容姿端麗、眉目秀麗、質実剛健。そんな僕を誰もが信頼し、慕っている。」
後輩「先輩、準備終わりました?」
僕「うん、多分大丈夫だと思うよ。」
後輩「じゃあついでにこれもやってから行きましょ!そこの欄に私の名前と先輩の名前書いといてください!」
僕「了解。....君は、えっと、」
後輩「....もしかして先輩、また私の名前忘れたんですか!?」
僕「えっと...はは。」
後輩「はは。じゃないですよ!!!しっかりしてくださいよ!?私の名前は__。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(夕方。仕事終わり。)
僕(N)「今日も無事に仕事を終えた僕は、寄り道をすることなくすぐに家に帰る。点々と辺りを照らす街灯、生ぬるい風。少し薄暗いせいか不気味にも感じる。」
(玄関のドアを開ける)
僕「ただいま~。」
僕「....誰も居なくても言うのが癖になってしまったな。.....え。」
僕(N)「誰もいないはずの部屋。その奥。窓を見ている人影、いや、あれは.....。」
僕「なんだ...?」
天使「あら?」
僕(N)「人影がこちらを向く。奇妙なほどに整った顔立ちをしていた。肌は透き通るほどに白く、髪は艶やかな白銀。その姿は、この世のものとは思えないほどに美しかった。」
天使「おかえりなさい。」
僕「...貴方は?」
天使「ふふ、ごめんなさいね。勝手に入ってしまって。私は、天使。あなたの天使なのですよ。」
僕「天使?確かに貴方はこの上ない程に美しい。だけど、ありえないだろう。これは立派な不法侵入だ。」
天使「ご存知ですか?」
僕「え?」
天使「人の名前が出てこない理由は、色々あるのですよ。単なるワーキングメモリ不足、度忘れ、脳の過労、認知症。または高次脳機能障害、記憶障害などなど。」
僕「それがどうしたっていうんですか。」
天使「あなた、人の名前がわからないでしょう。」
僕「....!!!なぜ...。」
天使「言ったでしょう?わたしはあなたの天使なのですよ。だからあなたのことはずっと見ていた。」
僕「天使...?そんなものが本当に?」
天使「ええ、私はザラキエルと言います。神の命を受けて下界にやってきた見習い天使です。」
僕「ザラキエル?聞いたことの無い名前だ。」
天使「あら聞いた事がない、ですか?ほう。まあ、少しは天使であると信じて貰えたでしょうか。」
僕「一旦、信じることにします。」
天使「ふふ、ありがとうございます。」
僕「それで、天使さんは僕になんの御用でこちらに?」
天使「先程申した通り、あなたの人の名前がわからない件について。」
僕「それはさっき言ってたワーキングメモリ不足だとか、度忘れとかじゃないんですか。」
天使「いいえ、原因は先程申したどれにも当てはまりません。イレギュラーなのです。でなければ、私もここに用はありませんでした。」
僕「...ちゃんと教えて貰えますか。」
天使「今のあなたはあなたではなく、別の存在。まるで夢から覚めていない子供のよう。」
僕「...子供?そういえば...」
天使「なにか心当たりがあるのですか?」
僕「はい。夢の中で僕を名乗る子供に出会ったんです。」
天使「ほう、子供ですか。」
記憶の中の僕「ねえ、君。」
僕「!!!!」
僕「....君」
天使「....」
記憶の中の僕「また会ったね。」
僕「また、君か...。」
記憶の中の僕「僕は君で、君は僕。」
僕「僕は、君...。」
天使「今、誰とお話してらっしゃるのですか。」
僕「...!!」
僕「僕、僕は...。」
天使「ここには私とあなたの2人しかいない。なのに、あなたは私以外の誰かと話している。」
僕「....」
天使「その夢の中に出てきた子供とやらは、恐らく実際には存在しない。けれど、あなたの記憶に何らかの影響を及ぼしています。」
天使「その子供に真実を聞かない限り、あなたは真実に気づくことは無い。いや、気づかない方がいいのかもしれないけれど。」
僕「真実ですか。」
天使「しかし、どう足掻こうがあなたはいずれ気づいてしまう。その時、どうなってしまうのか。私はあなたのため舞い降りた天使、またここを訪れます。」
僕(N)「意味深な言葉を残し、自称天使ザラキエルは部屋から跡形もなく消えていった。少し開いた窓から入ってくる風が冷たくて、僕は静かに窓を閉じた。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(______夢の中)
僕「はっ.....!!!」
記憶の中の僕「こんにちは、君」
僕「き、みは....。」
記憶の中の僕「調子はどう?」
僕「すごく、元気だよ。大丈夫。」
記憶の中の僕「それは良かった!...ところでさ、突然だけど、君にはこの世界がどういう風に見える?」
僕「そうだね、僕にはこの世界はとても美しく見えるよ。人は優しい、食べ物は美味しい、住む場所にも困らない、とても慈愛に満ちた素敵な世界。」
記憶の中の僕「ふーん、そうなんだね。君にはそんな風に見えるんだ。逆にこの世界で嫌なこととかはあったりする?」
僕「...ないかな。僕に関わる人はみんな優しいし、慕ってくれているし、恋人もいて、友達もいて、両親や兄弟だってすごく仲がいいんだ。本当に不思議なくらい恵まれていると思うよ。」
記憶の中の僕「...君はまだ、気づけていないんだね。」
僕「え、?」
記憶の中の僕「君の天使さんも言ってたでしょ?真実がどうとか。まだ今の君には早いのかもしれないね。ふふふ。」
僕(N)「ザラキエルも、この子供も、揃いも揃って何を言っているのか全く分からない。真実?目覚め?馬鹿馬鹿しい。やはりこれは、悪質ないたずらなんだろう、そうだろう?でなければ、一体なんだと言うんだ。」
記憶の中の僕「ふふふ。いたずらではないよ。」
僕「...っ!!心の中も読めるのか、君は。」
記憶の中の僕「僕は君、君は僕。そういうことさ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(_____翌日、会社にて)
後輩「先輩~!!!おはようございまーす!!」
僕「おはよう。」
後輩「ん?先輩?ちゃんと寝てます?」
僕「ちゃんと寝てるさ、大丈夫大丈夫。」
後輩「それにしてはやつれたような感じに見えるんですけど....まあ気のせいか!!」
僕「そうそう。気のせい気のせい。」
後輩「それはそうと先輩!!今日は飲み会ですよ!!先輩いつも来ないのに今回は来るって言うから、みんなすごい楽しみにしてるんですからね!絶対来てくださいよ....!!!」
僕「はいはい。わかってるって~、行くよ。今日はどこに行くのか決めてるの?」
後輩「_____ですよ~!」
僕「え?なんて?」
後輩「だから、____ですって!」
僕「え...?」
後輩「えぇ!?先輩耳悪すぎません!?だから、_____ですよ!!!」
僕「あ、ああ、やっと聞こえたよありがとう...。」
後輩「もう~しっかりしてくださいよ?ほんと先輩ってば名前は忘れるし耳は悪いし~どうなってるんですか~笑」
後輩「その他は完璧なのにもったいないですよ~。」
僕「ははは。ごめんね、次から気をつけるよ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
記憶の中の僕「やあ。」
僕「...やあ。」
記憶の中の僕「飲み会、随分と楽しそうだったね。僕も行きたかったなあ。」
僕「はは、君は子供じゃないか。」
記憶の中の僕「ふふふ、確かにね。」
僕「....」
記憶の中の僕「どうしたんだい?」
僕「最近の僕は、なにかおかしいんだ。今日、後輩が言った言葉を聞き取れなかった。何回聞いても、まるでそこだけが切り取られたかのように何も聞こえなかったんだ。」
記憶の中の僕「へえ?」
僕「なあ、どうしてだ?君は何か知っているんだろう?僕は、一体どうしてしまったんだ、なんで、なんで、」
記憶の中の僕「さあ~なんでだろうねえ。ふふふふ。ひとつ君に聞くけど、後輩ちゃんの名前、なんだっけ?」
僕「後輩?後輩の名前?ああ、えっと.......あれ?なん、だっけ。おかしいな。つい最近聞いたのに、あいつ、あいつだよね。あれ?あれ?....あれ?」
記憶の中の僕「やっぱり、分からないんだね。後輩ちゃんの名前も、言葉も、まるでそこだけが切り取られたかのようで違和感を覚えただろう?君はね、聞き取れなかったんじゃない。最初から何も無かったんだ。」
僕「何も、無かった...?」
記憶の中の僕「そう。後輩ちゃんの名前も、何もかも全て無い。存在しないんだ。何故か?ふふ、それは君自身の幻想に過ぎないからさ。」
僕「僕自身の、幻想?冗談はよしてくれ、だって僕の家族や友人、恋人だって、みんなあんなに仲が良くて....!!」
記憶の中の僕「ふふふふ、あははははは!!その人達の名前はわかるかい?顔は?仕草は??...分からないだろう?」
僕「あ、ああ、は、ははは、え?なんで?どうして?僕、僕は?僕は一体、なに??」
記憶の中の僕「可哀想な君。いや、僕。ずっと君は君の意思で幻想に囚われていたんだ。今の君は、君であって君じゃない。」
僕「僕は僕であって、僕じゃない、」
記憶の中の僕「...本当に可哀想だね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(____翌日、起床)
(過呼吸気味で目覚める)
僕「っっ!!!!はあ、はあ、はあ....。」
天使「おはようございます。」
僕「...!ザラキエル...。」
天使「...知ってしまいましたか。」
僕「ああ、僕は僕であって僕じゃないらしいんだ、もう訳が分からないよ。」
天使「現実に、戻りたいですか。」
僕「え?」
天使「元のあなたの状態に戻りたいですか。」
僕「元の僕?ザラキエルは元の僕を知っているのか?現実の僕は、今どうなっているんだ?」
天使「.....」
僕「...なんで黙ってるの?」
天使「今のあなたには、少々酷かもしれません。」
僕「そ、か...。この世界がどういうものなのかは分かったんだけど、僕は僕自身のことを何も知らないんだ。....どんな現実であろうとそれが現実の僕なら、受け入れるしかない。受け入れなければならないんだ。だから、教えてくれ。ザラキエル。」
天使「...わかりました。それでは、今までの現実のあなたを幻想にてお見せいたします。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(____天使が作り出した幻想)
僕「これは....。」
僕(N)「真っ白な視界。その中から走ってくる子供がいた。ボールを持っている。友達と遊んでいたのだろうか。」
僕(N)「しばらくして、情景が切り替わる。今度は少し成長した子供が出てきた。そしてその横にいるのは、両親だろうか。」
(殴られながら必死に)
記憶の中の僕「...うっっ!!痛い!痛いよお父さん、ごめんなさい、いい子でいるから、もっと賢くなるから、殴らないでお願い.......。がっっ!!痛い!!ううぅぅ...(すすり泣く)」
僕(N)「父と思わしき人物が、子供をひたすらに殴っていた。そしてその横でただただ傍観するだけの母と思わしき人物。」
僕(N)「そしてまた情景は切り替わる。次は学校だ。生徒らしき子供達が廊下を歩いたり、校庭で遊んだりしている。その傍らに、またさっきの子供がいた。」
記憶の中の僕「え...?僕は何もしてないよ、君たちになにも悪いことはしていないじゃないか...!この傷?これは、僕がドジで...転んだんだ。沢山転んだだけ...!!僕は化け物じゃない!!やめて、やめてよ...。」
僕(N)「数人の生徒に囲まれていた。その中心で必死に助けを求めるように、訴えるかのように話していた。」
僕(N)「また、情景が切り替わる。今度はとても成長した子供の姿になった。パッと見、高校生くらいだろうか。暗い夜、港に車が1台止まっている。その方向に向かって歩く青年と、両親らしき人物達。」
(少し成長した、低めな感じの声で)
記憶の中の僕「ねえ、これからどうするの?何をするの?」
記憶の中の僕「...え?嫌だ、嫌だよ、僕はまだ.....。」
(強引に車に入れられ、腕を押さえつけられる)
記憶の中の僕「...え!?なに!?ひっ.....ごめんなさい、悪いことしないから、ごめんなさい、許してお願い、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい....」
(勢いよく殴られ続ける、力を緩めることなくひたすら殴られ続ける)
記憶の中の僕「があっ....!!お父、さん!!ごめ、なさっっ...!!ぐっ!かはっ...!やめ、て...!!お願い、ごめんなさい、助けて、お母さ、!!!あ''!!!」
僕(N)「車に無理やり押し込められ、身動きの取れない状態で殴られる青年。助けを求めようが意味の無い様(さま)。次第に青年の顔は腫れ上がり、皮膚が裂けて血が滲む。涙を流し、それは傷口に染みる。誰が見ても救いようがない姿だった。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
天使「これで終わりです。」
僕「...思い出したよ。僕は、最初から何も持っていなかった。幸せってなんだろう、普通って何なんだろう、そればかりが頭に浮かぶ。」
天使「皆が持っていて当たり前の幸せを、あなたは何も持ち合わせていなかった。これこそが、真実なのです。人間にも稀にこういった愚かな者がいる、あなたはそれに巻き込まれた可哀想な人、被害者。」
僕「僕は幸せになりたかった、普通の人間として生きたかった。」
天使「あなたの夢は何でしたか。」
僕「...僕の夢は、普通の会社員になって、一人暮らしをして、多くの人から信頼されて慕われる、そんな完璧な立派な大人になることだった。」
天使「...幻想のあなただったのですね。」
僕「うん。...現実の僕はもう、死んでいるのかな。」
天使「まだ死んではいない、けれどじきに死んでしまうでしょうね。」
僕「そっか。そうなんだね...。」
天使「ですが安心してください。私は天使、あなたを無事にあの世まで送り届け、愚かな者には制裁を下します。」
僕「でも君は、見習い天使なんだろう?」
天使「実は、本来の身分ではこちらでは少し都合が悪かったので隠していたのですが、改めまして私の名前はザラキエル、またの名をサリエル。七大天使の1人、アークエンジェルです。」
僕「アークエンジェル...?」
天使「だから、今世で報われなかったあなたを来世では必ず、普通の幸せを得た普通の人間として生まれ変わらせましょう。」
僕「......」
僕「だってさ、僕。」
記憶の中の僕「うん、良かったね、本当に。」
僕「辛かったね、苦しかったね、でももうそれも終わりなんだね。」
記憶の中の僕「うん。やっと僕も、解放されるんだね.....。」
天使「.....どうか来世では幸せに。おやすみなさい。」
僕(N)「長い長い夢を見ていた。とても温かくて、優しくて。僕を取り巻く全てが、優しかった。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
XXX年X月
(____とある会社にて)
宮本「せんぱーーーい!!!!やばいです!この資料ミスりまくってて、今日提出だったのに絶対間に合わないです~!!」
新「お前な~...絶対やらかすだろうと思ってチェックしておいて良かったよ、直せるだけ直しておいたから、はいこれ。」
宮本「えーーー!?先輩神ですか!?半端ないです!!さすが、社内で1番優秀と言われるだけありますねえ~!ありがとうございます!」
新「いいえ~、その代わり!今日は1杯付き合えよな。」
宮本「もちろん!!もちろんですよお!!まかせてくださーーい!!」
新「ははは!調子いいな、さて今日も頑張ろうかね~。」
宮本「そういえばまた先輩、お母さんからいっぱい仕送り貰ったんですって~??愛されてますねえ!」
新「そうなんだよね~、仕送りはいいっていったのにさ。ほんと困った母さんだよ。」
宮本「でもいいじゃないですかあ!素敵なお母さんですよ!!幸せすぎますよ先輩~!」
新「うん、幸せだよ本当に。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
終
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《後書き》
非常に長い台本でしたがここまで読んで頂きありがとうございます。
最後にでてきたキャラ以外が天使を除いて名前がわからなかったことに疑問を抱いた方ももしかするといるかもしれませんが、それはあくまで主人公の幻想の世界で作り出された架空の人物だったからです。
存在しないものに名前なんてつきませんものね。
同時に幻想の中の『僕』も偽りの『僕』だったので存在しないものでした。
今度はちゃんと幸せになってね。
2
お気に入りに追加
6
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
朗読台本を探していたところ、たまたま目に留まり、読ませていただきました。言葉選びがとても綺麗で、素敵でした。読んでいて良い気持ちになりました。
先立ってご連絡するべきでしたが、朗読動画の台本として使用させていただきました。大切に読ませていただきましたので、もしお時間がございましたら私のチャンネルにお越しいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
ジョン・スミス様
この度は私の台本をご覧いただきありがとうございます。素敵なお褒めのお言葉をいただき、大変嬉しく拝読いたしました。また、朗読動画に使用していただけたとのことありがとうございます。ぜひ拝見させていただきたく存じます。
今後もよりよい作品を出せるよう精進してまいりますので、よろしければまたご覧いただければ幸いです。
改めまして、素敵なコメントをいただきありがとうございました。
先刻、ふらっとお立ち寄りいただいた際に気になり、投稿を拝見しこちらに辿り着きました。大変素敵な言葉で綴られており惹き込まれてしまいました。恐縮ですが、配信で朗読させていただければ幸いです。
葉っぱ様
私の作品をご一読いただきありがとうございます。配信をされている際少しだけお邪魔いたしましたが、気になっていただけたようで大変光栄です。
朗読台本として使用してくださるとのこと、ありがとうございます。
また時間が合った際、配信の方にもお邪魔させていただきます。
先刻、某配信にてふらっとお立ち寄りいただいた際に気になり、投稿されている朗読が素敵でたどり着きました。大変素敵な言葉で綴られており、引き込まれました。恐縮ですが、配信で朗読させていただければ幸いです。